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社員さんと一緒に会社を守り育てていく「株式会社黒田精機製作所(KUROTA)」
2024年上半期(1月~6月)、物価高騰の影響で多くの企業が倒産に追い込まれ、業種別に見ると製造業が最多となる91社にのぼることが、東京商工リサーチの調査で明らかになった。原材料価格やエネルギーコストの高騰が続き、企業収益を圧迫していることが背景にあるとみられる。
原材料価格の高騰や円安の影響で多くの製造業が苦境に立たされる中、2025年に創業100年を迎える株式会社黒田精機製作所( 以下、KUROTA)は、なぜ成長を続けられているのか。その秘密は、グローバル展開と"人中心の経営"にあった。
社員は家族
KUROTA(愛知県名古屋市)は、主に自動車のブレーキ部品、エンジン部品などの製造を手がける自動車部品メーカーだ。アルミ加工技術の高さを武器に、1995年にタイ工場、2012年には中国に事務所、そのさらに2年後の2014年にはメキシコ工場を設立。自動車部品業界の中でもいち早く海外に進出し、グローバル展開を加速させてきた。KUROTAという名称は、創業者の戦前の時代から、海外の方にも発音がしやすいようにロゴが作られたという。
最近では、デジタル化(DX)の推進やオリジナル商品開発、工場のショーケース化などにも力を入れており、その背景としてKUROTA執行役員の黒田崇裕さんはこう話す。
「守りに入るのではなく、業界競争を生き残るために新しいことを積極的に取り入れていきたいと思っています」
KUROTAは、2025年には創業100周年を迎えるが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。幾度も経営危機を迎えるなか、創業以来大切にしてきたもの、それは「良い品づくり、人づくり」という経営理念だ。
「私が幼い頃から祖父は常々、『会社が苦しい時もあったが、社員さんのおかげでKUROTAは乗り越えられた。だから社員さんは家族同然、何があっても守りたい大切な存在なんだ』と言っていました。祖父のこの言葉こそKUROTAの根幹であり、私が経営に携わるうえで大切にしている信念でもあります」
経営理念"良い品づくり、人づくり”が社内に根付くKUROTA
(QCサークル大会の様子)
KURORAの経営理念"良い品づくり、人づくり”は、さまざまなカタチで具現化され会社のカルチャーとして深く根付いている。業界経験者だけでなく経験ゼロからスタートするメンバーも多い同社では、社員の成長をサポートするための取り組みとして資格取得支援制度を実施。
資格取得支援制度では、業務に関連する資格を取得した社員に対し、受験費用や教材費用の補助に加え、資格手当を支給するなど手厚いサポート体制が整っているのだ。
また、社員の成長を促す重要な取り組みの一つとして、25年以上続く「QCサークル大会」がある。
「QCサークル大会は、社員自ら業務改善に取り組みその成果を発表する場として、毎年開催しています。ただ単に毎日同じ仕事をするだけでなく、自分の仕事をもっと良く改善した発表の場を作ってあげたいという思いから始めました。最初は国内のみの開催でしたが、今ではタイ・メキシコ工場それぞれで社内大会を行い、優勝したチームを日本に招待するグローバルな社内イベントへと成長しています」
社員の頑張りを見える化するユニークな評価制度
(社員で討議する様子)
さらに、グッドリーダ―賞、縁の下の力持ち賞といった独自の評価制度を設け、社員の頑張りを評価する取り組みも人ファーストを大切にするKUROTAならではの特徴だ。
「これらの賞は、単に業績だけでなく、チームへの貢献や他部署との連携、会社の理念体現など、多角的な視点から社員さんの努力を還元する仕組みとなっています」
会社の成長には、ともに働く社員ひとり1人の成長が欠かせない。そのため、多くの企業では社員が成長を実感し能力を最大限に発揮できるよう、個人目標を設定する。
しかし、目標達成に意識が向きすぎるあまり、周囲との連携がおろそかになったり、視野が狭まってしまう。KUROTAでは、こうした課題を改善し、社員同士の連携を強めるために、他部署へのサポートも評価対象としている。
「評価シートに他部署支援の項目を設け、部門を越えた協力活動を可視化し評価しています。例えば、自分が所属する部署の仕事が一段落したときに、繁忙期の他部署をサポートすることが評価ポイントになるというもの。
国内だけに限らず、タイやメキシコ工場と日本本社との連携もこの制度の対象です。時差や言語の壁を越えて協力し合う姿勢が、グローバル展開を進める上で大きな力となっています。これにより、会社全体の業務効率が上がるだけでなく、社員間の相互理解が以前より深まっていると感じます」
これら評価制度のほとんどが、社員の声から生まれたものだという。
「私たちは、社員さん一人ひとりの成長が会社の成長につながると信じています。だからこそ、社員さんを家族のように大切にし、共に成長していく。それがKUROTAの在り方であり強みだと思いますね」
過去には派遣から正社員になったケースも!未経験からでもチャレンジできる環境
「KUROTAの強みは、日本国内だけでなく、タイとメキシコでも生産を行い、それをグローバルに供給できること。現地で作ったものを世界中に届けられるんです」
業界未経験からのスタートであっても、国内で実績を積めば語学力に自信がなくても挑戦できると、崇裕さんは断言する。
「ボディランゲージやノンバーバルな表現で十分にコミュニケーションが取れるので、現地の言葉を流暢に話せるかどうかは重要ではないですね。むしろ、興味を持って取り組む姿勢や協調性があるかどうかを重視しています」
現在海外工場の工場長として活躍している社員も、最初は派遣社員として入社しその後正社員へとステップアップしたのだという。KUROTAが目指す職場とは、社員一人ひとりの個性や能力が正当に評価され成長できる環境。経験の有無を問わず挑戦できるこの職場こそ、KUROTAが追い求めてきたものなのだ。
「2025年で創業100周年を迎え、オリジナル製品の開発・販売、給与ベースアップの実施、評価制度の見直しなど、お客様にも社員さんにも選ばれる企業を目標としています。100年の歴史に満足することなく、150年、200年後も続く企業を目指していきたいです」
株式会社カケハシスカイソリューションズから見たKUROTAの魅力
黒田精機製作所は、中途入社であっても不利になることなく手を挙げればキャリアアップでき、年次や役職に応じた充実した研修制度など成長をサポートする環境が整っています。
また、社員と社長の距離が近く、「次はもっと良いお土産くださいね(笑)」と冗談を言えるほど風通しの良い職場環境も魅力です。「良い品づくり、人づくり」という経営理念が示すように、人を大切にする考え方が根付いています。守るべき部分は守り、変えるべき部分は変えていく、その"柔軟さ"が同社ならではの強みです。(担当者)
株式会社黒田精機製作所の公式HPはこちら