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薬事申請とは?未経験での転職は難しい?必要な資格・年収・業務内容
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「薬事申請はどんな仕事?業務内容や年収が知りたい」
「薬事申請への転職は難しいと聞くけれど、未経験でも応募できるの?」
薬事申請とは、メーカーが医薬品・医療用機器・化粧品などを製造・販売するために必要な許可を申請する業務のことです。専門知識や経験が必須のため経験者が優遇され、薬剤師の転職先として難易度がもっとも高い職種のひとつといわれています。
しかし、業界や企業規模にこだわらなければ、未経験でも応募できる薬事申請の求人はあります。ただし、求人自体が極端に少なく、自力でみつけるのは難しいため、薬剤師転職サイトの利用をおすすめします。
この記事では、薬事申請に興味をもつ薬剤師が知りたいすべての内容を詳しく紹介します。
- 薬事申請とは?仕事内容や業務の流れ、年収、転職難易度
- 薬事申請を含む薬事職について
- 薬事申請担当者に求められるスキルや資格
- 薬事申請への転職におすすめの転職サイト3選
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目次
薬事申請とは?
日本で医薬品、医療機器などを製造販売・輸入販売する際には「医薬品製造販売承認」を受ける必要があります。この申請作業を行うのが、薬事申請という仕事です。
該当する企業としては、製薬メーカー、医療機器メーカー、化粧品メーカーなどの製造販売業者が挙げられます。ここでは、その仕事内容や申請の流れを詳しくご紹介しましょう。
薬事申請の仕事内容
厚生労働省の所轄機関PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)」から医薬品製造販売の承認を受けるため、申請書類の作成や申請手続きをするのがおもな仕事内容です。
申請書は細かく定められたルールのもと、多くの情報を記載する必要があります。例えば、医薬品の承認申請であれば、その医薬品の種類や開発の理由・目的・経緯、製造方法、規格、試験方法、安全性、臨床試験データなどが必須となります。
単に分析データを掲載するだけではなく、品質保証であったり、申請する製品がいかに社会にとって重要であるかをアピールしたりすることも重要な業務内容のひとつ。各企業の熱意が試される場に立ち会っているといえるでしょう。
このように、医薬品や医療関連機器だけでなく、法律や厚生労働省が定めるルール、専用ソフトに関する知識などが不可欠で高い専門性を有する仕事です。
薬事申請の流れ
薬事申請に関わるのは、申請者である企業とPMDA、そして外部専門家の3者です。品目によって審査内容が異なるため、ここでは代表的な流れをご紹介します。具体的な審査の流れは、転職希望先の取扱製品を確認してみるとよいでしょう。
- 申請書をオンラインで提出
- PMDAが信頼性の調査
- 審査専門員と面談
- 製造所の調査
- 薬事・食品衛生審議会による諮問と答申
- 厚生労働大臣の承認
1.申請書をオンラインで提出
PMDAに対して、専用ソフトを用いオンラインにて申請書の提出手続きをします。申請書はルールが細かく定められており、薬事法に基づいた製品の構造や品質、治験データなどの項目はもちろん、その製品がどうして必要なのかといった理由や開発の経緯なども詳しく正確に記載する必要があります。
2.PMDAが信頼性の調査
申請書を元にPMDAが信頼性の調査を行います。医薬品医療機器等法にのっとって、申請書類に記載されたデータが厚生労働省令の定める基準に従って収集・作成された有効なデータかどうかPMDAが調べます。
3.審査専門員と面談
信頼性調査の一つに、PMDAの調査員との面談があります。調査員は製薬メーカーや医療機器メーカーの薬事申請担当者にヒアリングを行い、申請資料の内容が倫理的・科学的に信頼できるかを確認します。そのため、薬事申請の担当者は外部専門家から助言を受けたり面談・協議を適宜行います。
4.製造所の調査
信頼性の調査を通過したら、医薬品や医薬部外品、医療機器を実際につくる製造所の調査へとうつります。調査は、以下の3つの省令に従って製造管理基準を順守しながら商品を製造できるかの調査となります。
- GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理 の基準に関する省令)
- QMS省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)
- GCTP省令(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)
5.薬事・食品衛生審議会による諮問と答申
上記2.〜4.の調査を無事通過したら、厚生労働大臣への報告、薬事・食品衛生審議会による諮問と答申へと進みます。もし、プロセスの途中で申請内容に不備・不足があれば、書類内容の再検討を経て再審査・再評価が行われます。
6.厚生労働大臣の承認
厚生労働大臣の承認を得て薬事申請は終了となりますが、これらすべての段階をクリアするのに、短くて半年、長くて1年程度の期間がかかります。
薬事申請業務のやりがい
やりがいとしては、まず医薬品や医療機器、化粧品など生活に欠かせない製品を世に送り出すことができる点にあるでしょう。薬事申請によって製品が日の目を見ることで、助けを待つ患者さんへの手助けや、多くの人の日々の健康の支え、生活のクオリティ向上などが実現するからです。
薬事申請業務だけの魅力
また、難しい申請を完遂させる達成感もあります。薬事申請では、メーカーの研究開発部門やPMDA、外部専門家などさまざまな人と関わりながら、ひとつの製品の製造販売承認を獲得していきます。いかに魅力的で説得力あるプレゼン資料を作成するか、いかに厳格なルールに沿って書類を完成させるかといったチャレンジが必要であり、ときにはやり直しもあります。
