採用サイトとは、求職者向けWebサイトの総称です。採用が重要な経営課題となっている企業では、コーポレートサイトとは別に採用サイトをつくるケースが増えています。
採用サイトには「企業理解の促進」という大きな目的があり、求職者向けに自由なコンテンツを発信できるのが特徴です。
自社に合った人材を獲得するためには、どのような採用サイトをつくればよいのでしょうか。今回の記事では、採用サイトの種類やつくり方のポイント、注意点などを徹底解説します。
採用サイトの種類
採用サイトは、主に3つの種類に分けられます。「採用ランディングページ(LP)」「採用ホームページ」「採用オウンドメディア」について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)企業への興味喚起を強化する「採用ランディングページ(LP)」
採用ランディングページ(LP)とは、人材採用に特化したWebページのことです。企業への興味喚起の促進を目的につくります。
「求人情報」「問い合わせ」「資料請求」など、応募に直結する情報が1ページにまとめられているのが特徴です。
採用ランディングページ(LP)を活用するメリットには、「キャッチーな内容にフォーカスできる」「離脱が少なくCV獲得につながる」「合同説明会に代わる学生との初期接点になる」「費用が安い」などが挙げられます。
また、ショートムービーを掲載でき、短時間で興味喚起につながるといった効果も期待できます。
(2)網羅的に採用情報を掲載し、幅広いターゲットに応える「採用ホームページ」
採用ホームページは、ユーザー側が目的をもって訪問するケースが多いです。
エントリー前であれば、自分に合った企業かどうかを検証するために、短時間で企業情報を確認するケースもあるでしょう。
また、選考が進み志望度が高まっているユーザーの場合、企業研究や志望動機を探す目的で訪問しているとも考えられます。
採用ホームページは企業の魅力や採用に関する情報を網羅的に掲載することで、幅広いターゲットに応える役割を担います。
網羅的につくることで、「採用後のミスマッチ防止」「求める人材からの応募数アップ」につながります。
(3)SNS、求人広告との連携により発信力が向上する「採用オウンドメディア」
採用オウンドメディアとは、採用に特化した自社Webメディアです。採用ターゲットや市況の変化に対応しながら常にコンテンツを制作し、発信できるのが特徴です。
新しく記事をアップする度にSNSや求人広告を使い告知することで、発信力が向上します。
さまざまな記事をコンスタントにアップすることで、継続的にユーザーとつながれるのもメリットです。他にも、「ミスマッチの減少」「アクセス解析し、PDCAをまわせる」「インナーブランディング」への効果も期待できます。
このように、採用サイトと呼ばれるメディアには種類があり、特徴や効果にも違いがあります。
採用サイトをつくる際は、まず初めに採用の役割や目的、ターゲットを考えた上で、自社に適した採用サイトを選択することが大切です。
採用ホームページのつくり方と、押さえておきたいポイント
前述した3つの採用サイトの中でも、採用ホームページはユーザー側が見にくるメディアです。
さまざまなターゲットの幅広いニーズに応えるために、採用ホームページでは採用情報を網羅的に押さえてつくる必要があります。
ここからは、採用ホームページのつくり方と、手順ごとに押さえておきたいポイントを解説します。
手順(1)ターゲット像を明確にする
まずは「どのような人材を採用したいのか」をイメージし、ターゲット像を明確にします。
コミュニケーションスキルを求める場合、「人前で自分の意見を堂々と伝えられる」「初対面の人とでもすぐに打ち解けられる」というように、具体的に定義しましょう。
ターゲットが曖昧では求める人材からの応募につながりにくい
手順(2)掲載情報を整理する
採用ターゲットを設定できれば、次に掲載情報を整理します。
「企業が掲載したい情報」と「求職者が求めている情報」をすり合わせ、掲載すべき情報を精査しましょう。コンテンツの企画からコピーライティングに至るまで、「求職者の視点」を持つことが重要です。
求職者が求めている情報として、「具体的な仕事内容」に関してニーズが高い傾向にあります。また、自社サイトだからこそ掲載できる内容を探ることで他社との差別化も図れます。
自社が掲載したい情報ばかりを載せるのはNG
手順(3)サイトマップをつくる
サイトマップとは、サイト全体の構造をリスト化したものです。
サイトマップにより、サイト全体がどのように構成されているのかをすぐに把握でき、サイト制作をスムーズに進められます。
