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現役の薬剤師が企画・主催する「みんなで選ぶ薬局アワード」に込める想いとは
私たちが利用している調剤薬局数は60,951店舗※。地域連携やかかりつけ機能が求められている昨今、管理栄養士監修のランチ提供や音声配信アプリ『Voicy』での情報配信など、多くの調剤薬局が独自の取り組みに力を入れています。
※2022年厚生労働省の調査より
薬剤師業界だけでなく、一般の方にも薬局の取り組みを広めるためにスタートしたのが「みんなで選ぶ薬局アワード」です。
同イベントを主催する一般社団法人 薬局支援協会の代表理事を務め、薬剤師としても活躍している竹中孝行さんに話を聞きました。
薬剤師の働き方や薬局の魅力を知ってもらう機会にしたい
“人々の健康のために薬局が更なる一歩を踏み出す機会を創造する”という理念を掲げ、薬局の取り組みを表彰する「みんなで選ぶ薬局アワード」や薬剤師コミュニティの運営を行っています。
「調剤薬局は全国に6万軒以上あり、コンビニエンスストアを上回る数です。地域連携やかかりつけ機能が求められる昨今、管理栄養士監修のランチ提供や音声配信アプリを活用した情報提供など、多くの調剤薬局が独自の取り組みに力を入れています。しかし、一般の方にはあまり知られていないのが現状です」
患者が調剤薬局を選ぶ基準は、『家から近い』『営業時間が長い』『待ち時間が少ない』といった理由が大半です。
「『薬局=どこも同じ』と思うかもしれませんが、薬局ごとに個性があります。一般の方々に薬局それぞれの魅力を知ってもらうことは、信頼できる薬局と出会えれば、病気の予防や健康の維持につながります。また、キャリアや薬剤師としての在り方に悩む薬剤師に、夢や希望を与えられるかもしれないと思ったんです」
そして、竹中さんは、2016年7月27日に薬剤師仲間と共に一般社団法人 薬局支援協会を設立しました。
「薬局側が自分たちの取り組みを患者さんにアピールする機会を作るため、『みんなで選ぶ薬局アワード』を開催しました。みんなで選ぶ薬局アワードは、薬局の活動内容を表彰するイベントです。イベント公式HPのエントリーフォームからエントリーしてもらい、一次・二次審査を通過した薬局には最終審査に進んでいただきます」
最終審査は、東京都内のイベントホールで開催。最終選考に進んだ薬局代表者は、自局の取り組みとその想いをプレゼンします。
熱い思いがこもったプレゼンに真剣な眼差しで耳を傾ける審査員。
「決勝には、薬剤師や医療従事者だけでなく一般の方にも来場いただき投票を行っていただきます。投票の結果、多くの支持を受けた薬局に最優秀賞や特別賞を授与するというものです。薬局は自局のブランディングや魅力をアピールでき、一般の方にとっては自分に合った薬局を選ぶきっかけになります」
みんなで選ぶ薬局アワード最終選考には、薬学部に通う学生も審査員として参加しています。
「思い描く薬剤師像を実現するために、やりがいを持って働ける薬局に就職したいと考える薬学生は多くいます。しかし実際は、薬局それぞれの取り組みを知る機会がほとんどないのが現状です」
みんなで選ぶ薬局アワード最終選考への参加を希望する、薬学生からの申し込みや問い合わせが年々増えているそうです。
「『患者様のために一体何ができるのだろうか』『一人ひとりに寄り添ったサービスを提供したい』など、悶々とした気持ちを抱えながら働いている薬剤師は意外と多いんです。目指す薬剤師像が描けなかったり何を目指せば良いのかわからなかったり、将来に悩む薬学生の道標となるという意味でも、とても意義のあるイベントだと思います。みんなで選ぶ薬局アワードへの参加を通じて、キャリアの方向性を考えるきっかけになれば嬉しいですね」
2017年4月に第一回目の「みんなで選ぶ薬局アワード」をスタートしてから、2023年11月で7回目の開催となります。
「最初は果たしてどれくらいの薬局が集まるのか分からず不安でしたが、初回に30以上の薬局がエントリーしてくださいました。イベント会場の手配や当日の進行スケジュールなど大変なこともありますが、素晴らしいメンバーに支えられてここまで続けて来ることができました。業界や職種に捉われず、今後も薬学生や一般の方々も巻き込んでみんなで作り上げていけたらと思います」