また、必要に応じて外資系企業や海外ともやりとりすることがあり、厚生労働大臣から承認を得るためには多大な労力と時間がかかるのです。しかし、その分だけ承認されたときの達成感と何物にも代えがたいやりがいを感じられるでしょう。
薬事申請の年収と転職難易度
薬事申請に転職した場合の平均年収や給与の相場、転職難易度について、具体的な求人例や薬剤師専門のキャリアアドバイザーへの取材で詳しく解説しましょう。
薬事申請の平均給与
薬事申請の業務は、製薬会社、医療機器メーカー、化粧品メーカーなどに勤務しながら行います。そのため給与は企業や勤務地によってばらつきがあります。薬剤師専門の転職サイトで公開されている薬事申請の求人例を見てみましょう。
【東京都港区】薬事申請 | 【月収】28.0万円~49.0万円 【年収】570万円~1000万円 |
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【静岡県伊豆の国市】体外診断薬メーカーの薬事申請 | 【月収】28.7万円~43.7万円 【年収】460万円~700万円 |
【兵庫県赤穂市】製薬会社の海外薬事申請業務 | 【月収】30.0万円 【年収】450万円~700万円 |
目安としては400万円台から1,000万円程度で、平均年収は650万円程度です。転職を検討している企業の求人情報をしっかり確認すると同時に、転職サイトに掲載されている求人情報から給与や年収の相場を理解しておくといいでしょう。
薬事申請の転職難易度
薬剤師が転職を希望する職種として人気の高い薬事申請ですが、その分、難易度も高いようです。
薬事申請を担うチームは非常に専門性の高い部署のため、薬剤師専門のキャリアアドバイザーによると、転職難易度は5段階評価の5で最難関のようです。
薬事申請以外の薬事職
薬事職とは、製薬会社や医療機器メーカー、化粧品会社などが守るべき薬事規制に対応する業務全般を担当する職種です。薬事申請は薬事職の中の一つで、それ以外には下記のような業務内容があります。
- 医薬品の薬事対応
- 薬事情報システムの管理
- 医薬品の価格に関して厚生労働省と交渉
- 商品の添付文書や包装資材の作成や改訂業務 など
薬事職は、製薬会社や医療機器メーカー、化粧品会社などが生み出した薬事にかかわる商品の誕生から最後までを責任をもって支える仕事といえるでしょう。
薬事申請へのキャリアアップを考えている方は、まず他の薬事職に就いてから転職するという方法もあるでしょう。
薬事申請で求められるスキル・資格は?
転職難易度が高い薬事申請に求められるスキルや知識は、おもに以下の4つが挙げられます。
専門性が高く多岐にわたる知識が求められる
例えば、製薬会社の場合、新薬の開発経緯やプロトコル、有効性、安全性を示すための科学的データによる証明など多岐に渡る知識と、それらを専門文書で報告できる力が薬事申請の担当者には求められます。
高度で専門的な英語力
薬剤師転職サイトで公開されている薬事申請の求人を確認したところ、TOEIC◯点以上、TOEFL◯点以上といった取得資格や数値化された英語力を応募条件に設けているところは少数派でした。
しかし、薬事申請では英語での書類作成や英語文献の読解もあります。そのため、日常会話レベルでなく、より高度で専門的な英語力が必要です。以下のような仕事内容を含む求人は多く、英語力は必須でしょう。
- 海外審査当局との交渉
- 海外登録申請資料の作成
- 海外各種法規制の内容確認
- 海外製造所との打ち合わせや現地確認
- 海外製造所からの変更案に対する意見具申、変更処理、及び簡易相談 など
薬事申請は経験者前提での採用がほとんどのため、応募者は高い英語力を持っていることが前提で、応募条件にわざわざ明記していないというケースも多いでしょう。
専門文書作成・管理能力
薬事申請では、申請ソフトや資料作成のためのワードソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトを使いこなして専門文書を作成するため、パソコンのスキルも不可欠です。
このようなスキルをもったうえで、申請関係者とスムーズにコミュニケーションをとりながら業務を進められる人材が求められます。正確に業務を進める必要があるため、責任感やスケジュール管理能力のある人が適しているでしょう。
規制当局への対応力
薬事担当になるには、必ずしも薬剤師などの国家資格は必要ありません。しかし、医薬品や医療機器に関する一定の知識が必要な職種であるため、常に勉強が求められます。
また、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律)などの法律に関する知識や、申請のプロセスで実施される各審査と、それに伴うルール・省令なども理解しておかなければなりません。
そのうえで、規制当局である厚生労働省やその所轄機関PMDAとの面談やヒアリング、問い合わせ、調査に対応する力が求められます。
GCP・SOPなど治験分野の知識
薬事申請に求められる知識として、以下の治験分野の知識が求められます。
- GCP:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
- SOP:治験の際に必ず守るべき基本的な業務手順をまとめた手順書
GCPは、治験を行ううえで製薬会社や病院、医師が薬事法と共に遵守しなければいけない省令です。この規則は欧米諸国をはじめ国際的に認められ、SOPの作成も義務付けています。
いずれも治験にかかわる製薬企業やCRO、医療機関それぞれが、治験を均質に行う目的で定めたもののため、治験データを元に申請をすすめるうえで必要不可欠な知識です。
薬事申請に未経験OKの求人はある?
