人事の方であれば、「オンボーディング」という単語を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。
新入社員の即戦力化と離職防止を目的とした仕組みの整備を意味するオンボーディング。本記事ではオンボーディングの具体的な施策をご紹介していきます。
「オンボーディング」とはどのような考え方なのか、具体的な施策を考える上で必要となる視点について先に知っておきたいという方は以下の記事からお読みください。
離職防止のためのオンボーディング施策14選
新入社員の即戦力化と離職防止と聞くと、入社後にどのようなフォローをおこなえばよいかと考える方も多いでしょう。
しかし、そもそも自社に定着しうる人材を採用できていなければ、即戦力化も離職防止も困難となります。
そのため本記事では入社前、入社後に分けて具体的なオンボーディング施策をお伝えしていきます。
入社前にできるオンボーディング施策
新入社員の即戦力化と離職防止をおこなう大前提として、入社前に採用のミスマッチを減らすことが重要となります。
採用のミスマッチを減らすためにできる施策は3つあります。
1.採用ターゲットを明確にする
2.現場社員との交流機会を設ける
3.メリットだけではなくデメリットも伝える
1.採用ターゲットを明確にする
ここでいう採用ターゲットとは、自社の欲する能力を持っているだけではなく、自社に入社する可能性の高い人材のことを意味します。
学歴や社歴、保有資格などといった表面的な情報だけではなく、どういったスキルや価値観、志向を持った人材が自社で活躍するのか、既存社員を分析し明確に言語化しておきましょう。
2.現場社員との交流機会を設ける
入社後、実際に一緒に仕事をすることになるのは現場社員です。
どのような人材を採用しようとしているのか現場社員も含めて事前に確認しておくことで、現場が欲する人材と採用した人材との間にギャップが生じるのを防ぐことができます。
採用される側としても、入社後一緒に働くことになる社員をあらかじめ確認しておくことは安心感につながります。
また、現場社員との交流の際に社内の様子も合わせて見てもらうのもよいでしょう。
面接は会議室など個室でおこなわれることがほとんどです。実際に業務をおこなうフロアや既存社員の働く様子を目にすることで会議室ではわからなかった会社の雰囲気を感じとることができ、入社を決める上での良き判断材料となります。
3.メリットだけではなくデメリットも伝える
採用を成功させたい一心で、企業のメリットばかりを伝えてしまっていませんか。
採用のゴールは入社してもらうことではありません。入社した人材が定着し、戦力化してはじめて採用が成功したといえるのではないでしょうか。
デメリットを知らずして入社してしまうと、想像とのギャップから「こんなはずではなかった」というネガティブな印象を与えてしまいます。
デメリットを隠して求職者を惹きつけるのではなく、デメリットも包み隠さず伝えた上でデメリットを上回るメリットを提示して惹きつけることを意識して採用活動をおこなうようにしましょう。
入社後にできるオンボーディング施策
入社前に採用のミスマッチをなくす施策を充分におこなえば、新入社員の即戦力化も離職防止は基本的には受け入れ側の対応にかかっているといっても差し支えないでしょう。
ここからは入社後にできるオンボーディング施策をご紹介していきます。
4.既存社員への育成方針の共有
5.新入社員に教えておくとよい項目のリスト化
6.オリエンテーション、研修の実施
7.歓迎会の実施
8.メンター制度の導入
9.質問窓口の設置
10.横のつながりをつくる
11.短期目標の設定
12.業務日報の提出
13.定期面談の実施
14.日々のコミュニケーションの活性化
4. 既存社員への育成方針の共有
新入社員にどのような活躍を期待するのか、既存社員はどのような態度をとるべきなのか、会社の方針をあらかじめ既存社員に共有しておきましょう。
そうすることで配属先によるギャップや不満が生じることを抑制することができます。
5.新入社員に教えておくとよい項目のリスト化
新入社員の受け入れにあたり、業務に関しては誰がどのように指導するかを決めている企業も多いでしょう。
一方で備品の場所や印刷方法などといった基本的な情報はその都度誰かが教えればよいと考え、特に指導者を決めていないケースが多いのではないでしょうか。
新入社員からすると誰に聞けばいいかわからない状況や自分だけが教えてもらっていないようなことがあれば、決して気分のいいものではありません。
いずれ誰かが必ず教えなくてはいけないような基本事項についてはあらかじめリスト化するなどし、新入社員それぞれに伝え忘れのないように管理しておくとよいでしょう。
6.オリエンテーション、研修の実施
いざ業務が開始してしまうと、会社全体のことや配属部署以外の業務について知る機会はあまりないという企業もあるでしょう。
