執筆
カケハシ スカイソリューションズ
ヒューマンリレーション事業部
大阪支店マネージャー 大塚哲平
3月1日、いよいよ2018年度入社向けの新卒採用活動が解禁され、合同説明会や単独説明会の開催がスタートしました。今年は昨年同様、3月解禁、6月選考スタートという流れで進んでいきます。
採用状況のひとつの指標となる大手就職サイトの掲載社数は、
リクナビ…22,604社から27,558社
マイナビ…17,148社から19,904社
と、どちらの媒体も昨対比、概ね120%前後の掲載社数を加えてスタートしている状況をみると、いわゆる「売り手市場」はまだまだ続いていると言えます。一方、採用対象となる登録学生数は、こちらも昨対比120%以上の伸びを見せています。(約70万人前後)
ただ、文部科学省の調査のよると、ここ5年の18歳人口はほぼ横ばいで推移しており、かつ高等教育機関(大学・短大および専門学校)への進学率は80%に達しています。(平成28年度調査)
大学全入時代という言葉に象徴されるように、誰でも高等教育機関に進学できる状況になっており、誤解を恐れずに言えば、採用対象となる登録学生は増えているが、専門学校を含めた高等教育機関の学生の質が下がっている、と言えます。
つまり、有名大学であっても学部の新設で定員を増やし、入試方式を多様化させ、入学のハードルを下げているのが現状のため、今まで通用してきた「学歴」というひとつの指標が使えなくなっています。それは同時に、新卒採用における学生の見極めをより難しくしているとも言えます。
そもそも企業側が学歴に求めていたものは、「学歴が高い学生は、はずれが少ない。」ということに集約されます。その他、「採用担当者の成果としてわかりやすいため、社内の評価があがる。」といった側面もあるかと思いますが…。
ただ、有名大学出身者でも玉石混交ですので、学歴だけで「当たり」の学生を見つけるのは難しく、より見極める側のスキルや方法が重要になってきます。
そのような状況の中、わたしが意識していただきたいと考えるのは、学歴が示してきた資質を明確にすることです。そして、それは「課題解決力」であると考えています。
コミュニケーション能力、論理的思考能力、素直さなど、企業側が求める様々ありますが、その中に、課題解決力という資質に的を絞って見極めていくことをお勧めします。そもそも、学歴が高い学生は、幼少から、「わからない」や「知らない」という課題を解決し、進学してきたはずです。ただ、学歴が高いから課題解決力があるという構図が崩れてきているため、学歴以外の要素で課題解決力を見極める必要があります。
それは、人間関係であったり、バイトやサークル、スポーツ、ボランティア、もしくはゲームやギャンブルなど、趣味の中に隠れているかもしれません。
売り手市場の中、簡単に求職者を集めることは困難です。もちろん、数多くの求職者と接触するということも大事ですが、集まった中からいかに優秀な人材を見極め、自社にとって「磨けば光る原石」を見出すことが必要です。
学歴というハードデータに惑わされることなく、いかに直面した課題や問題に向き合い、解決してきたのか、を聞きだし、見極めていくことがより重要になってきているのではないでしょうか。
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