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相模原看護専門学校では地域医療を支える人材育成に力を入れる
看護師の人手不足が止まらない。
厚生労働省の「看護職員の就業状況調査」によると、1990年時点で約42万人だった看護師数が、2020年には132万人にまで達している。
看護師数は30年間で3倍以上※増えている一方、需要と供給が追いつかず人手不足が続いているのだ。
※厚生労働省の調査より(看護職l員就業状況等実態調査結果)
近年は、高齢化や医療ニーズの多様化に伴い、地域看護の拡充が求められている。相模原看護専門学校では、地域に貢献できる看護師を育成するとともに、地域の医療施設と連携したフィールドワークや実習に力を入れている。
今回は、同校の学科長を務める岡田 佐枝子さんに話を聞いた。
<相模原看護専門学校の公式HPはこちら>
2023年度に行われた社会人入試の倍率は6.75倍と入学希望者が殺到
「看護師の資格を持っていれば、結婚や出産といったライフイベント後も復職できるので、キャリアが途切れる心配がありません。病院や介護・福祉施設だけでなくクリニックや企業で働く産業看護師など、看護師の活躍の場が増えています」(以下、岡田さん)
同校では、社会人入試と一般入試を実施し、それぞれから社会人を受け入れている。2023年度に行われた社会人入試の倍率は、6.75倍と入学希望者が殺到した。
「社会人入試の試験項目は、国語(現代文)と面接のみです。一般入試よりも試験科目が少ないので、社会人入試に応募が集中し入試倍率が高くなる傾向があります」
現在、学生全体の約3割を社会人経験者が占め、未経験から看護師へのキャリアチェンジを目指す人もいる。
「介護や看護助手など、医療現場での経験を持つ方々がスキルアップを目指して看護師資格を取得するケースが多く見受けられます。また、一般企業に勤めていた方が人と密接に関わる仕事がしたいと看護師を目指し、一念発起して再進学するケースもありますね」
面接では、高校卒業後ではなく「今」学び直す理由を尋ねることが多い。その理由として、多くの人が「どうしても看護師への夢を諦めきれなかった」と答える。
「経済的な理由や家庭の事情などさまざまな理由で看護学校へ進学できず、他の職業で働く人もいます。一度社会へ出たもののどうしても看護師への夢を諦めきれず、人の役に立つ仕事がしたいと再進学を決めるようです」
金銭的な負担をバックアップする専門実践教育訓練給付金制度
同校の学科は、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練給付金制度の対象講座となっている。専門実践教育訓練給付金制度を利用すれば、学び直しのボトルネックである費用面をカバーできるのだ。
「厚生労働省が実施する専門実践教育訓練給付金制度は、社会人の中長期的なキャリア形成をサポートする支援制度です。失業中や離職した方を対象※に入学金や授業料など、一定の条件を満たせば学び直しにかかる学費の50%が受講時に、修了後1年以内に資格取得し、かつ雇用保険の被保険者として雇用された場合、さらに20%追加となり、最大学費の70%が給付されます。
※雇用保険の被保険者だった期間が2年以上ある方が対象。更に、教育訓練支援給付金の支給対象となる方の場合は、雇用保険基本手当日額の80%が在学中給付されます。」
看護学科は全日制で、授業は平日9:20〜16:40まで行われる。専門知識や技術習得に膨大な学習量が必要となり、働きながらの勉強は難しい。そのため、社会人は前職を辞めて学業に専念することとなる。
「在学中の3年間は収入が途絶えてしまいます。学び直しを行う際、在学中の収入が途絶えることを懸念し再進学を躊躇する人も少なくありません。しかし、専門実践教育訓練給付金制度、教育訓練支援給付金制度を利用すれば、受講費用や生活費の一部が支給されるため、経済的な負担を軽減しながらスキルアップに専念することができます」
演習を通じて人の身体の仕組みを理解する
学生が自分で考え行動できるよう、アクティブラーニングを活用している。
同校では、1年次に非常勤講師による人体の構造と機能の講義に加え、専任教員による自分達で食べたり走ったりした後に血糖値や血圧を測り、そのしくみを考える演習を実施している。
「グループで、課題に対して調べた内容を検討して発表してもらいます。教科書に書いてあることをただ読んで覚えるだけでなく、自分の言葉で説明できるように、学生同士で考える時間を設けています」
「看護をするにあたって人の身体の作りと働きがわかっていないと、患者さんに適切な看護を提供するのは難しいです。発熱しているからと言って、単に氷枕を渡したり点滴を打ったりすれば良いわけではありません。熱が出ている原因や患者さんの病状を正確に把握し、適切な看護を行うことが大切です」
間違った判断は、医療事故の原因となる。人の命を預かる看護師には、臨機応変な対応力と冷静な判断力が欠かせない。岡田さんは、対応力と判断力を養うためには、人の身体の仕組みを理解しておくことが重要だと話す。
「近年、病院医療だけでなく、在宅医療や地域包括ケアなど看護師の働き方は多様化しています。日々、変化するニーズに対応できる看護人材を育成するため、昨年度から始まった新カリキュラムでは、地域での生活を意識した内容を強化しました」
地域の生活環境やそれを支える訪問看護を知るために、1年次にフィールドワークも行っている。実習は一年次の7月からスタートし、学年が上がると共に難易度は上がっていく。
病院や介護施設での実習は、学生が現場で求められる知識や技術を学べる貴重な経験だ。また、コミュニケーションスキルやチームワーク、プロフェッショナルな意識を育むことにもつながっている。
「実習先の教育担当者が当校の卒業生であるケースも往々にしてあります。当校の教育プログラムが実際の臨床現場で評価されている証であり、先輩看護師から直接指導を受けられる貴重な機会となります」
実習先での卒業生との交流は、当校と地域連携の強化にもつながっている。
「フィールドワークや学校行事を通じて地域の方々と交流を深め、今後も地域医療を担う人材の育成に力を入れていきたいです。地域医療に貢献したい方、看護師の夢を叶えたい方、まずは当校のオープンキャンパスにお越しください」