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＆MIKI代表の菅野ミキさんの『履きたい靴をあきらめない』デザイン性と機能性を備えた整形医療靴
2016年開業・2018年店舗オープン開業のオーダーメイド整形医療靴工房「＆MIKI（アンドミキ）」のコンセプトは、すべての方に同じ技術とサービスを提供すること。健常者も障がい者も関係なく、自分の好きな靴を履いてもらいたいという、代表である菅野ミキさんのこだわりと想いが詰まっています。
今回は、菅野ミキさんに開業のきっかけについて話を聞きました。
「＆MIKI」が目指す整形医療靴
兵庫県たつの市にある靴工房「＆MIKI（アンドミキ）」の店内に並ぶ、革靴の数々。ここにある靴は全て、整形医療靴だと言います。
「身体に不自由があっても、おしゃれを楽しむ選択肢があっても良いのではないかなと思ったんです」
そう話すのは、「＆MIKI」の代表を務める菅野ミキさん。彼女は、靴職人であり義肢装具士でもあります。
「義肢装具は、コルセットやサポーター、義手・義足など治療・身体機能の補助を目的として装着する器具のことです。漠然とではありますが、将来は誰かのお役に立てる仕事に就きたいと思っていました。当時、ドイツで靴職人として修行した兄に義肢装具士という仕事の存在を聞きとても興味深く、挑戦してみたいと思いました」
日本ではあまり知られていない義肢装具士。高校卒業後、兵庫県内にある医療専門学校へ入学し義肢装具士資格（国家資格）を取得。そして、義肢装具製作会社へ就職しました。
「装具は大きく分けて4種類あります。股関節や膝をサポートする「下肢装具」、首や腰回りに装着する「体幹装具」、腕・手の固定に使用する「上肢装具」、そして病的変形や痛みの軽減を目的とした「靴型装具」の4つです。
靴型装具は他の装具に比べ、病院での処方数や積極的に製作される機会が圧倒的に少ないように感じます。しかし靴はどんな人でも日常生活を送る上で必要なものですし、既成の靴では足に合わない方が困っておられるのは想像していただけると思います」
靴型装具の製作には、義肢装具士の専門知識だけでなく特殊な設備や材料が必要です。他の装具とは違った手間がかかることから、整形医療靴のオーダーメイドを扱う会社が少ないと菅野さんは分析します。
「体に不自由があるわけではなくても、外反母趾や扁平足など整形医療靴を必要としている人はたくさんいるんです」
整形靴の本場ヨーロッパでは医学的な知識を持った靴職人として整形外科靴マイスターと呼び国家資格として認められています。
菅野さんが過去に製作した整形医療靴。靴の好みや悩みをじっくりヒアリングしながら製作していく。
「足に合った靴を履くことは、その後の生活に大きな変化をもたらします。しかし十分な機能性が兼ね備えられていても履いてもらえなければ意味がない。『お洒落は足元から』という言葉があるように、治療目的とした整形靴といっても見た目はとても重要だと思います。どんな靴でも履くことができないからこそ、自分が履きたいと思ってもらえる靴を届けたいと思いました」
2014年、義肢装具製作会社を退社。家業であるオーダーメードの靴工房に戻り整形靴の製作をスタートしました。
「靴工房での仕事は、デザインの幅や皮革のこだわり、使用する素材の種類など靴を製作する上で様々な選択肢が広がりました。そこで整形靴に必要な機能を私なりに掛け合わせれば、もっと自由度の高い整形医療靴を製作できると考えました」
病院や施設、企業や様々なコミュニティに足を運びましたが、すぐに受注が入るわけもなく、まずは整形医療靴の存在を1人でも多くの人に知ってもらおうと、ビジネスコンテストやピッチイベントに出場した菅野さん。多くの方に整形靴を知っていただける大きな機会となりました。
「そこで興味を持っていただいた方が口コミで広がっていきお客様も一人、二人と少しずつ増えていきました」
そして2016年、整形医療靴に特化したオーダーメイド靴工房「&MIKI」を開業。
レディースから子供靴まで、ブーツやスニーカー、革靴、パンプスなどさまざまな整形医療靴に対応している。
カウンセリングから足の採寸・採型、納品までの全ての作業を菅野さん1人で行っています。
「完成前にご来店いただき、仮合わせを行います。仮履き用の靴をお客様に履いていただき、履き心地や歩きやすさ、デザインの確認などを行う重要な工程です。
開業以降、ありがたいことにたくさんのご注文をいただいています。今は1人で整形医療靴の製作を行っていますが、今後は必要とされる方に整形医療靴を知ってもらうこと、そして靴にお困りの方それぞれが頼れるお店と出会ってもらいたいです。その上で私自身もいつでも安心して任せていただけるように長く長くこの仕事を続けていきたいと思います」
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