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株式会社山崎文栄堂で20年以上のキャリアを持つ女性社員の挑戦と想い
仕事とプライベートが完全に分かれていて、「仕事は辛いのが当たり前。苦労があるからお給料をいただける」と思い込んでいたという櫻井友子さん。「会社に自分の居場所はない、辛い。毎日そう思いながらも、仕事を辞める勇気はありませんでした」
そう笑顔で話す櫻井さんは、現在、株式会社山崎文栄堂のアスクル事業部にて本部長を務めています。
「さまざまな出会いや学びで考え方がシフトして人生が変わりました。新しい働き方を広げたい」と話す櫻井友子さんのキャリアに迫ります。
志経営へのシフトで考え方や働き方が180度変わった
木のぬくもりを大切にした山崎文栄堂オフィス。整理整頓やチーム作りなど「新しい働き方」を学びに全国の中小企業がオフィス見学にくるという
櫻井さんが株式会社山崎文栄堂に入社したのは2002年4月。東京農業大学造園学科を卒業後、新卒で入社してから21年が経ちました。
「友達からは、“20年以上も同じ職場で飽きたりしないの?”と聞かれるんですが、営業だけではなく、広報やイベント運営、経理などさまざまな業務に横断的に携われます。幅広く社会貢献活動をしているので、まったく飽きることがないんですよ」(櫻井さん、以下同)
櫻井さんが株式会社山崎文栄堂の存在を知ったのは、オフィス家具のカタログを見たことがきっかけでした。
「偶然立ち寄った文房具店で手に取ったのが、当社が販売しているオフィス家具のカタログでした。カタログには、木の温もりを感じられるおしゃれな家具の写真がいくつも掲載されていて、就活に疲れて気持ちがボロボロだった私にとってとても魅力的に見えたんです。仕事場という空間をつくるという魅力に引き込まれていきましたね」
「この会社がなんとなく気になる」という直感で、取扱店一覧に載っていた株式会社山崎文栄堂に連絡をして面接まで漕ぎ着けます。
「当時副社長だった、現・代表取締役社長の山崎と面接を行いました。ちょうど新しい事業を始めようと思っているから、一緒にチャレンジしてみないか?と言っていただき、こんなにとんとん拍子に話が進むのかと驚きながらも、ご縁をいただけて嬉しかったです」
就職活動の真っ只中だった櫻井さんにとって、願ってもないチャンスでした。
「実は、就活中にはじめて面接を受けたのが株式会社山崎文栄堂だったんです。普段の自分とはかけ離れた、まるで制服のようなリクルートスーツを着て就活していることにどうも違和感があって……。面接を1社も受けないまま大学4年の春休みを迎えてしまったので、山崎から採用のお話をいただいたときは正直ホッとしましたね」
アルバイトとして入社し、株式会社山崎文栄堂でのキャリアをスタートさせた櫻井さん。
中小企業のチームヒーローズクラブの一員として、全国各地で農業や教育の復興などに取り組んでいます。
入社して10年間は、なかなか結果が振るわず苦しい状況が続いたと言います。
「新規事業の営業として1年目がスタートしたのですが、毎日朝から晩まで働いて、休みの日も仕事の対応に追われて心が休まる時間がありませんでした。いつも何かに追われている状態で、ミスをしないようにすること、波風を立てないようにすることが仕事の最大の目標になってしまっていたんです」
何度も何度も辞めたいと思った、と櫻井さんは当時の心境を振り返ります。
「毎朝、同じ時間に乗る地下鉄のホームで電車を待ちながら、『いったいいつまでこの気持ちでこの場所に立つのを繰り返すのだろう』と先の見えない状況に胸が押しつぶされそうでしたね。売上は順調に増え事業も成長していたものの、月の平均残業時間は80時間、離職率は50%を超えていました。辛いと思いながらも、転職して新しいことに挑戦する勇気も覚悟もなかったんですよね」
生きていくためには辛いことも耐えなければ……。そう言い聞かせて頑張り続け、同じような思いで辞めていくメンバーを見守ってきた櫻井さん。この働き方に限界を感じ始めていた頃、時を同じくして会社で大きな方向転換が始まります。
「売り上げを拡大する経営から、お役に立って貢献する志経営に経営方針へ大きく変わっていったんです。そして、社員の幸せを考えた働き方に少しずつシフトしていきました。その時は気づかなったのですが、当時社長も役員も同じ気持ちだったみたいです。売上が上がってお客様が増えても、社員がどんどん疲弊していく。働くことに幸せを感じないのは何かおかしい。」と。
そこで出会った指導者から社員全員で志経営を学び、人生や仕事に対する考え方が180度変わりました。
経営方針が変わったことをきっかけに櫻井さんの心境にも変化が現れます。
社長、専務と一緒に、地球で学ぶヒーローズクラブのカナディアンロッキー研修へ。仕事の時間の半分は貢献、半分は学び。大人になっても学び続けることを大切にしている。
「昔から、思ったことを口にするのが苦手で、「本気で考えているのか」「もっと主体的に行動するべきだ」と指導を受けてきました。もちろん改善すべきことがたくさんあるのは間違いないのですが、「私なりに真剣に考えているのに!」と心の中で思っていました(笑)
会社が志経営に舵を切ってから全員で「人との違い」を学ぶようになったんです。コミュニケーションの仕方で、会話をしながら答えを見つける人もいれば、答えが見つかってから発言する人もいる。そういうことを学ぶようになってから、「意見がまとまったら教えてほしい」と社長も上司も私が意見を述べるまで待ってくれるようになりました。私自身も『安心して自分の意見を言っていいんだ』と思うようになって、仕事やチームメンバーに対する関りが変わっていきました」
仕事に対するスタンスが変わったことで、自分らしく自然体で仕事ができるようになったと櫻井さんは続けます。
「昔は、朝から晩まで働いて自分のことだけで精一杯だったのに、今はみんなで協力をして自分の会社の生産性を上げて、生まれた時間を社会貢献や学びの時間に使わせていただいています。そう語る櫻井さんは、この20年間の考え方の変化を教えてくれました。
「会社は仕事をする場所。お給料は苦しんだ分の労働の対価」そう思い込んでいましたが、志経営に舵を切ってから考え方が大きく変わりました。『会社は人として成長することが出来る場所。お給料は誰かのお役に立てたありがとうの結果』という考え方に変わりました。
そして、先月は勤続20年を超えたこともあり、社長の山﨑、専務の若狭と一緒にカナダに行かせていただきました。観光ではなく、会社の研修(仕事の一部)として行かせていただいたんです。大自然や仲間からたくさんのことを学ばせていただきました。
今、私たちは、仕事をしながら世界中で学び、仕事をしながら地域や日本に貢献しようと活動をしています。このような「新しい働き方」が拡がって大人が働くことを楽しみ生命力に溢れていたら、きっと子供は大人になる事が楽しみになるだろうな、とワクワクします。日本の未来に少しでも貢献できるように、これからも私らしく取り組んでいきたいと思います」