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設立70年を超える京都建築専門学校のスローガンは「その学びは、人生を築く。」! 伝統の技を学び舎でつなぐ
戦後間もなく京都の工務店や大工さんの組合である「京都府建築工業協同組合」によって、子弟教育の場を作ろうと創立した京都建築専門学校。
「建築の基礎力を身につけ、伝統や木造建築を理解し、現代に生かすことのできる建築のプロフェッショナルを育てる」という想いから、開校以来、少人数教育を守り続け、5500人以上の卒業生を排出してきた。
「古建築から現代建築まで優れた建築物群に囲まれた京都の中心部で、豊かな人間性を育み、想像力、発信力を持った建築業界で即戦力となる人材を育てます」
そう話すのは、京都建築専門学校の乾さん。今回は、建築科二部(夜間部)に入学する学生の大半が社会人経験者だという京都建築専門学校の魅力について聞いた。
<京都建築専門学校の公式HPはこちら>
京都建築専門学校に通う学生の大半が社会人経験者
「当校では建築科、建築科二部、伝統建築研究科の3科を設置しています。まず昼間に授業を行う全日制の建築科。この科に入学するのは、高校を卒業してすぐの学生がほとんど。建築士になりたい、宮大工になりたいと動機も様々ですね。
建築科二部に在学している学生は、働きながら通っている、また大学とのWスクールとして通っているケースが多いです。前者の入学経緯はスキルアップや転職のため、後者は卒業後、建築関係の職に就くためといった学生が多いです。なかには、建築業界以外の職種に就きながら建築関係に転職したいと考えて入学する人もたくさんいます」(以下、乾さん)
建築科は全日制の工業専門課程2年制
「建築科は、2年制の全日制の学科です。昼間に週5日、授業を行います。授業では、計画・法規・構造・施工といった建築士としての基礎的な科目をおさえ、社会で活躍できるようなスキル習得を目指します。当校では、特に製図や設計、CADなどの演習に重点を置いています」
また京都に校舎を構える京都建築専門学校ならではのカリキュラムもある。
「本校の特色である伝統建築の見学・木工実習・意匠演習などの実習や演習を通して、広い視野と感性を身につけてもらいます」
京都には至る所に伝統建築が立ち並ぶ。そのため、生徒たちは実習として定期的に現地を訪れ、建築を目にし、触れることができるのだ。伝統的な建築物には先人の知恵や技がたくさん詰まっており、それらを現代の建築に活かして欲しいとの思いで、伝統建築の見学授業も行う。
建築士として必要な知識を学び、2年次からは各々の興味に合わせて3コースの中から、コース選択を行う。
設計コースは建築士や建築施工管理技士などの資格取得が目標
「『設計コース』は、建築士や建築施工管理技士などの資格取得を目標に、建築について総合的な理解を深めるコースです。設計製図から計画、法規、構造、施工などの必要な知識を網羅的に学び、「どこに建てる」から始まり「どうしてそこにそれが必要なのか」「設計するにあたっての工夫は」といったことをよく考え、実際に一つの建築物の設計を行います」
「また卒業後の実務に必要な、建築デザインの設計の意図をわかりやすく伝えるためのプレゼンテーション能力を身につけます」
リノベーション・デザインコースではリノベーション技術を学ぶ
「『リノベーション・デザインコース』は、古くなった建造物を改修し、新しくよみがえらせる知識や技術を学んでいくコースです。当校では主に京町家を題材に、さまざまなリノベーション技術を学びます」
「昨今は、人々の思い出の詰まった建築に再び輝きを与えようという動きが強まっています。省資源・省エネルギーの観点からも注目されているリノベーション。年々そのニーズは高まるばかりです」
木工コースは学生だけで街なかの住宅の改修や新築を実施