ここまで読んで、「薬事申請の仕事にチャレンジしてみたいけど、未経験でも転職できるの?」と不安に思った方も多いでしょう。
しかし、結論からいうと、未経験でも薬事申請への転職は可能です。例えば、主要薬剤師転職サイトの中で薬事申請の求人を多く保有するマイナビ薬剤師では、未経験OKの薬事申請の公開求人は少ないものの6件ありました(2024年6月現在)。
業界・規模は二の次にすることで未経験でも転職可能
業界や企業規模にこだわらなければ、未経験者でも応募可能な求人がゼロではないので、みつけたらチャレンジする価値は高いでしょう。
薬事申請の求人は人気があるため、非公開として扱われることも多い求人です。自分で探すのには限界があるので、条件に合った未経験OKの非公開求人を紹介してもらうために、転職サイトを利用するのもひとつの方法でしょう。
次の章では、薬事申請の求人を比較的多く保有している薬剤師転職サイト3社を紹介しましょう。
薬事申請への転職におすすめの転職サイト3選
薬事申請への転職におすすめの転職サイトは以下の3社です。
マイナビ薬剤師
公開求人数 | 48,826件 |
---|---|
薬事申請の公開求人数 | 21件 |
未経験OKの薬事申請求人数 | 6件 |
マイナビ薬剤師は、職種・雇用形態問わず多くの求人を扱っていることが特徴です。
主要薬剤師転職サイトの中で求人数はトップクラスといえるでしょう。総合転職サイト大手のマイナビが運営元のため企業の転職支援にも強く、薬事申請の求人を地方も含めて比較的多く保有しているのが特徴です。
薬キャリAGENT
公開求人数 | 24,211件 |
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薬事申請の公開求人数 | 9件 |
未経験OKの薬事申請求人数 | 0件 |
薬キャリAGENTは、国内にグループ会社を複数持ち、多くの医療関連ビジネスを展開するM3(エムスリー)グループが運営。年間2万人以上の薬剤師が登録しているため「薬剤師登録者数No.1」(※1)に輝いた実績もあります。
薬事申請のような人気求人を探すなら、「薬キャリスカウト」がおすすめ。一般には公開されていない好条件・高待遇のレアな求人に出会えるチャンスが広がるでしょう。
※1 2015年3月 M3キャリア株式会社調べファルマスタッフ
公開求人数 | 51,772件 |
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薬事申請の公開求人数 | 45件 |
未経験OKの薬事申請求人数 | 5件 |
ファルマスタッフは、薬剤師が選ぶ転職サイトランキング上位3社の中でも、年収600万円以上や時給2,500円以上の高給与求人や、研修・教育制度が整っている好条件の求人が多く、キャリアアップを目指したい薬剤師におすすめの転職サイトです。
薬事申請への転職まとめ
非公開求人が多く、転職難易度が高い薬事申請に転職する際は、非公開求人の紹介や転職サポートをしてくれる転職サイトの利用がおすすめです。転職できる可能性をグンと上げられるでしょう。
【まとめ】転職サイトを利用するメリット
- “転職の鍵”となる非公開求人を知ることができる
- 多数の転職支援経験に基づいた“選考対策”を受けられる
転職難易度がもっとも高い職種、薬事申請だからこそ、転職のプロのサポートは必須です。求職側には一切費用はかからないので、気になる転職サイトがあれば登録してみてくださいね。
採用は基本的に経験者優遇
薬事申請の採用は、基本的に薬事業務を経験していることが前提という場合が多いので薬剤師の転職先としては最難関といえます。そのうえで、さらに募集企業の求める業界や分野の知識・経験があるとより有利になります。