富山県のワイナリー「Domaine Beau」のトレボー株式会社が目指す未来

トレボー株式会社のワイナリー

四方を山に囲まれた、静かな田園地帯が広がる富山県南砺市。この美しい地で、ワイナリーを営んでいるのがトレボー株式会社です。

同社では、IoTやAIなどの先端技術を積極的に導入。伝統的な手法と最新の科学技術を組み合わせ、「農業×科学」のアプローチによるワイン造りを実現しています。

今回は、さまざまなことに挑戦するトレボー株式会社の中山陽介さんに話を伺いました。

<トレボー株式会社の公式HPはこちら

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農業×科学を融合した日本ワインを地元・富山から発信

畑に沈む夕日

2017年11月、富山県南砺市の広々とした丘陵地帯にオープンした「Domaine Beau(ドメーヌ ボー)」。トレボー株式会社が運営しているワイナリーです。

「ワイナリー名の『Domaine Beau』は、フランス語で「美しいワイナリー」という意味を持っています。創業者である父は、南砺市の冷涼な気候を生かして地元の方々に100年、200年と愛されるワインを造りたいという思いを込めてDomaine Beauと名付けました」

ワインや地酒の専門酒屋を営む家に生まれた中山さんは、家業の影響でお酒に興味を持つようになったと言います。

「大学を卒業後、私は酒類の仕入れを行う物流商社に就職しました。市場や需要を予測して仕入れ計画を立て、新しい酒類やブランドを開拓するのがバイヤーの主な仕事です。私がバイヤーとして働いていた2000年当時は焼酎・日本酒が人気が高く、ワインメーカーと接する機会はほとんどありませんでした」

焼酎や日本酒が好きな中山さんでしたが、約15年前のある出来事が彼をワインの魅力に魅了していきました。

「弟が経営するレストランで、お客様が持ち込んだワインの試飲に立ち会いました。栓を開けた瞬間、2〜3m離れた場所にいた私でもわかるくらい、完熟したぶどうの芳醇な香りをはっきりと感じられたんです。レストランでの出来事がきっかけでワインにも興味を持つようになり、海外・国産ワインを楽しむようになりました」

机の上に並んだ2つのワイングラス

以来、ワインにも興味を持つようになった中山さんでしたが、自分でワインを作りたいという感情が芽生え始めます。

「好みのワインを見つけて飲むだけでも楽しい経験でしたが、レストランで出会ったような感動を味わえるワインを作りたい!という思いが強くなっていました。当社の創業者である父から『ワイナリーを立ち上げたから、一緒にやってみないか?』という話を聞いたのも、ちょうどこの頃です」

中山さんは当時の心境をこう振り返ります。

「単においしいだけでなく、“感動”を提供するワインを造ることができるチャンスだと思いました。もし試飲に立ち会っていなかったら、ワインに対する興味は持たないまま終わっていたかもしれません」

そして、会社を退職し富山県南砺市にUターンし家業を手伝うこととなった中山さん。

「ワイン造りを一から学ぶため、土壌の作り方から品質管理や剪定、収穫、選果に至るまでワインが完成するまでの工程に携わらせてもらっています。入社から1年経ってようやく、ワイン製造の流れを把握できるようになりました。それと同時にさまざまな課題も見えてきましたね」

ブドウ畑を飛ぶ鳥

ワイナリーの目の前に広がる広大な畑には、約40,000本を超えるぶどうの木が植えられている。夏の晴れた日には、ぶどう畑と山々の雄大な自然を堪能できる贅沢なロケーション。

「ワインは、日本酒や焼酎とは異なり、ワイナリーが原料となるぶどうを苗から育てるのが一般的です。植え付けてから実が付き、初めてぶどうを収穫できるようになるまで、最低でも3年はかかります。ぶどうを買ってワインを造る方法もありますが、自分たちの作ったぶどうでワインを造りたかった。そのため、当社は広大な17ヘクタールの野原を更地にし、ぶどうの苗を植えることから事業をスタートしました」

3年経って実をつけたぶどうが、果たして狙い通りの味や香りを持っているかどうかは、収穫してみなければわからないと、中山さんは続けます。

「ワインの出来を左右するのが、原料となるぶどうの味や香り。ワイン用ぶどう栽培に適した気候は、降水量が少ない、日照時間が長い、そして日中の寒暖差が大きいことです。これらの条件が揃うと、品種にもよりますが、糖度が高く香り高いぶどうが育ちます」

しかし、富山県は日本でもっとも日照時間が短く昼夜の寒暖差も少ないため、ぶどうの糖度が上がりづらい環境です。

「ぶどうの糖度を上げるために収穫時期を遅らせたり、カバーをかけたり、トライ&エラーを繰り返しながらベストのやり方を模索している段階です。限られた時間や予算のなかで最大の成果を出せるよう、仮説を立てて取り組んでいます」

中山さんは、日本ワインのプレゼンスを今度さらに高めていきたいと意気込みを語ります。

「会社員時代とは異なり、地元の産業に関わり、地域に貢献できることに喜びを感じています。豊かな自然と清らかな湧き水に恵まれた土壌のポテンシャルの高さを最大限に活かし、海外のワインに引けをとらない品質のワイン製造に力を注いでいきたいと考えています」

ブドウを収穫する男女

※ページ内の求人数は職種別に集計しています。

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