「『木工コース』では、実際に街なかで住宅の改修や新築を学生たちで行います。ノミやカンナを用いて木材を加工したり、施工図を描いたり、木造建築のプロセスを中心に学びます。熟練の棟梁や技術者の指導によって、木工技能の習得や現場の流れなどをつかみます。同時に設計製図・計画・法規・構造・施工などの建築知識も学ぶので「建築士を持った大工さん」を目指すことが目標です」
建築科は、建築業界未経験者のために、初歩的なスキルから現場に出てから必要となる知識、スキルを学んでいく。それに対し、建築科二部は、既に社会に出て建築業界で働いている生徒も在籍。そのため、最短で建築士(一級、二級、木造)受験資格を得られるカリキュラムになっているという。
建築科二部は工業専門課程2年制の夜間部
「建築科二部は、2年制の夜間部。夜間に週6日、授業を行います。授業では、建築の基礎をきっちりと学び、卒業後すぐに一級建築士・二級建築士・木造建築士を受験することができます。卒業後、それぞれの試験に合格すれば、実務経験なしで二級建築士・木造建築士の免許登録、実務経験4年で、一級建築士の免許登録をすることができます」
授業が夜間に行われるため、昼間は正社員で働いている方や主婦、現役大学生などさまざまな人が学ぶ。年齢層も多様で、20〜60代と幅広いのが特徴的だ。
また、社会人学生のなかには、今まで建築業界と縁もゆかりもなかったような人もいるというから驚きだ。
「当校は、少人数制で生徒一人ひとりと向き合うため、業界未経験の方も授業についていけるようにサポートしています。だから安心して他業種の方にも入学していただきたいですね」
実際、過去にはさまざまなキャリアを持つ生徒が在籍していた。建築関係では、建設会社(工務店)の経営者(跡継ぎ)や社員、設計事務所所員、大工、左官、屋根職、建築設備業(電気・水道)、造園業(庭師)、不動産会社社員、材木・製材会社、建築金物、石材、林業、インテリアデザイナー、CADデザイナー、家具職人など。
建築関係以外では、学校教員や地方公務員、弁護士、会計士、消防士、グラフィックデザイナーなど。多様性に富んでいることがわかる。
「授業は18:20からスタート。対面授業と遠隔授業を併用しながら行うため、働きながら通う生徒も学びやすい設計になっています。授業の基本は、計画・法規・構造・施工・設計製図など、建築士・施工管理技士の受験資格のための基礎的な科目です。建築科と比べ、実習が少なく、座学(建築士受験にかかわる科目)が多くなっています」
建築科と比較して、カリキュラムにおいては、建築の工学的基礎科目(建築士受験にかかわる科目)に相当する時間が、割合として多くなっています。社会で即戦力となれるように、CADや伝統建築、木造建築など今注目されている技術も学ぶという。
「二部は、昼間に仕事を持っている人や、さまざまな事情があって夜間に学んでいる人を対象としています。そのため、生徒一人ひとりに合わせた設計課題や要求図面をかえるなどして柔軟に対応しています」
伝統建築研究科は週1日の夜間部
「建築科二部でも、日本建築の基礎や木構造、町家の改修の課題などがあり、伝統や木造に関することを学びます。しかしより深く学びたいなら、「伝統建築科」に入学するのがおすすめ。この学科は、京都の大工組合によって造られた当校の魅力が詰まっている学科です」
木造建築の伝統技術を継承し、新たな価値を想像していく
「近年は、伝統的な技術と現代の技術を合わせた木造建築にも注目が集まっています。こうしたニーズに答えていくことも今後重要になっていくのは間違いないでしょう。当校では、創業当時から受け継がれてきた伝統建築の知識やスキルを深く学んでいくことが可能です」
伝統建築と聞けば、権威的で厳しい師弟関係のもと技術を学んでいくイメージが強い。しかし、京都建築専門学校に関して言えば、教員と学生の距離が近くアットホームな環境で学ぶことができる。少人数制度を採用し、手厚いサポートが魅力の京都建築専門学校ならではの校風といえる。
京都建築専門学校では、建築業界からの入学はもちろん、他業界からの学びなおしを歓迎している。もし自身のキャリアに悩んでいて、手に職をつけたいと考えているのなら、ぜひオープンキャンパスや学校見学をしてみてはいかがだろうか。