離職を希望する社員が後を絶たないが、離職理由がわからないからどんな対策を打てば良いか分からない。
社員が離職する理由が知りたい。
当記事では、上記のように悩んでいる人事担当・リーダー層の方の疑問にお答えします。
社会全体で人材不足が問題となっている中、優秀な人材をいかに定着させるかは多くの企業で喫緊の課題となっています。離職防止の対策をとるためにも、まずは離職する社員の「本当の理由」を知ることが大切です。
今回の記事では、就労に関する調査結果をもとに離職理由を洗い出し、離職を防止するためには社員とどのように向き合うべきかをお伝えしていきます。
目次
調査結果から見る離職理由
就職・転職活動を経て希望する企業に入社したものの、様々な理由から離職する人がいます。社員が離職を決意する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
内閣府が2017年に行った、就労等に関する若者の意識を調査した「子供・若者の意識に関する調査」によると、最初の就職先を離職した理由について次のような調査結果が出ています。(調査対象は16歳~29歳)
(引用:内閣府「特集 就労等に関する若者の意識 2 就労等に関する若者の意識調査の結果」)
離職理由の上位3つは以下です。
- 「仕事が自分に合わなかったため」 43.4%
- 「人間関係がよくなかったため」 23.7%
- 「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」 23.4%
それ以外にも「賃金がよくなかった」「勤務先の会社等に将来性がないと感じた」という理由も高い数値であることがわかります。
離職理由はそれぞれの年齢や性別、個々が置かれた状況によって異なります。離職防止の対策を考えるときにはまず、どのような離職理由が多いのかを洗い出し、分析することが重要です。
よくある4つの離職理由
上記調査結果をもとに、多く挙げられている離職理由を4つに分類しました。それぞれの理由を深く掘り下げてみましょう。
- 仕事内容のミスマッチ
- 人間関係によるストレス
- 労働条件の悪さ
- キャリア形成が見込めない
離職理由(1)仕事内容のミスマッチ
「思い描いていた仕事内容と違う」「自分のスキルに仕事が合わない」など、仕事内容のミスマッチは離職の理由として多く挙げられます。
企業側は人材の獲得に向けて、求人広告や採用説明会などで自社の魅力を存分に伝えようとします。一方で求職者側も、条件面などに意識が集中してしまい、仕事内容や求められているスキルなどについて深く考えることなく就職先を決めてしまうこともあるようです。
採用の時点でミスマッチが起きていると、業務での失敗などをきっかけに「自分はこの仕事に向いていない」と感じ、離職を意識するようになります。
このようなミスマッチを防ぐためにも、企業側は採用ターゲットを明確にした上で採用活動を行う必要があります。採用後は、社員の持つスキルや知識、性格なども考慮して、力を存分に発揮できる部署へ配属するようにしましょう。
離職理由(2)人間関係によるストレス
職場における人間関係のストレスも、離職を考える理由の一つとなっています。一日の大半を仕事をして過ごす会社員にとって、職場の人間関係は大きなストレスとなり得ます。
上司との関係、同僚同士のやり取り、部下とのコミュニケーションなど、対象や関係性によっても悩みは様々です。
ちょっとしたコミュニケーションロスの繰り返しが大きな溝となり、結果「離職」という取り返しのつかない問題にまで発展することもあります。社員同士が気軽に関わりを持ち、積極的に交流できるような職場作りを意識しましょう。
離職理由(3)労働条件の悪さ
賃金や労働時間、福利厚生など、「労働条件に満足できない」という理由から離職を決意する人もいます。
働き方改革によって働き手の意識はここ数年で大きく変化しており、ワークライフバランスなどを重視する傾向も強くなってきています。他企業の労働条件との比較や、転職に成功した知人からのアドバイスなどが、離職を考えるきっかけになることもあるようです。
社内アンケートなどを通して労働条件に対する社員の満足度を知り、どのような問題があるのかを知ることから始めてみましょう。働きやすい環境を提供することで、仕事に対するモチベーションも向上し、離職を防止することにも繋がります。
離職理由(4)キャリア形成が見込めない
自身のキャリア形成が見込めないということを理由に離職を考える人もいます。社内にロールモデルとなる存在がいないことで、キャリアを描きにくいと悩むケースもあるでしょう。
評価体制や教育制度が整っておらず、どうすれば評価されるのか、この先どのようなスキルが身につくのかが不明確な体制のもとでは、キャリアを築きたいと考えている優秀な人材を定着させることは難しいと言えます。
この会社にいるとどのようなスキルを習得でき、どういったキャリアを積めるのか、「キャリアパス」を社員に向けて明示することが重要です。
離職防止アドバイザーに聞く、離職希望者との向き合い方のコツ
社員の離職に悩むリーダー層への助言を日々行っている離職防止アドバイザーに、離職希望者との向き合い方について聞いてみました。
教育研修事業部 事業部長
社員から本当の離職理由を聞き出すコツは?
やはり日頃からのコミュニケーションが大切ですね。
「退職します」と言われてしまった後では、引き止めることは難しいと考えてもらった方がいいかもしれません。離職を決意するに至るまでの過程があるはずなんです。
離職を決意するまでに周囲から何らかの働きかけがあれば、思い留まることもあるでしょう。日常の関わりから感じ取れるシグナルを見逃さないためにも、日頃のコミュニケーションは重要です。
滞っている業務はないか、困っていることはないかなど、1週間に1度軽いコミュニケーションを取るだけでも違うはずです。リーダー層や上司は面談スキルを上げることも重要となってきます。
離職を防止するために、人事担当者やリーダー層は社員とどのように向き合うべきですか?
まずは一人ひとりの社員と真摯に向き合い、現状に対する満足度やキャリアに対する考えなどを丁寧にヒアリングしましょう。
離職率を下げるという目先の数字にとらわれるのではなく、先々のキャリアを一緒に描いてあげることが大切です。
その上で企業のリーダー層の方々には、この先の「組織像」を社員のみなさんとしっかり共有していただきたいと伝えています。
5年、10年先の組織像を社員と共有することで、それぞれの目指す姿やキャリアを可視化することができ、離職の防止にも繋がるはずです。
社員の離職理由を知り、原因を分析した上で対策を練りましょう
離職の理由は年齢や性別、個々の状況により様々です。
離職防止のための対策を考えるためにも、まずは社員から多くあがる離職理由をしっかり洗い出し、何が原因となっているのかを徹底的に分析しましょう。
社員の「離職」のシグナルを見逃さないためにも、一人ひとりと真摯に向き合い、積極的にコミュニケーションを取るよう心掛けてみてはいかがでしょう。
離職防止の具体的な対策についてはこちらの記事をご覧ください。
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