全体像がよくわからない会社に対して帰属意識は芽生えにくいものです。
誰がどのような業務を担当しているのかを知るためにも、可能な限り実際に業務を担当している社員から説明を受ける機会を設けるようにしましょう。
7.歓迎会の実施
歓迎会は可能であれば入社初日におこなうことをおすすめします。
早い段階で既存社員と対面で話す機会をもうけることで安心感が得られ、「歓迎されている」と実感できることが帰属意識の芽生えにつながります。
また、よく利用するおすすめの飲食店やコンビニ、郵便局の場所など、会社付近の情報についても合わせて提供すると喜ばれるでしょう。
8.メンター制度の導入
配属先の上司以外とは別に指導・相談役となる先輩社員を指定し、新入社員をサポートすることをメンター制度とよびます。
業務をすすめる中で部署内では相談しにくいことも出てくるでしょう。
メンター制度を導入し直属の上司以外にも気軽に相談できる環境をつくることで、新入社員の悩みや不安を解消へと導きます。
9.質問窓口の設置
職種によっては出張や外出等、上司やメンター社員が日中社内にいないケースもあるでしょう。
上司やメンター不在時メールや電話では内容が伝わりにくいものや、些細な質問事項などを誰に質問すればよいのかわからず新入社員が困惑する可能性があります。
その解決策としてはあらかじめ質問窓口を設置しておくとよいでしょう。
基本的に社内にいるような事務系職種の社員に協力してもらってもよいかもしれません。
あるいはよくある質問をまとめた社内向けウィキペディアのような情報共有ページを用意していつでも検索できるようにしておくのも一つの手でしょう。
10.横のつながりをつくる
LINEグループやSlackのチャンネルを活用し、同時期に入社した入社者同士がコミュニケーションをとれる場をつくりましょう。
同じような立場だからこそ相談できることや解消できる不安もあるため、横のつながりは重要です。
自ら積極的に声をかけられる入社者ももちろんなかにはいますが、なかなか自発的に行動できない入社者もいます。
配属先が異なった場合であっても、入社者同士がコミュニケーションを取りやすくなるような環境を提供し横のつながりを活用できる仕組みを用意しておきましょう。
11.短期目標の設定
新入社員を即戦力化するために目標の設定は欠かせません。
1ヶ月・3か月・半年など、期間を区切ってどのようなスキルを身に着けたいか、新入社員と上司あるいは人事とで目標設定をおこなうようにしましょう。
その際ただ目標を決めるのではなく、言語化していつでも見られるところに記録しておくことや、他社員の前で宣言する機会を設けるようにすると目標達成意欲の増加が見込めるでしょう。
12.業務日報の提出
どのような業務をどれだけの時間をかけておこなっているのかを把握する上で有効なのが業務日報です。
提出された業務日報を確認し、目標達成に向けた動きがとれているか、とれていない場合にはどこを改善すべきなのかアドバイスをおこなうようにしましょう。
13.定期面談の実施
週に1回、月に1回など期間を決めて定期的に個別面談を実施しましょう。
業務の進捗把握やそこから得た学び、課題について話し合い、上司からフィードバックを受けることで新入社員の成長を促します。
この際、面談内で話すべき項目についてあらかじめアジェンダを決めておくと面談がより有意義なものとなるでしょう。
14.日々のコミュニケーションの活性化
オンボーディング施策のベースともいえるのが日々のコミュニケーションの活性化です。
日常的にコミュニケーションをとることで、課題に感じているポイントやモチベーションの変化にいち早く気付くことができます。ランチや飲み会に誘うことなども含め、新入社員と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
とはいえ忙しくてなかなかコミュニケーションをとることができないという場合には、離職防止ツールの活用を検討してみてもよいでしょう。
当社は『HR Ring』という離職防止ツールを商材として扱っており、自社にも導入しています。
実際に使用している社員のレビューが知りたい方は以下の記事も合わせてお読みください。
オンボーディング施策は実践・改善の繰り返しが重要
いかがでしたか?
ここまで具体的なオンボーディング施策をお伝えしてきました。オンボーディング施策に正解はありません。自社にはどういった施策が合うのか、実際にやってみる。
そして入社者や現場社員の声を聞き、内容を改善していくことでその効果を高めていくことが可能となります。
いきなりすべてを実践することは難しいかもしれませんが、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
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