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岐阜県立森林文化アカデミーは33haの演習林を保有!実践的なスキルが身に付く
岐阜県美濃市は、長良川と板取川の清流に恵まれ、山々に囲まれた自然豊かな地域。1300年以上の歴史を持ち、ユネスコ無形文化遺産に登録された「本美濃紙」が有名だ。
江戸時代に商人の町として栄えた美濃市には、屋根の両端に防火壁を取り付けた建物が並ぶ「うだつの上がる町並み」や、国の重要文化財指定の「小坂家住宅」など、歴史的建築物が数多く残る。
全国初の森林に関する総合教育機関「岐阜県立森林文化アカデミー」では、林業をはじめ伝統建築、里山の自然環境・景観の保全、森林文化など、幅広い分野を学ぶことができる。少子化や高齢化の影響で、全国的に学生集めに苦労する学校が多いなか、アカデミーには全国各地から多くの応募が寄せられている。
岐阜県立森林文化アカデミーの辻 充孝教授に、カリキュラムの内容について話を聞いた。
<岐阜県立森林文化アカデミーの公式HPはこちら>
マンツーマンに近い指導だから未経験でも安心
岐阜県は、県土の82%を森林が占め、森林県と呼ばれている。そんな中、岐阜県立森林文化アカデミーは、1971年に日本初の林業短期大学校として開校。林業後継者と木材技術者の育成を目的とし、林業に関する専門知識や技術を身につけるための教育を実施してきた。30年間で600名を超える卒業生を輩出し、林業分野の人材育成に貢献してきた。
その後、岐阜県の豊かな資源を最大限に活かすため、2001年に森林に関してより総合的な学びを深められる学校「岐阜県立森林文化アカデミー」として新たなスタートを切りました。
当校は、高校新卒を対象として現場で考え行動できる技術者を目指す『森と木のエンジニア科(2年制)』と、22歳以上を対象として森林に関わる専門家を目指す『森と木のクリエーター科(2年制)』の2つの学科(各20名)を提供しています。
「全校生80名に対して、常勤教員18名が講義を担当します。そのため、ほぼマンツーマンに近いカタチで個々のニーズに合わせたきめ細やかな指導が可能です」
「森と木のクリエーター科」は大卒者や社会人経験者が対象で、林業・森林環境教育・木造建築・木工の4つの専門分野にわかれている。同学科に在学する学生全体の7割以上が社会人で、異業種から森林・林業・木材産業へのキャリアチェンジを目指す。
「昨年は、自然の魅力に惹かれて都内のIT企業を辞めて入学した方がいらっしゃいました。未経験から森林に関わる仕事を選んだ理由を尋ねると、緑豊かな自然の中で働きたかったとおっしゃる方が多いですね」
33haを誇る広大な演習林での実習
少人数制で一人ひとりに丁寧な指導ができ、実習の機会を多く確保できる点も「岐阜県立森林文化アカデミー」の特徴となっている。敷地内には、東京ドーム約7個がすっぽりおさまる33haの広大な演習林が隣接しており、学生は実践的なスキルを積むことができる。
「コースによって、植林やチェーンソーによる伐倒、演習林を活かした宿泊型子供向けキャンププログラムの実施、家具製作など、実習内容はさまざまです。木造建築専攻では、入学してすぐに自力建設の授業が始まります。演習林の木材を学生自らが製材・加工し、学内に木造建築物を作るプロジェクトです。これまでに、シャワー室や駐輪場、アトリエなど合計23個の建築物を製作しました」
演習林には、ヒノキやスギといった豊富な種類の樹木が生い茂り、実習や植生調査などに利用されている。
「演習林まで校舎から歩いて5分で行けるので、いつでも実地学習を行うことができます。インプットとアウトプットの繰り返しが技術上達の鍵になるので、実践経験を積むチャンスが多いのは当校の特徴です」
岐阜県立森林文化アカデミーは市町村との連携事業も実施
演習林を活用して森林管理の基本から林業技術まで、幅広く学ぶことができる。また、高山市や飛騨市、白川町といった県内の市町村と共同で行う「連携事業」にも積極的に参加。
「各市町村の森林・林業・林産業の視察実習、森林環境教育体験、木製遊具や木造建築の企画提案など、フィールドワークにも力を入れています。市町村が抱える課題解決や、森林・林業の普及啓発活動などを通じて、人材育成につなげていきたいですね」
同校は、学生自身がプロジェクトを企画し、実際に森で作業を行う機会も多く、実践的なスキルと自然に対する深い理解を身につけられる環境が整っている。業界とのネットワーク形成やキャリア支援も充実しているため、「自然の中で働きたい」「自然の魅力を伝えていきたい」という人にとって魅力的な場所といえるだろう。