社員が次々と会社を辞めてしまう「退職の連鎖」を経験したことのある、人事担当者やリーダー層の方もいるのではないでしょうか。
連鎖が起こると、企業のみならず在籍する社員にとっても大きな負担となるため、いかに未然に防ぐかが重要です。
今回の記事では、退職の連鎖を引き起こす原因や、退職の連鎖が起きてしまったときに打つべき対策をご紹介します。
目次
退職の連鎖を引き起こす5つの原因
退職の連鎖には必ずきっかけがあり、連鎖を止めるためにはその原因を理解することが重要です。退職の連鎖を引き起こす原因を5つご紹介します。
原因(1)キーマンやエース社員の退職
影響力のある一人の社員の退職がきっかけで、連鎖が起こることがあります。
エース社員や職場のキーマンが退職してしまうと「この会社に未来はない」と考えて、他の社員も後を追うように辞めてしまうことがあるのです。
また、人柄がよく、多くの人から慕われている社員が退職してしまう場合は、残された社員のモチベーションが低下してしまう可能性があるでしょう。
「あの人がいないなら、この会社で働き続ける意味がない」と目標を見失い、そこから退職へ繋がってしまうこともあります。
原因(2)働き続けられない職場環境
退職の連鎖が起きる会社は、社員が生き生きと働けない職場環境になっていることが考えられます。
「長時間労働」や「残業が多い」といった労働条件への不満のほか、上司によるパワハラなども退職を考えるきっかけになるでしょう。
一人が辞めたことで、同じように労働環境で悩みを抱えていた人が影響を受けて辞めていき、その結果、退職の連鎖が起きてしまうこともあります。
原因(3)管理職や経理担当者の退職
注意しなければならないのは、管理職や経理担当者の退職です。業績や経営方針など、自社の内情を知る立場の人が退職すると、「会社の運営状況が良くないのかもしれない」と想像できてしまうからです。
そういった立場の人が辞めると、社内で会社の将来について不安な声が広がり、会社に何か起きる前に自身の身の振り方を考える社員もいるでしょう。
不安や焦りの伝染は、退職の連鎖に繋がってしまうのです。
原因(4)退職による人手不足が新たな連鎖を生む
社員が一人でも退職をしてしまうと、人手不足により、今まで通りに仕事をまわせなくなる状況に陥ることも考えられます。
人員に余裕がない状態で退職が続けば、周囲の負担は増すばかりです。
負担増に耐え切れずに他の社員も辞めてしまえば、退職の連鎖を食い止めることができなくなるため、早急に手を打つ必要があるでしょう。
原因(5)退職の連鎖による会社の評判の悪化
退職の連鎖という負のスパイラルは会社の評判にも悪影響を及ぼします。
退職の連鎖によって人員が確保できず、基本的な業務すら滞ってしまうと、企業の業績にも響き、取引先からの信頼も失墜してしまうでしょう。
また、会社の評判の悪化は、採用でもマイナスな影響を与えてしまいます。近年、求職者は志望する企業について公式な情報だけではなく、SNSや口コミサイトなどをチェックして情報を得ています。
退職の連鎖を感じさせる情報はあっという間に伝わり、新卒採用だけではなく、即戦力となる経験者の採用も難しくなります。
離職の連鎖を防止する3つの対策
一人の社員の退職から、さまざまな原因により連鎖が始まる可能性があります。退職の連鎖が起きてしまったときに打つべき対策を3つご紹介します。
対策(1)内部改善を図り、退職者を減らす
退職した社員の穴埋めをするために、残された社員に業務を分配する方法で安定化させる対策を取る企業もありますが、それは逆効果と言えるでしょう。
過剰に業務を任されるようになった社員は疲弊し、結果退職の連鎖を生むことに繋がります。
まずは社員の勤務時間と業務内容、生産性などを精査し、余裕を持って人員が確保できるのかどうかを確認しましょう。社内で確保できない場合は、追加で採用をします。
退職連鎖を防ぐために、社員エンゲージメントを把握し、満足度ややりがいを向上させる取り組みも積極的に取り入れていきましょう。
内部改善や内部強化に対するコストを惜しまない姿勢を見せることで、社員は会社への愛着心を持ち、より一層貢献してくれるはずです。
