大企業に比べて人材確保が難しく、少ない社員で業務を進めている中小企業にとって、優秀な社員の退職は大きな痛手になります。今回の記事では、中小企業において優秀な社員を辞めさせないために、経営者が取り組める対策をご紹介します。
目次
優秀な社員が退職を考えてしまう3つの原因
優秀な社員が辞めてしまう職場にはどのような特徴があるのでしょうか。退職を考えるきっかけとなる原因を3つに分類しました。
- 優秀な社員にタスクが集中してしまう
- ワークライフバランスが取れていない
- 自らの成長を実感できない
原因(1)優秀な社員にタスクが集中してしまう
優秀な社員は仕事の精度が高く、仕事をするスピードも早いため、タスクが集中してしまいがちです。一方管理側も、安定して業務を進めてくれる社員のほうが、安心して仕事を任せられると考えてしまいます。
仕事ができる優秀な社員ほど、業務過多な傾向に陥っていると言えるでしょう。
そのような状況では心身ともに疲弊してしまうだけではなく、仕事へのモチベーションも下がってしまいます。プレッシャーが集中する状態を改善しなければ、働きやすい環境を求めて退職を考えるようになるでしょう。
原因(2)ワークライフバランスが取れていない
中小企業の場合、少ない人員で仕事を進めるのに加え、一人の社員が担当している仕事の数も多いため、イレギュラーな対応が増えてしまうこともあります。
優秀な社員ほど難しい対応を任され、残業や休日を返上して働くことを求められることもあるでしょう。
プライベートの時間が十分に取れない状況が続くと、ワークライフバランスが乱れ、何のために働いているのか、働く意義を見出せなくなるでしょう。
原因(3)自らの成長を実感できない
優秀な社員ほど成長意欲が高いため、この会社で成長が見込めないと感じると退職を考えるきっかけになります。
ルーチン作業など能力向上に繋がらない仕事ばかりを任され、能力開発の機会がなければ、日々の業務をこなすだけで自らの成長を実感できません。
社員の成長を支援しない職場環境は、優秀な社員に働き続けるメリットを感じにくくさせるでしょう。
優秀な社員を辞めさせないための4つの方法
優秀や社員を定着させるためには、どのような方法が効果的なのでしょうか。辞めさせない4つの方法をご紹介します。
- 企業の方向性や将来をともに作り上げる
- 多様な働き方を認める
- 裁量権を与える
- 新たな挑戦ができる環境を与える
方法(1)企業の方向性や将来をともに作り上げる
企業の方向性や将来を管理側が一方的に伝えるのではなく、ともに考え作り上げる経験をさせるのも、優秀な社員を辞めさせない方法として効果的です。
会社を一緒に作り上げる経験は、自身のキャリアにも影響し、会社への愛着を育むことに繋がります。
社員数の少ない中小企業だからこそ、会社が目指したい方向を社員に共有しやすいと言えるでしょう。5年後、10年後にどんな組織にしたいのか、会社の目標が明確になれば、社員自身のキャリアも描きやすくなるはずです。
方法(2)多様な働き方を認める
育児や介護といった家庭の事情で離職する社員を減らすために、短時間正社員制度をはじめ、場所や時間にとらわれずに働けるテレワークの実施など、多様な働き方を認めることも重要です。
個人のライフスタイルを尊重する職場環境へと整備することで、優秀な人材の確保や社員の定着率の向上も期待できます。社員の個性や多様性を認めることは、いずれ会社の発展に繋がっていくでしょう。
方法(3)裁量権を与える
優秀な社員ほど積極的に裁量権を与えましょう。
上司や管理職が一律に仕事の進め方や方法論にまで口を出してしまうために、能力のある社員から主体性を奪っているケースがあります。裁量権を与えることで、労働意欲の高い社員のモチベーションを向上させられるでしょう。
自主的に考えて行動できる社員であれば、プロジェクトリーダーやチームリーダーなどに積極的に抜擢していきます。上司としては指示や命令を出すのではなく、フォローにまわることを心がけましょう。
方法(4)新たな挑戦ができる環境を与える
優秀な社員の成長意欲に応えるため、新たな挑戦ができる環境を用意しましょう。
チャレンジしてみたい仕事や目指している将来像などをヒヤリングし、その人のキャリアプランに必要な知識や経験を積めるようマネジメントすることで、高い意識を持って仕事に取り組めるようになります。
担当している仕事にミスマッチを感じている場合は、ジョブローテーションを検討し、能力を発揮できる仕事を一緒に探しましょう。複数の部署を経験することで、社内の様々な仕事への理解が深まり、社内ネットワークの構築も期待できます。
中小企業における優秀な社員を辞めさせない方法とは?
中小企業において優秀な社員を辞めさせないために、人事担当者やリーダー層、経営者はどのような対策を取ることができるのか、離職防止アドバイザーに聞いてみました。
教育研修事業部 事業部長
優秀な社員が退職してしまう理由には、大企業と中小企業で差があるのでしょうか?
あると思います。中小企業では大企業ほど階層が分かれていないので、ロールモデルとなる人が少ないのと、仕事の選択肢が少ないという理由が考えられます。
先に転職した友人などの話を聞いて、中小企業では叶わないことが、他社では叶うのではないかと考えてしまうのもありますね。
大企業を選ぶ人はロイヤリティやブランド価値を魅力と感じている人も多いでしょうが、中小企業には地域密着やアットホームな社風などネームバリュー以外の魅力が十分あります。企業側はその魅力となる部分を伝える工夫が必要になるでしょう。
中小企業で優秀な社員を定着させるために経営者が意識するポイントとは?
企業の成長に必要な人材には、経営者自ら個別でアプローチすることが大切です。
中小企業の経営者だからこそ、社員と近い関係性を築き、自ら歩み寄れるのではないでしょうか。社員が何を求めているかを知り、全員が気持ちよく働ける環境を整えることが重要です。
優秀な社員には、どれだけ会社に貢献してくれているか、この先何を期待するのかを、直接伝えられるとよいでしょう。
中小企業の経営者だからこそ取り組める離職防止策とその具体例は?
最近好評なのは合宿研修ですね。
泊りがけで研修を行い、夜はリラックスした環境でコミュニケーションを深めるといった内容です。職場から環境を変えることで、普段話しにくいことも話せるようになり、熱い想いも伝え合えるようです。
一方、弊社では「familyS(ファミリーズ)」という取り組みを行っています。
部署もポジションも違う社員たち5~6人でチームを作り、与えられた予算の中で自由に活動します。研修をしたり、遊びに出かけたりと、活動内容は自由度が高く、部署を超えて横のつながりを深めることができます。
中小企業は予算の関係上難しい面もありますが、良い制度はすぐに取り入れようとする柔軟な姿勢が、経営者には求められるでしょう。
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