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“飯炊き3年握り8年”の修行は不要?飲食人大学では世界で活躍する寿司職人を輩出
開店からわずか11ヶ月でミシュランガイドに掲載され話題となった江戸前寿司「鮨 千陽」。寿司職人養成学校「飲食人大学」の卒業生のみで運営しており、大半が経験1年未満というから驚きだ。
飲食人大学に通えば「たった3ヶ月でプロの寿司職人になれる」という。なぜ、たった3ヶ月で寿司職人になれるのか。また、飲食人大学の授業にはどんな特徴があるのだろうか。飲食人大学を運営するCiXホールディングス株式会社の清水さんに話を聞いた。
「飲食人大学に通う生徒の多くが、飲食業界未経験者です。前職は会社員をはじめ、自衛隊や消防士、キャビンアテンダントなどさまざまなバックグラウンドを持った、18歳から70歳までの幅広い年齢の方々が入学されています」
いずれ海外で自分のお店を持ちたいと、多くの人が飲食人大学の門を叩く。特にここ数年は、例年に比べて海外出店を目指す入学者が増えているという。
「店舗の規模や役職にもよりますが、寿司職人の平均年収は400万円ほど。しかし、海外では年収が倍以上になる可能性があるんです。実際、アメリカで働いている寿司職人のなかには年収1,000万円を超えている人もたくさんいます」
寿司のニーズは世界的に需要が高く、キャリアプランのひとつとして“海外で働く”という選択をとる人が増えているのだ。
「競争の激しい海外の寿司業界で生き残るためには、職人としての技術が必要不可欠です。本校の寿司マイスター専科では、プロレベルの知識や技術、経営についても学べる非常に中身の濃いカリキュラムとなっています」
飲食人大学では、現役の寿司職人が包丁の研ぎ方や寿司の握り方といった基礎から応用までを丁寧にレクチャーしてくれる。そのため、包丁を握ったことがない人でもわずか3ヶ月で技術習得が可能だ。
「1ヶ月目は徹底して魚を捌く授業が中心で、2ヶ月目になると魚の選別方法から調理までの反復実践、ラスト3ヶ月目には対面授業を行います。対面授業は、生徒自身が考案したコース料理を、家族や友人に提供する実践的なカリキュラムです」
しかし、本来であれば下積み10年以上かけて学ぶ知識・技術をわずか3ヶ月で身につけるのは容易ではない。
「授業は毎週月〜土曜日まであり、休みは日曜日と祝祭日のみ。授業は朝9時から夕方16時まで、ひたすら座学と実習の繰り返しです。短期間で技術を習得するため、生半可な気持ちでは続けられないと思います」
力仕事が多く長時間同じ姿勢で立ちっぱなしのため、体力的な負担が大きい。予想以上のハードワークに体がついていかず、離脱せざるを得ない生徒もいるという。
「指導は厳しいですが、一流の寿司職人から世界で通用する技術を学べる貴重な機会です。実践的なカリキュラムを組んでいるので、3ヶ月後は即戦力として活躍いただけます」
2014年の開校以来、1,000名を超える卒業生が国内外の店舗で寿司職人として活躍している。
「日本でお店をオープンした方や、国内の店舗で実務経験を積んで調理師免許を取得してから海外で開業された方もいて、卒業後のキャリアは千差万別です」
飲食人大学には専任のコーディネーターが在籍しており、生徒のキャリアプラン実現のサポート体制が整っている。
「学び直しの場合、心配になるのが卒業後の進路です。生徒にじっくりヒアリングしたうえで、本校とネットワークがある日本全国の飲食店を紹介しています。一流の講師陣が揃う本校で世界に通用する技術を身につけ、寿司職人の夢を叶えていただきたいです」
“飯炊き3年握り8年”といわれ、10年以上の下積み経験で寿司職人としての技術を体得するのが当たり前とされてきた。しかし、寿司職人としての新たなキャリアを考えるなら、専門学校で短期間に技術・知識を習得できるのは大きなメリットだといえる。飲食人大学で学ぶ、という選択肢も検討してみてはどうだろうか。