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ペット専門の探偵社ペットレスキューで活躍する遠山敦子さんの想い
2年前までペット探偵の存在を知らなかったという遠山敦子さん。
「私にとってペット探偵は天職です。動物たちを救える素晴らしい仕事ですよね」笑顔でそう話す遠山さんは現在、ペットレスキューでペット探偵として活躍しています。
今回は、遠山さんにペット探偵になったきっかけや仕事のやりがいについて話を聞きました。
遠山 敦子
1996年大阪府生まれ。18歳の頃に訪れた動物愛護センターに収容された動物達を見て衝撃を受け将来役立てるような活動を行うと誓う。その後、ペット探偵にキャリアチェンジした。
私にとってペット探偵は天職
動物好きの一家で育ち、大阪の実家では、犬や猫、鳥などたくさんの生き物を飼育していたという遠山さん。幼い頃から生き物に囲まれて育った彼女にとって、動物に携わる仕事に就いたのはごく自然な流れだったと言います。
「私の父と兄は大の動物好きで、子どもの頃はよく3人で山に遊びに行っていました。捕まえた動物は家に連れて帰って飼育するので、動物園のような状態でしたね(笑)。高校に上がるタイミングで親元を離れ、島留学制度を利用して13〜16歳までの3年間、動物しか遊び相手がいないような鹿児島の離島で生活。そこでも、捕まえた野生のヤギをホームステイ先の玄関で飼っていました」
高校卒業後、友人と組んだバンドでプロデビューを目指し上京。音楽活動に明け暮れていた遠山さんに転機が訪れます。
「動物愛護センターを訪問したときのことです。施設に入ると、通路には檻がずらりと並べられ、犬や猫たちが狭い部屋の中で生活していました。あまりにも衝撃的で今でも鮮明に覚えています」
動物にかかわる仕事に就くことを目標にしていた遠山さんでしたが、これを機に居場所のない動物たちを1匹でも多く救いたいと思うようになったそうです。
「自宅でぼんやりテレビを観ていたとき、偶然目に留まったのが“ペット探偵”という文字。弊社の代表 藤原博史の仕事に密着したドキュメンタリー番組でした。藤原の動物に対する想いについても語られていて、どんどん引き込まれていきましたね」
迷子になった犬や猫を助けることが、居場所を失った動物たちの悲しい現状を変えるきっかけになるかもしれないと一念発起し、バンドを辞めペットショップも退職。
「藤原以上に動物好きな人と出会ったことがありません。録画した番組を何度も観て、著書も読み漁りました。“この人と仕事がしたい!”という気持ちが大きくなり、いてもたってもいられず思い切って直接連絡をしてみることに。まずはやってみましょう、ということになり入社が決まりました」
そして、2021年からペット探偵としてのキャリアがスタート。
「最初の数回だけ藤原に同行し現場を回りました。細かな指導があったわけではなく、捜索範囲や探す場所、歩くルートなど藤原の仕事を見て覚えていきましたね。入社後1ヶ月経つ頃には、一人で現場を任せてもらえるようになりました」
幼少期に培った観察力や忍耐力を活かし、迷子になった数多くのペットを見つけ出している遠山さん。その成功率は80%を超え、テレビ番組やメディアでも取り上げられています。
外への好奇心から窓の隙間をすり抜けて脱走するケースもあるという。
「一番多いのが、猫の捜索依頼です。多いときには1日10件以上の相談・依頼があります。猫の脱走ルートとして代表的なのが、玄関やベランダ、窓の隙間。部屋の換気中、網戸をこじ開けて脱走することもあります」
ここ数年は、感染症拡大の影響により在宅勤務が増加。環境の変化が苦手な猫にとって常に人がいる状態はストレスを感じやすく、脱走につながるケースもあると言います。
「猫はお昼寝したりご飯を食べたりする場所を大切にする生き物です。たとえ家族であってもテリトリーを脅かされることにストレスを感じるため、猫がくつろげる空間を用意してあげると脱走防止に役立ちます」
こうした猫の性格や行動パターンを把握することで、迷い猫の早期発見につながります。
捜索作業に必須の捕獲器。目撃情報が入った場所に好物が入った捕獲器を置いて、迷子のネコを誘き出す。猫の活動時間に合わせて早朝や深夜に捜索を行うことも。
「ケースバイケースですが、迷子になってから1ヶ月以内で見つかる場合がほとんどですね。過去には、捜索開始から1年経ってから発見されたこともあります。その子は、近隣の方が作った餌場で運良くご飯にありつけていたようで、健康状態も良好でした。栄養・水分不足で衰弱している場合もあり、最悪の場合は命の危険も考えられるため時間との戦いです」
現在、北は北海道から南は沖縄県まで全国各地から年間400件以上の依頼が殺到。
「ペットレスキューには5名のペット探偵が在籍しています。ありがたいことに、全国からたくさんのご依頼をいただくのですが、対応しきれていないのが現状です。ペット探偵は動物の命を助けられる仕事だと思うので、1人でも多くの方にペット探偵の存在を知ってもらい仲間を増やしてきたいですね」
最後にやりがいを感じる瞬間を聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「迷子の猫を探して、3日間で90km近く歩いたこともあります。体力的にしんどく大変な仕事ではありますが、飼い主様の大切なペットが見つかった瞬間の喜びは何ものにも変え難い。ペット探偵は生き物たちの命を救える素晴らしい仕事です。私にとってペット探偵は天職だと思います」