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東海工業専門学校金山校の【夜間部 建築工学科】を卒業して一級建築士の受験資格取得へ
医療・福祉、運輸業、製造業など、多くの業界や職種が深刻な人手不足に直面しており、建設業界も例外ではない。厚生労働省が行った「労働経済動向調査(令和5年2月)」によれば、建設業の人手不足の割合は58%と高水準となっている。
東海工業専門学校金山校(愛知県名古屋市)は、「こうした状況を打開するためには、若年層の積極的な採用と建設技術の継承が不可欠」と危機感を募らせる。
同校では、卒業と同時に一級・二級建築士の受験資格を取得できるカリキュラムを提供することで、建設業界の未来を担う人材育成に貢献している。
<東海工業専門学校金山校の公式HP>
20〜30代の社会人が建設業へのキャリアチェンジに意欲
夕方17:30過ぎ、作業着やスーツ姿の学生たちが教室に足早へ向かう。彼らは、東海工業専門学校金山校の「夜間部 建築工学科(2年課程)」に通う社会人学生だ。同校は、東海エリアで唯一、夜間部の建築系学科を設置する専門学校として知られている。
20〜30代まで比較的若い世代の社会人が、日中は仕事をしつつ夜は学業に励み、二級建築士の受験資格取得を目指して奮闘している。
彼らの表情には、一日の疲れが見えつつも、学びに対する期待と意欲が感じられる。この場所は彼らにとって、新しいスキルを身に付け、キャリアを再スタートさせるための重要な場所となっているのだろう。
東海工業専門学校金山校の夜間部を卒業と同時に二級建築士試験の受験資格を得られる
「建築士資格は、一級と二級があります。二級建築士は、戸建住宅や店舗、事務所など小規模な建築物の設計が可能です。一方の一級建築士は、高層ビルや商業施設といった大規模建築に携わることができ、業務の幅に違いがあります」
建築業界を志す場合、一般的な流れとしてまず二級建築士の資格を取得し、その後に一級建築士の資格を取る。しかし、二級建築士試験を受けるためには7年間の実務経験が必須なため、この段階で多くの人が資格取得を断念してしまうという。
「当校は国家資格の受験資格短縮認定を受けているため、夜間部を卒業すると同時に二級建築士試験の受験資格を得ることができます。実務経験期間を短縮し、最短で二級建築士の受験資格を取得できるのは、当校ならではの強みです。その後、一級建築士を受験する学生も多くいます。」
働きながら無理なく通える夜間部の授業は平日18:00〜21:10
夜間部の授業は、平日18:00から21:10まで行われ、90分授業が2コマ構成となっている。月1回、土曜日9:00〜16:30で建築製図の授業を実施。昼間部では1日6コマ、9:30〜16:00まで授業があるのに対し夜間部は授業時間が短いが、試験合格に影響はないのだろうか。
「夜間部は昼間部に比べて授業時間数が限られているため、カリキュラムは、建築士に必要な主要5科目を集中的に学べる内容です。
コンクリート・金属など主要建築材料を学ぶ『建築材料』、空気環境、熱・光環境を考える『環境工学』の座学に加えて、製図やCADのような実践的な演習にも力を入れています。これにより、実務で求められる技能や知識を総合的に効率よく身につけることができるんです」
また、学生が進路や勉強について気軽に相談できるよう、専門学校の夜間部では珍しく担任制を採用している。
「現場経験が豊富な一級・二級建築士の有資格者がクラスの担任を受け持ちます。勉強やキャリアに関することだけでなく、プライベートの相談を受けることも多く、学生と教員の距離が近いのも当校の魅力だと思いますね」
受験資格の緩和でチャレンジしやすい環境へ
2020年3月の改正建築士法により一級建築士の受験資格が緩和され、二級建築士の資格取得後、一定の実務経験を積めば試験を受けられるようになった。当校は「業界を目指す人が増えれば嬉しい」と期待に胸を膨らませる。
国土交通省が行った「建築士登録状況(令和4年4月1日時点)」によると、二級建築士は前年比約5,000人増加し、785,017人に達した。一方、一級建築士は375,084人と二級建築士の約半分に留まっており、6割以上が50代以上という深刻な高齢化に直面している。
2025年にはベテラン層が大量退職することで人手不足が加速し、工期の遅れや計画中止など経済活動への影響も及ぼしかねない。
「建築士試験の受験機会が拡大されたことで、以前よりも建築士資格を取ることへのハードルが下がっています。建築に興味がある方、実務経験が豊富だけど資格を持っていない方に、ぜひチャレンジしていただきたいです」