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【東京理科大学】DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラムに950名の応募が殺到
近年、「リカレント教育」が注目を集めている。リカレント教育とは、学校教育を終えた社会人が、働きながら学び続けることを指す。政府が掲げる、生産性革命と人づくり革命の柱のひとつだ。
専門学校や大学などの教育機関は、リカレント教育プログラムを積極的に展開しており、生涯学習やキャリアアップの機会を提供している。
特に注目を集めているのが、東京理科大学が提供する「DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラム」だ。2023年度の申し込みには、定員80名に対して950名の応募が殺到した。
集客に苦戦する教育機関が多いなか、なぜ同大学のプログラムが大きな人気を集めたのか。「DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラム」の特徴について話を聞いた。
<プログラムの詳細はこちら>
DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラムとは
「DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラム」は、文部科学省の令和3年度「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業」に採択され、2022年10月に開講した。
2022年8月の申し込みには50名の定員に700名を超える応募があり、選考を通過した86名がプログラムに参加。
「正直、ここまで応募が集まるとは思っていなかったので驚きました。応募者一人ひとりの志望動機には、自身の課題や目標を達成するための熱意が感じられ、学び直しに対するニーズの高さを実感しました」
定員割れのリカレント教育プログラムもある中、なぜこれだけ多くの受講者を集めることができたのだろうか。同プログラムを運営する東京理科大学経営企画部の小原正之次長は、集客成功の理由について次のように語った。
「当校は、2018年からビジネスパーソン向けのオープンカレッジを開設し、社会人教育に力を入れてきました。長期にわたる取り組みが、一定の認知度を築き上げ、それがプログラムの集客に大きく貢献していると考えています」
オープンカレッジの講座を受講した社会人からは、「実務に直結する知識やスキルを身につけることができた」という感想が多く寄せられた。
デジタル領域だけでなく日本企業特有の良さを伸ばしていきたい
本プログラムは、デジタル技術とトランスフォーメーションのスキルを兼ね備えたハイブリッド人材の育成を目的としている。ハイブリッド人材の育成において重要なのが、自身が持っている能力に新たな価値をアドオンすること。
「私たちが提唱する『リスキル×アドオン』とは、培ったスキルやノウハウをもとに、新たな価値をアドオンする(プラスする)というアプローチです。DXと言うとデジタル技術に目が行きがちですが、おもてなしの心や質の高さといった『X』の部分が日本企業の特色であると私たちは考えています」
本プログラムでは、デジタル領域だけでなく、“X”の部分にも焦点を当て多様な学びを提供している。その特徴のひとつが、選択必修講座のアラカルト制だ。
「受講者は、必修科目を修了した後、「新規ビジネス創造コース」と「データサイエンスコース」のいずれかを選んで選択必修講座を受講していただきます。
この選択必修講座では、受講者が自由に科目を選べるようになっているんです。カスタマイズできるので、職務や興味・関心、課題に合わせた知識やスキルを習得できるんです」
半年間のプログラムを修了した受講生は、プログラムで得た学びを社内でのポジションアップや大学院への進学、キャリアプランの実現などに活かしている。
この「DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラム」以外にも東京理科大学では、多数のリカレント・リスキリング講座を開講している。2022年に行われたオープンカレッジの講座は300種類以上にのぼり、年々内容はアップデートされている。
小原次長は、「その多様性は、フードフェスに例えられる」と付け加えた。最先端の学びがどんどん入れ替わっているという意味だ。
「講座終了後は受講生にアンケートをとり、運営メンバーである事務局と講師に共有。アンケート結果をもとに、良かったことや課題を振り返り、内容のブラッシュアップに努めています。講師に任せっぱなしではなく、積極的に意見を出し合いながらより良い学びの場を提供していきたいです」
地道な努力が実を結び、受講回数が増えるごとに、受講者からの評価・満足度ともに向上している。
半年間のプログラムを修了した受講生は、プログラムで得た学びを社内でのポジションアップや大学院への進学、転職活動などに活かしている。
「YouTubeやeラーニング、オンライン学習サービスなど、学びの方法が多様化していますが、大学で学ぶ魅力はその寛容さにあると思うんです。役職が上がるにつれて慎重な判断が求められるため、失敗は許されないと考えてリスクを回避しようとする傾向が強くなります。
しかし、大学はオープンな場です。立場に関係なく失敗が許される土壌の中で学べる。それが、大学ならではの良さだと思います」
受講者の年齢は20〜40代までと幅広く、特にマネジメント職に就いている人が目立つ。さらに、60代のシニア世代がセカンドキャリアに向けて学び直すケースも増えている。
「大学のリカレント・リスキリング教育プログラムの取り組みを知らない人は多いです。『イノベーションを生み出すデザイン思考』や『アイデアを生み出すための技術』など、実務ですぐに使える内容が盛りだくさんなので、楽しく学んでいただけると思います。
新しいスキル・知識をアドオンして、今後のキャリアに役立てていただけたら嬉しいです」