新卒採用が売り手市場の昨今、内定辞退に悩む企業も多いといわれています。
そのような中、採用現場では内定辞退の防止策として「オヤカク対策」が注目されています。
今回の記事では、オヤカク対策の意味と内定辞退に有効なオヤカク対策についてをご紹介します。
目次
オヤカク対策とは
オヤカクとは漢字にすると「親確」と表記します。新卒採用においてオヤカクとは、就職活動中の学生が、採用過程で親に就職について相談・確認をすることです。
最近では、企業が内定者の親に対して内定同意の確認をおこなう行為や、親の反対による内定辞退を阻止するために企業がおこなう働きかけなども「オヤカク対策」として注目されています。
企業にとってオヤカク対策が必要な理由
なぜ新卒採用活動において、学生だけでなく親までを対象にした取り組みが重要になってきているのでしょうか。
その背景には、売り手市場により増加している内定辞退の現状や、親の意見に影響される昨今の学生の傾向などがあります。
企業がオヤカク対策を必要とする具体的な理由について解説します。
内定辞退率を低下させるため
オヤカク対策に取り組むことは、企業によっては内定辞退率を低下させる効果を期待できます。
近年、新卒採用の売り手市場が恒常化していることも受け、内定辞退率が高めで推移していることへの１つの対策ともいえるでしょう。企業にとって内定辞退者が出ることは、求人広告費や面接に費やした人件費などが無駄になることを意味します。
企業がオヤカク対策をおこなうのは、採用競合との人材獲得競争に勝ち、内定辞退率を下げることが一番の目的です。
子どもの将来に干渉する親がいるため
昨今では、親の反対が原因で内定を辞退するケースが珍しくありません。
その理由として、少子化などの影響から、親が子どもの将来に干渉していることが推察されます。親が子どもに対して期待する気持ちから、「できれば大企業に入社してほしい」「就職先がブラック企業でないか」など、就職先を気にするケースが増えています。
企業に関する情報がメディアやWeb上で氾濫している状況ゆえ、内定者の親が子どもの就職先を真剣に吟味・調査するようになっているともいえるでしょう。
企業が「オヤカク対策」をしておくことで、子どもの選んだ企業について、親に安心してもらうことができます。
オヤカク対策の具体的な施策６つを紹介
ここからは、オヤカク対策として有効な施策を紹介します。オヤカク対策実施のポイントは、子どもの就職先を案じている親に向け、安心できる情報を十分に提供することです。
以下の施策を参考に、それぞれの企業にとって最適な方法を取り入れるとよいでしょう。
施策（１）親への企業情報資料の送付
オヤカク対策として、比較的低コストかつ手軽におこなえるのが、自社のことを紹介するパンフレットの送付です。
事業内容や業務内容に加え、親にとって安心につながる福利厚生制度、キャリアパスなどを記載したパンフレットを親宛に送付します。
送付したパンフレットを用い、学生が親を説得するツールとしても使用することも可能です。
施策（２）採用サイトに親向けページを設ける
自社の採用サイトに親向けのページを設けることもオヤカク対策の１つです。
親向けページのメリットは、就活中のどのタイミングでも閲覧ができること。子どもが親を説得したいタイミングでも、親が自発的に企業を調べようとしたタイミングでも活用されています。
採用サイトの親向けページでは、例えば入社後の家族の声やキャリアステップの紹介などが効果的です。
仕事を通じた成長を客観的に見せることで、親は子どもの入社後の姿に重ね合わせることができるため、安心材料となります。
施策（３）親宛に手紙や内定理由通知書を送付
内定者の親宛に、学生のどの部分を評価して採用を決めたかを説明する内定通知書や、社長や採用担当者自ら手紙を送付する施策もあります。
内定理由を伝えることで親に安心してもらうことが目的です。
施策（４）自社製品を親へ送付
自社製品を知ってもらうため、親宛に製品を送付するオヤカク対策もあります。
製品の訴求に留まらず、子どもが入社後に組織の一員として製品を手掛けるイメージを想像することが可能になります。
このオヤカク対策は、自社製品を送付できる企業でしか実行が難しいため業界を選ぶ施策です。
施策（５）食事会・懇親会などのイベントに親を招待
イベントへ親を招待する施策は、大手企業も取り入れているオヤカク対策です。
企業によってイベントの内容はそれぞれで、会社見学や親同士の懇親会などが実施されています。また、親の入社式参加を認める企業もあります。
施策（６）親への電話挨拶・実家訪問
社長や採用担当者自ら出向き、直接親へ挨拶する企業もあります。この方法は、企業側の誠意を伝えることができるでしょう。
親も子どもの入社に対し、企業へ直接確認したいことがある場合は、このタイミングで聞くことができます。
企業がオヤカク対策をする上でのポイント
実際にオヤカク対策をおこなう際には、どのようなポイントを押さえるとよいのでしょうか。
クリエイターとして多数の広告賞受賞実績があり、企業の採用サイトの企画・制作に携わる担当者に、オヤカク対策のポイントを聞いてみました。
クリエイティブ事業部 ゼネラルマネジャー
オヤカク対策をするべき企業とは？
いわゆる不人気業界とよばれる企業はオヤカク対策に取り組むべきでしょう。
例えば、飲食・介護・小売などの業界が考えられます。業界そのものに問題があるわけではなく、親が消費者として利用している場合は、企業に対しての先入観を持っていることが考えられます。
親世代がコンビニ業界への就職と聞くと、店舗でレジ打ちする姿を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際のコンビニ業界の業務内容は幅広いものです。企業は入社後の働き方を、親にしっかり伝える必要があるでしょう。
オヤカク対策を実施する上でのポイントは、採用担当者が内定者の親の気持ちになって考えることです。
「親はどういう気持ちで自社のことを見ているのか」「子どもの入社に対して何に不安を感じているのか」そこをケアするための、オヤカク対策をおこなうことが重要です。
オヤカク対策をする上での注意点は？
採用活動全般についてもいえることですが、よい面ばかりを伝え過ぎないことです。
企業の魅力を誇張しすぎず、数字に基づいた事実を見える化して伝えることが、子どもの就職先としての安心感につながります。
オヤカク対策の目的は、親が子どもの就職先を反対し内定辞退するケースを減らすこと。
オヤカク対策はあくまで採用活動の一部です。新卒採用活動に費やせる予算は限られているため、実施する際には手間とコスト、タイミングが重要です。
企業の姿勢としては、内定を出してからオヤカク対策をするのではなく、就職活動中に学生がいつ親に確認してもよいように、就活期間全体でオヤカク対策を意識しましょう。
また、自社がオヤカク対策に注力することで、目的とする内定辞退が減らせるのか、そのためにはどの施策を実行するのかを社内で検討するとよいですね。
オヤカク対策をして、実際に内定辞退の抑制に効果がでた事例は？
ガソリンスタンド会社の事例を紹介します。
この会社では内定者の親向けに説明会を実施しました。目的は、斜陽産業といわれるガソリンスタンド業界で、自社が今後どのような戦略で成長していくのかを説明し、親の不安を払拭することでした。
自社のことだけでなく、業界全体の今後についても、客観的な数値を含め事実として伝え、企業の信頼を得られるようにした事例です。
結果として、この会社では採用目標人数を達成することができました。
まとめ
企業によるオヤカク対策は、内定者本人のみならず親にも自社の理解を深めてもらい、子どもが安心して入社してもらうことにつながります。
入社前に親の不安を取り除くことで、親の反対による内定辞退率の低下が期待できるでしょう。
今回の記事を参考に、自社にあったオヤカク対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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