株式会社MNHは昆虫食にいち早く目を付けた?コオロギ商品が未来を救う!?

アーモンドコオロギと飲み物

栄養価が高くタンパク質が豊富なスーパーフードとして知られるコオロギ。飼育時のCo2排出量が少なく環境に優しいことから、近年はコオロギを使ったスナック菓子やヘアオイルなどの商品開発に取り組む企業が増えています。

そんなコオロギの魅力にいち早く目をつけたのが、株式会社MNHです。取締役社長を務める小澤尚弘さんに、コオロギ事業に着目したきっかけについて話を聞きました。

<株式会社MNHの公式HPはこちら

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昆虫食を通じて社会貢献に役立てたい

たくさんの未来コオロギの製品

2023年3月21日に創業15周年を迎えた株式会社MNH。カナダ産オーガニックコオロギなどを使用した、日本初となる量産型お菓子を開発しているメーカーです。

「“みんなで日本をHAPPYに! ”という経営理念のもと、社会復帰を目指す人々の雇用創出や、SDGsに貢献する商品の開発・製造など、地域や社会課題を解決するための活動を行っています。社名は『Minna-de(みんなで)Nihon-wo(日本を)Happy-ni(ハッピーに)』の頭文字を組み合わせて、創業者である菅 喜嗣が株式会社MNHと名付けました。」

社会課題解決の一環として取り組んでいるのが、コオロギ事業です。2017年には、コオロギフード専門ブランド『コンフェクショナリー・コオロギ』を設立。日本に昆虫食が普及していなかった頃から、先駆けてコオロギを使ったフード開発に取り組んできました。

「コンフェクショナリー・コオロギが目指すのは、“食べやすく、買いやすく、そして美味しい”商品を提供することです。現在、未来コオロギスナック2をはじめ、スーパーコオロギおつまみせんべいや未来コオロギオツマミなど、食べやすくて美味しい製品を幅広く販売しています」

今から7年ほど前、コオロギが食糧問題の解決策となり得る可能性についての昆虫食に関する記事を読んだことがきっかけで、同社はコオロギ事業に着目しました。

「国連食糧農業機構(FAO)は、食糧問題の解決策として昆虫食を推奨しています。かつて、日本では、イナゴや蜂の子といった昆虫が食べられており、縄文時代の遺跡からも昆虫の化石が見つかっています」

スーパーコオロギシリーズと2つの未来コオロギシリーズ

「昆虫食は、鉄分や亜鉛、カルシウムなどのミネラルも豊富に含んでいます。タンパク質やミネラルを効率よく摂取できる昆虫食は、貴重な栄養源として重宝されてきた食材です。しかし、明治時代に入ると、西洋の食文化が日本に広まり肉や魚などの食材が食べられるようになったことで、昆虫食は次第に衰退していきました」

近年、昆虫食は栄養価や環境への負荷の少なさなどから再び注目を集めています。同社が昆虫食の調査を開始した2016年頃は、昆虫食ビジネスに取り組む企業はほとんどありませんでした。

「昆虫食ビジネスへの新規参入にあたり必要なのが、原料となるコオロギの仕入ルートの確保です。世界中を飛び回り現地調査を行い、カナダにあるエントモ社と取引することとなりました。 エントモ社は、カナダ・オンタリオを拠点とする北米最大のコオロギファームです。同社の食用コオロギは、オーガニック認証を受けているほか、非遺伝子組換え生物(GMO)認証も取得しており、栄養価や安全性が高く評価されています」

未来コオロギの宇宙のイメージ図

2017年に発売された『未来コオロギスナック1』。

そして、2017年にエントモ社の食用コオロギを使った第一弾商品『未来コオロギスナック1』を発売しました。チーズおかきと、食べられるコオロギをミックスしたスナック菓子です。インパクトを重視し、敢えて中身が見える透明パッケージにしたと言います。

「開発担当者の間で『コオロギの形を残すべき』と『コオロギの形は見えない方がいいのでは?』と意見が割れましたが、最終的にコオロギの形を残すことに決まりました。昆虫食の見た目に抵抗感を持つ方が多く、第一弾商品は思うように売れませんでしたね」

商品を販売するにあたってもうひとつ苦労したのが、コオロギ商品の大量生産が可能な製造ラインを確保することでした。

「昆虫は一般的に異物とみなされ、多くの工場では異物混入のリスクを避けるために製造を引き受けることに慎重です。OEM工場が見つからず苦労しましたが、幸いにも当社は今までお付き合いのある協力工場と自社の工場を持っていたので、両者の強みを活かしてコオロギスナックを製造、販売することができました」

コオロギスナックの黄色のイメージ図

2020年には第二弾となる『未来コオロギスナック2』を発売。さらに同年5月には、無印良品がコオロギせんべいを販売したことで昆虫食が大きな話題となり、の商品も瞬く間に売り上げを伸ばしました。

「大手企業が昆虫食を販売したことで、それまでは見向きもされなかった問屋や小売店からの問い合わせも増えましたね。昆虫食に対するネガティブなイメージをどう払拭するか、製造ラインをどう確保するかなど頭を抱える日が続きましたが、ようやく苦労や葛藤が報われたような気がします」

現在、同社が販売する商品は「コミュニティ工場」という名前の工場で製造しています。認定NPO法人育て上げネットとの協力で立ち上げた自社工場です。

「コミュニティ工場は、地域や社会に馴染めず働きたくても働けない人たちに対して、働く機会を作りたいと思いスタートしました。現在は、引きこもり経験者の方だけでなく、子育て中の方も活躍しています。商品開発や製造などの業務を通じて、働く楽しさややりがいを感じてもらえたら嬉しいです。地域に根付く人材不足の解消や、離職者の社会復帰、若年無業者の自立といった課題解決に貢献していきたいと思います」

※ページ内の求人数は職種別に集計しています。

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