執筆
カケハシ スカイソリューションズ
ヒューマンリレーション事業部
グループマネージャー 李 泰一
中小企業様の採用のお手伝いを長年おこなっていると、こんな現象を目の当たりにすることがあります。
企業規模や業界、募集職種などの条件は近しいのに、結果として採用における成果がまったく違う。あるいは、条件だけを見れば、A社の方が採用に有利に見えるのに、条件面で相対的に劣るB社の方が満足いく採用結果を得られている。
この違いは、いったい何に起因しているのでしょうか。
もちろん、採用にかける投資額の違い、広報メディア・出展イベントの選定、ターゲット設定の精度、採用サイトやムービーなどの広報ツールのクオリティなど、方法論やテクニック面による差異も採用結果に大きく影響します。しかし、方法論やテクニック的な側面とはまったく異なる部分の違いが、採用結果に直結していると感じることが少なくありません。
それは、社長の違いです。
社長がプレゼン上手かどうか、学生ウケがいいかどうか、カリスマ的かどうか、ということではありません。また、社長が会社説明会に登壇するかどうか、最終面接に参加しているかどうか、ということでもありません。
社長がプレゼン上手でカリスマ的であるに越したことはありませんし、社長が採用活動の現場に参加していた方が求職者のモチベーションも高まりますが、企業によって変えられること、変えられないことがあります。ここでお伝えしたいのは、もっと、本質的な違いです。
社長には採用活動における役割があります。その役割を全うしているか、していないかの違いです。では、採用活動における社長の役割とは何か。
私は、3つあると考えています。
一つ目は、社外の人間から見てもワクワクするような自社の未来像を描くこと、そして、語ること。
二つ目は、社員が誰に対しても自信を持って、自社の魅力と未来について語れる土壌をつくること。
そして、三つ目に、全社員が採用活動に積極的に参加する風土を醸成すること。
私は13年間、このお仕事をさせていただく中で、採用における社長の役割を全うされている素晴らしい経営者様にたくさんお会いすることができました。それは私の財産だと思っています。
上記のような経営者様にお会いすると、採用力が高いと感じることはもちろんですが、それ以上に素敵な方だな、素敵な企業だなと、その経営者と企業のことが好きになります。そして、そんな企業で働いている社員様は素敵な方が本当に多いと思います。
これこそが、採用力の本質なのだと私は考えています。
人材採用が難しい今だからこそ、テクニック論に終始せず、企業の採用力の根源に立ち返って、自社の未来像について言葉にしてみませんか?社員の心の声に向き合ってみませんか?
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