京都薬科大学学長の赤路健一さんが海外勤務で感じた意思決定スピードの重要性「意見を言わないと透明人間扱い」

「いくつになっても新しいことに挑戦し続けたいですね」。笑顔で話すのは、京都薬科大学学長を務める赤路健一さんだ。アメリカ食品医薬品局研究所や京都府立医科大学大学院医学研究科の教授などを経て、2022年4月に京都薬科大学学長に就任した。これまでのキャリアや今後の展望についてお話しいただいた。

赤路健一

赤路健一氏

1954年大阪府生まれ。1980年京都大学大学院薬学研究科博士課程中途退学。薬学博士。専門は生物有機化学、医薬品化学、タンパク質化学など。2022年4月1日から京都薬科大学学長に就任。

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大学で働きながら薬学博士を取得

京都薬科大学

赤路さんは、京都大学薬学部大学院博士課程を中退後、同校で助教としてキャリアをスタートさせた。

「教員として大学に残る方の多くは、博士課程を修了後に学位論文を提出して博士の学位を取得します。私は博士課程の途中で中退して職員になったので、助教として働きながら薬学博士を取りました」

京大薬学部では、所属研究所の研究テーマに合わせた開発・調査や論文作成、大学院生の指導などを行っていました。6年ほど京大薬学部に勤めた後、単身アメリカへ渡った赤路さん。アメリカの食品医薬品局研究所では、薬のもととなる医薬候補化合物の研究・開発に没頭した。

「1986年当時、アメリカの研究レベルは日本よりも高かったため、若いうちに新しい知識や技術を学びたいと思いました。日本以外の環境で働くのは刺激にもなりましたね」

文化や価値観が日本とまるで異なる環境に身を置くことは、想像以上に大変だった。

「言葉が通じないから、レストランでご飯を注文するにしてもスーパーで買い物するにしてもコミュニケーションが取れないから望むものが出てこない。最初のうちは単語を並べたり会話中にジェスチャーを交えたりしながら、どうにか意思疎通を図ろうと必死でした」

流暢に英語を話せなくても、自分の意見を積極的に伝えて存在をアピールすることの大切さを痛感した。状況を判断して意思決定できるようになったのも、アメリカでの経験が大きいと赤路さんは続ける。

「アメリカでは、自己主張ができない人はつまらない人間と見なされ組織の中で評価されにくくなります。意見を言わないと透明人間扱いされてしまうんです。日本人が会議や商談中にやりがちな、『持ち帰って検討する』というのはアメリカでは通用しませんから」

約1年半の任期を終えて日本に帰国。京都薬科大学で10年近く助教授を務めた後、大阪大学蛋白質研究所に転職した。薬学から理学系へ転身という、当時ではなかなか珍しいキャリアチェンジだった。

「現状に満足するのではなく、何か新しいことにチャレンジしてみたいと思ったんです。環境を変えることで、薬学以外の方々とのつながりができますし、業界の変化や最新テクノロジーに触れられる機会も増えますから。薬学から理学系への転職はかなり珍しく、まわりからも賛否両論ありましたが、今となってはあの時アクションを起こして良かったなと思います」

1人でも多く入学希望者を増やしていきたい

現在は、京都薬科大学の学長として理事会への出席や事務局との打ち合わせ、プロジェクトマネジャーの育成など仕事内容は多岐にわたり多忙な毎日を送る。

「働く先生方にとってどういう教育・研究環境が良いのか話し合い、可能な限り実現できるようにすることが私の役割です。何より、当校へ通う学生が楽しく学べる環境を整えていきたいですね」

深刻な少子化問題の影響により、薬学部への志願者数は減少傾向にある。私立薬学部では2021年度まで6,000〜8,000人単位で減少していたが、2022年度は3,000人増えているという。

「18歳以上の人口が年々減少しており、2033年には今よりさらに10万人以上減るといわれています。このまま少子化が進めば、若い薬剤師が輩出されないことになるため薬剤師業界の人手不足は悪化する一方です」

薬剤師不足に歯止めをかけようと、入学希望者を増やすための取り組みに奮闘している。

「入試担当や委員会の先生方と意見を出し合いながら、『京都薬科大学に入りたい』と思ってもらえるような取り組みを模索中です。今考えているのは、オンラインオープンキャンパスの開催。遠方の方でも気軽に参加できますし、1人でも多くの方に当校を知ってもらうきっかけにしたいですね。オンラインツールやSNSなどを上手く活用して、京都薬科大学の魅力をどんどん発信していきたいです」

最後に、赤路さんがやりがいを感じる瞬間についても尋ねてみた。

「一番は、薬剤師国家試験の合格率が上がることですね。学生さんたちが国家試験に合格して自分でやりたい職業に就けたというのは、非常に励みになります。学長に就任したばかりで業績といえるほどの結果をまだ残せてはいませんが、学生さんが自分のやりたい職業を選べるような環境を作っていきたいですね」

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