採用ホームページは、一般的に「TOPページ」「企業紹介」「企業理念」「社長メッセージ」「社員紹介」「待遇・福利厚生」「選考基準」「応募方法」「応募ページ」「よくある質問」などで構成します。
サイトマップは極力シンプルに仕上げ、ページごとの情報量を増やす
手順(4)サイトデザインを決める
「自社のどのような部分を見せたいのか」を徹底的に考え、採用ターゲットに即したデザインに仕上げます。
「写真や動画を活用して社員がいきいきと働く様子を伝えたい」「テキストメインで企業理解を深めたい」など、どのように見せたいのかデザインを検討しましょう。
競合他社のデザインをチェックする
手順(5)採用広報コンテンツを制作する
近年は企業の雰囲気を知りたいという求職者の声が多く、社員を紹介して企業の雰囲気を伝える採用サイトが増えています。
採用広報コンテンツとして制作されているのは、「社長や社員のインタビュー」「企業・組織文化の紹介」「研修制度」「キャリアパス」などです。
加えて、福利厚生や報酬、採用条件など、求職者が質問したい内容を掲載すると効果的です。
入社後に自分が働くイメージを伝えられるコンテンツが効果的
手順(6)コーディングをし、ページを公開する
最近では、採用ホームページをスマートフォンやタブレットで閲覧する人が増えています。異なる画面サイズに応じてWebサイトが最適に表示されるよう設計するのもポイントです。
また公開後は、流入数や滞在時間、離脱率を分析するなど、効果検証を実施しましょう。
採用ホームページの公開後は効果検証を実施し、適宜修正を加えていく
採用サイトをつくる際の注意点
採用サイトを活用して、自社に合った人材を獲得している企業では、採用サイトをつくる際にどのようなことに留意しているのでしょうか。
クリエイターとして多数の広告賞受賞実績があり、企業の採用サイトの企画・制作に携わる担当者に、採用サイトをつくる際の注意点を聞いてみました。
クリエイティブ事業部 ゼネラルマネジャー
採用サイトをつくる際に気をつけたい注意点とは?
採用サイトの制作手順として、サイトマップをつくった後に、取材・コピーライティング、デザイン制作が発生します。
その都度、クライアントにコピーやデザインに対するフィードバックをいただきますが、いろいろな人のさまざまな意見が入ってくると最初に設定した採用サイトの役割や目的、ターゲットが曖昧になってしまう恐れがあります。
制作に関わる人が多くなればなるほど、注意が必要ですね。
フィードバックをそのまま反映してしまうと、結果的に最初に設定したターゲットやコンセプトからずれてしまうケースもあります。
そうならないために、フィードバックを受ける時は、丁寧にターゲットやサイトの目的に立ち返り、「このコピー・デザインでよいのか」「修正依頼にそのまま対応してよいか」、きちんとすり合わせていくことが大事ですね。
採用サイトを活用することでどのような効果を得られますか?
採用サイトは、実は学生に情報を発信するだけではありません。
きちんとアクセス解析し、記事ごとに滞在時間や離脱率を分析できれば、採用サイトの問題を改善するだけではなく、採用コミュニケーション全体のブラッシュアップにつながります。
採用サイトの効果検証・分析から得られる情報により、採用全体でよく読まれている記事が見えてくるはずです。
そこから、学生(ユーザー)が求めている情報がわかります。それを説明会や入社案内などで厚めに伝えられれば、惹きつけにも効果的ですね。
このように、採用コミュニケーション全体に採用サイトで得られた情報をフィードバックしていくことで、採用広報がどんどん良くなっていきます。
効果検証は保守運用にあたり、コンサルタント領域になるため別途費用が発生するケースもあります。採用サイトのポテンシャルを最大化するために、効果検証にも目を向ける必要がありますね。
まとめ
採用サイトをつくる際は、サイトの役割や目的、ターゲット像を明確にすることが重要です。
その上で、自社の採用活動でどの部分を強化したいかによって、「採用ランディングページ(LP)」「採用ホームページ」「採用オウンドメディア」から効果的なメディアを選択しましょう。
今回の記事で紹介している採用ホームページのつくり方や注意点を参考に、自社への興味を喚起させる採用サイトの制作に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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