留学生の明日、企業の成長、日本の未来

先日、外国人留学生を対象にした進学・就職のイベントへ参加してきました。
進学コーナーと就職コーナー、両会場で合わせて2000~3000名の留学生が参加する、大規模なイベントです。

弊社は就職コーナーに出展し、日本での就職を希望する留学生たちと終日お話をしました。
日本語スキルや日本企業への就職意識が非常に高い学生さんもいれば、
日本にきてまもなく就職についてあまりイメージが湧いていない学生さんもいました。


日本政府が推進する「留学生30万人計画」を背景に、現在アジアからの留学生が増えています。
例えば、コンビニやレストランでアルバイトとして働いている留学生を見かけるのが最近では当たり前になってきているでしょう。

日本の労働人口は、今後1年に約80万人のペースで減少していくと想定されています。
80万人とは、練馬区や相模原市の全人口に匹敵します。労働市場においては大きなダメージです。
海外からの技能実習生、留学生のアルバイト、そして大学卒業後の日本での就労は、
この「日本の労働人口減少」を支える重要な存在だと私は考えています。

平成27年の東京入国管理局・在留資格申請において、「留学」から「就労」への変更申請数は17088件。
これに対する許可数は15567件、交付率は91.6%。ちなみに許可者の90%がアジアからの留学生です。
この「留学から就労への変更申請者」は増加傾向にあります。
交付率の高さを見ると、日本政府の考えと入国管理の緩和を感じます。


外国籍の社員を積極的に受け入れる企業も増えてきてはいるのですが、
しかしながら実は、留学生の日本企業への就職はスムーズに進んでいないのです。

同じ留学生でも専門学校卒では就職率約25%、大学学部卒では就職率約40%。
留学生の立場からしたら、これはまだ高い就職率とは言えません。
外国人留学生の日系企業への就職に関するアンケートによると

●企業側のアンケート
・日本語能力が不十分
・日本企業における働き方の理解が不十分
・業界研究、企業研究が不十分

●留学生の就活学生のアンケート
・外国人留学生向けの求人が少ない
・日本の就職活動の仕組みがわからない
・日本語による適性試験や能力試験が難しい
・業界研究や企業研究の方法がわからない
・日本語での面接対応が難しい

(文科省調べ)

これらの課題点の改善をおこなっていくためには、
留学生を取り囲む日本語学校などの教育機関、そして人材会社・受け入れ企業の目的意識や価値観の変化が必要なのではないでしょうか。
内定を取るテクニックではなく、日本企業で働き認められるために必要な要素を留学生に教育すること、また、外国籍の人材を受け入れるために柔軟に対応することが大切です。

今から50年前のアメリカでは、ベトナム戦争から逃れたベトナム難民をマクドナルド社が積極的に受け入れました。
手ぶり身振りでハンバーガーの作り方を教え、中にはマネジャーにまで昇格したベトナム人もいたそうです。
アメリカと日本の成り立ちは大きく違いますが、外国籍の人材を受け入れるスタンスは見習うべきではないでしょうか。

グローバル化を求められる企業にとって「留学生の受け入れ」ははじめの1歩として絶好のチャンスです。
「日本企業で働く」という、留学生にとっての小さなジャパニーズドリームをたくさん作り出すことで、
日本の労働人口減少を抑止することができるかもしれません。

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