新卒採用向けの採用サイトは、企業への興味喚起を図るのに有効なメディアです。しかし、よくあるコンテンツを制作するだけでは十分に効果を発揮できません。
採用サイトに最低限掲載すべきコンテンツは、学生が応募・エントリーする上で必要不可欠な情報となる「募集要項/職種詳細」「選考フロー」「会社紹介」です。
一方で、自社への興味喚起を促進するためにはどのようなコンテンツが有効なのでしょうか。
今回の記事では、新卒採用向けの採用サイトにおいて効果を発揮するコンテンツ例を、成功事例とともにご紹介します。
目次
新卒採用向けの採用サイトによくあるコンテンツ例
採用サイトは、最初にサイトの目的とターゲットを決めてから制作します。コンテンツは、その目的とターゲットに沿った内容であることが重要です。
新卒採用向けの採用サイトによくあるコンテンツ例として、「学生が求めているコンテンツ」と「採用競合他社との差別化に使いやすいコンテンツ」に分けて解説します。
学生が求めているコンテンツ
学生が求めているのは、企業理解を深めるために必要な情報を得られるコンテンツです。
企業のビジョンや事業にかける思いを伝える「企業メッセージ」をはじめ、具体的な仕事内容や社風をイメージできる「社員紹介」、入社後の働く姿を思い描くための「キャリアパス」などが当てはまります。
また、学生にとって働く上での不安要素を解消するために重視したい「研修・福利厚生」については、社内制度なども織り交ぜて、自社の取り組みを伝えられます。
「よくある質問」では、会社情報として知ってもらいたい内容をプラスアルファで掲載できるのがメリットです。
企業が運用しているSNSアカウントの情報も、社内の様子や雰囲気をイメージしてもらいやすいため有効です。
採用競合他社との差別化に使いやすいコンテンツ
採用競合他社との差別化に使いやすいのは、学生へ視覚的に訴えかけるコンテンツです。
例えば、「男女比」「平均残業時間」「有給取得率」「産休・育休取得率」など、学生が知りたい数値データを視覚的に表現して打ち出します。
また、動画は企業理解を促進するための強力なコンテンツです。社員紹介やオフィスツアーなどをショートムービーにして「生の声」「会社のリアル」を届けることで、「入社後の働くイメージ」や「企業への親近感」を醸成できます。
企業への興味喚起の促進に成功した3つのコンテンツ事例
ここまで紹介してきたコンテンツ例は、あくまでも一般的な例であり、全て網羅しているからといって十分とはいえません。
採用サイトの目的とターゲットは、企業によって異なることを念頭に置きましょう。よくあるコンテンツだけを揃えた採用サイトでは、何の効果も発揮しない恐れもあります。
自社で定めた採用サイトの目的とターゲットに沿ったコンテンツを制作しなければなりません。
まずは競合他社を設定し、「どの部分を差別化したいのか」「競合他社になくて自社にある魅力は何か」に着目し、そこから差別化できるコンテンツを発想していきます。
自社の課題に目を向けることもコンテンツ制作のヒントになります。課題や目的に合わせて、自社に必要なコンテンツを見極めましょう。
ここからは、クリエイターとして多数の広告賞受賞実績があり、企業の採用サイトの企画・制作に携わる担当者に、新卒採用で効果を発揮するコンテンツについて聞いてみました。
クリエイティブ事業部 ゼネラルマネジャー
事例(1)学生に知られていない企業力の高さを訴求し、企業への興味喚起を促進
医療・ヘルス業界で世界的に知られるA社の場合、日本の学生への認知度は低く、優秀層の採用につながらないといった課題を持っていました。
採用競合となるのは、世界で有数の戦略コンサルティングファームをはじめ、外資系の投資銀行や商社、メガベンチャーです。
学生は自分が知る範囲のイメージで就職先を選択しがちですよね。
どうすれば学生にA社の魅力を伝えられるのか検討を重ね、採用サイトのトップコンテンツとして「優秀層に企業分析方法を提示するコンテンツ」を提案しました。
内容は、学生へ企業分析について問題提起し、理想的なファーストキャリアを選択するためのフレームワークなどをスライド形式で紹介しています。
正しい企業分析の方法を提案することで、学生に知られていない企業力の高さを訴求でき、企業への興味喚起に成功した事例です。
事例(2)意図を持った社員紹介で企業の魅力を訴求し、学生の選択肢の幅を広げる
よくあるコンテンツの一つとして社員インタビューがありますが、よくあるからこそ意図を持ってつくることで競合他社との差別化を図れます。
私がクライアント企業に提案したのは、ターゲット学生からの高い支持を得ている企業から転職してきた社員を紹介するインタビューです。
ターゲット学生が憧れる企業からの転職者に、「なぜ転職先としてこの企業を選んだのか」「どのような思いで働いているのか」について語ってもらいました。
学生の視点だけでは見えない企業の魅力を打ち出せたことがよかったですね。中でも、「20代からこの企業で働きたかった」というメッセージは、学生の選択肢に自社が加わったと評価されました。
また、社員インタビューは「#(企業名)」「#20代の成長環境」「#投資銀行」「#総合商社」などのハッシュタグでソートできるように工夫しました。
学生に馴染み深い要素を取り入れたのもポイントですね。
事例(3)学生の認知と実態の違いをオウンドメディアで解消
企業に対する学生の認知と実態が異なるケースでは、正しい理解に導くためのコンテンツを提案しました。
マーケティング施策を扱うB社では、通信教育のイメージが強いために学生から教育関係の企業だと思われていることが課題でした。
実際にB社では社員の約8割がマーケティングの仕事をしているそうです。採用する職種もマーケッターですが、教育に興味のある学生からの応募が多いという状況でした。
企業としては広告やマーケティングに興味のある学生を採用したいのに、ミスマッチが起こっていたんですね。
そこで、採用オウンドメディアにて「マーケティング会社」であることを全面的にアピール。マーケッターのインタビューや自社のマーケティング戦略について語ってもらうコンテンツなど、マーケティングに興味のある学生に響く内容を意識して制作することで、本来の企業の魅力を訴求でき、正しい理解に導くこともできました。
企業が抱える課題から効果的なコンテンツを発想することも大切ですね。
まとめ
新卒採用向け採用サイトのコンテンツは、「学生が求めているコンテンツ」と「採用競合他社と差別化できるコンテンツ」に分けて考えます。
ところが、企業ごとに採用サイトの目的とターゲットは異なるため、よくあるコンテンツを揃えるだけではなく、自社の目的に沿ったコンテンツを選びましょう。
今回の記事で紹介している、新卒採用で効果を発揮するコンテンツ事例も参考にして、自社の採用サイトに必要なコンテンツ制作に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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