対策(2)相談しやすい円滑なコミュニケーション
退職の連鎖を防ぐために、積極的に情報共有ができる、風通しのよい職場に変えていくことが大切です。
職場でのコミュニケーションを活性化して相談しやすい環境を作ることは、悩みを抱えている社員にとって大きな助けとなるでしょう。
また、同期同士や若手社員同士はコミュニケーションを取れていても、経営陣や管理職とはコミュニケーションが不十分な場合があります。
将来の不安や会社に対するマイナスイメージを払拭するために、職場懇談会などを積極的に取り入れ、社員の不満を溜めないような工夫も欠かせません。
離職の兆しを早期発見する離職防止アプリ「HR Ring」の詳細はこちらから
対策(4)ロールモデルとなる優秀な人材の定着
ロールモデルとなる優秀な人材を定着させることも、退職の連鎖の防止に繋がります。
高い実績を上げ続ける優秀な社員は、若手社員や同僚への影響力が強いため、彼らが伸び伸びと働ける環境を用意してあげることが大切です。
勤続年数に関係なく、優秀な人材を重要なプロジェクトに抜擢したり、働き方として副業や在宅勤務を可能にしたりと、社員が働きやすく、チャレンジできる制度の導入も検討するとよいでしょう。
ロールモデルとなる人材が複数在籍することで、職場全体が活性化し、定着率が高まることも期待できます。
退職の連鎖を起こさないためにできる対策とは?
退職の連鎖を起こさないために、人事担当者やリーダー層はどのようなことを意識すればよいのでしょうか。離職防止アドバイザーに、すぐにでも取り入れたい退職の連鎖を防ぐ対策について聞いてみました。
教育研修事業部 ゼネラルマネジャー
離職防止アドバイザー
退職の連鎖を未然に防ぐために、人事担当者やリーダ層に必要な意識とは?
「人間関係が理由で退職する」という社員がいる職場では、周囲の社員も同じ不満を抱えている可能性があります。
社員の退職理由と現場の状況をしっかり照らし合わせたうえで、原因を追究し、すばやく取り除くことが重要となるでしょう。
また、人事担当者やリーダー層は、退職者の影響で業務がひっ迫しないよう、退職者が出た場合に備えて、仕事の割り振りや担当部署との連携を考えておきましょう。
人のマネジメントと業務のマネジメントの両方が必要です。
退職の連鎖が起きてしまったときに取るべき対策とは?
身近な部下に対しては、フェイス・トゥ・フェイスできちんと話を聞くことが大切です。
リーダー層が退職の連鎖自体に気付いていないケースもあるので、ちょっとした変化に気付けるよう日頃からのコミュニケーションが重要となるでしょう。
「会社に行くことが苦痛だ」「仕事が面白くない」などネガティブな理由で退職されるのは、企業としてもマイナスですよね。そのような退職の芽を察知し、事前に摘んでしまえるよう、社内環境を整えていくことが重要なのではないでしょうか。
まとめ
退職の連鎖はどの企業でも起こり得ることですが、何の理由もなく退職の連鎖が起きることはありません。
退職の連鎖を引き起こす原因を洗い出し、事前に対策が打てれば、社員が長く働き続けられる環境を作ることができるでしょう。
積極的に内部改善を図り、退職者を減らす対策を取り入れていきましょう。
開催中の無料セミナー
人が辞めにくい組織をつくるには【青山学院大学 山本寛教授が解説!】
社員のエンゲージメントを向上させ、
定着させるためのマネジメントのポイントセミナー
開催日時:
2025年2月18日(火)13:00-14:00
離職対策のポイントを世代別に解説!
不必要な離職を防ぐ!30分でわかる、社員の定着ポイントセミナー
開催日時:
2025年2月5日(水)13:00-13:30
中途採用者の定着・戦力化支援のやり方は?
中途社員のオンボーディングのために必要なポイント解説セミナー
開催日時:
2025年2月7日(金)13:00-14:00
おすすめのお役立ち資料
離職防止の他、各分野のお役立ちコラムを公開中
離職防止の知恵袋の他、新卒採用の知恵袋、中途採用の知恵袋、社員研修の知恵袋を運営しています。ぜひ合わせてご覧ください。