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楓工務店のゆこさこラジオとは?2人のDJが社員同士をつないだラジオ配信
「オンライン飲み会」という言葉が世間に浸透してきた2020年。会社内で開かれる、歓送迎会や飲み会をオンラインで開催するとどうなるのでしょうか?
「オンライン飲み会では期待していた結果が出なかった」と答えるのは、オンラインで新卒歓迎会を開催した楓工務店の出原様と中山様。
今回は、コロナ渦で変化してく社内でコミュニケーションを取る方法や、今抱えている問題に対する取り組みについてお伺いしました。また、社内限定ラジオ『ゆこさこラジオ』がどのようにして生まれたのかについてもお話いただきました。
- 楓工務店とは
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奈良県・京都府南部を中心にサービスを提供。土地探しから住宅建築までワンストップで手厚くサポートしながら、お客様のご要望に沿った家作りをしている。お客様満足度98%という高評価とともに従業員満足度も高い評価を受ける。
2020年、「コロナ禍をきっかけに変わる働き方」部門で『Work Story Award 2020※』を受賞。社内コミュニケーション不足の解決方法として企画された社内ラジオ放送が、ユニークかつ成功をおさめた例として評価される。
※一般社団法人at Will Workが「働き方を選択できる社会作り」をテーマに実施されるアワードプログラム。
- ゆこさこラジオとは
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「社内で会話のきっかけを生む」がコンセプト。毎回ゲスト(先輩社員)を呼び、「1年目はどうだった?」をテーマに仕事の話、プライベートな話など普段からはわからない先輩の顔を見せていく。
ラジオ名はふたりのDJの名前が由来となっている。
話を聞いた人
出原 祐子(ではら ゆうこ) |
中山 咲子(なかやま さきこ) |
入社してすぐにテレワークが始まった
2020年4月早々、新卒社員8名が入社しましたが、新型コロナウィルスの影響で、自宅から研修を受けてもらっていました。
もともとわたしたちの会社は、新人教育に力を入れているため、動画マニュアルなどを多く用意してありました。おかげで新人研修はスムーズにいきましたが、コミュニケーションの取り方に苦戦していました。
そこで、少しでも社員との仲を深めようと「オンライン歓迎会」を4月末にひらきました。
しかし、オンラインでは思っていたような形でコミュニケーションは取れなかったのです。
オンラインならではの問題が浮き彫りになる
オンライン歓迎会を開催して気付いたことは、話す側と聞く側に分かれてしまい、新卒社員は聞く側になっていることでした。
当時、新卒社員は各自自宅から接続し、既存のスタッフは、自宅から接続している人もいましたが、出社していたスタッフは複数人が集まってパソコン1台で接続している状態でした。結果、グループで接続しているところと、自宅でつないでいる個人との差が出てしまいました。
オンラインという性質上、誰に誰が話しかけているのかがわかりづらく、どうしても直接対面しているグループの社員たちで話が盛り上がってしまうのです。
盛り上がっているグループの中の話に入り込むことはハードルが高く、また途中退席もしにくいことがわかりました。
会うことだけにこだわらない。リモートだからできたラジオ放送
――ゆこさこラジオが誕生したきっかけを教えてください
オンライン飲み会ではチーム全体でコミュニケーションを取ることが難しいことがわかりました。しかし聞く側だった新卒社員からは「先輩の話は聞くだけでも楽しい」という意見がありました。
そこで思いついたのがラジオ放送でした。
ラジオなら、最初から話す側と聞く側が分かれています。無理に会話に入り込む必要もなく、相手の姿も見えないので、途中で席を立つことも自由です。
新卒社員も、ラジオであれば肩の力を抜いて聞くことができると思いました。
配信するわたしたちも、「気軽に、流し聞きできるように」という気持ちから始めています。ワイワイ楽しみながら遊びの延長で始めた、というスタンスでいるので、聞いている方も真面目に聞かなくても楽しめるようにしています。
――どんな内容を放送しているのですか?
メインテーマは「1年目の私はこうだった」です。
先輩ゲストを2人招いて、新卒時代の話を話してもらいます。1年目で苦労したこと、新卒のときどうやって仕事をしていたか、辞めたいと思ったことはあるか、といった内容です。
社内のリスナーから匿名で質問を受け付けて、わたしたちはDJになりきり、ゲストにとことん話してもらいます。
仕事に対する考え方や、これまでの経験といった真面目な話から、趣味や家族のことなど、プライベートなことも話してもらっています。
――ゆこさこラジオの反響はどうでしたか?
当時はほとんどがリモートワークをしていたので、隔週曜日を決めて、生放送をしていました。いまは普通に出社しているので、月1回になりましたが、みなさん放送日を楽しみにしていると聞いて、うれしいです。
バリバリ仕事している社員が、実は昔は〇〇だった!など、意外な一面を知れたり、びっくりするような過去の話を聞いたり、従業員みんなに笑顔と元気を届けることができていると感じています。
また、先輩社員の経験談や会社のことがわかるラジオ内容なので、新卒社員からも勇気や励みになると高評価をもらい、やってよかったと思っています。
――コミュニケーション不足は解消されましたか?
匿名だからこそ切り込んだ質問もでき、ゲストも正直に話してくれます。そのため、年齢や役職に関係なく人柄が伝わりやすいため、心の距離が縮まるようです。
また、ラジオで放送した内容が、ランチのときなどに会話に出ることがあり、会話作りのきっかけになりました。
「この前の放送で話していたこと、もっと詳しく聞かせてください」
「趣味について話していましたが、僕も同じ趣味を持っているんです」
など、話が広がり、社内全体をつなげることができたと実感しています。
――これまで大変だったことや、思い出に残った回はありますか?
会社も従業員もすぐに受け入れてくれて、放送を楽しんでくれているので、運営側として大変だったことはあまりないです。
印象に残った回は、いちばん年上の社員がゲストのときはおもしろかったです。高校卒業から30歳までのエピソードをまるで歴史の年表のようにお話してもらいました。
就職した年齢や当時の社会の状況が違うので、自分のときと比べて発見がありましたね。
貴社に興味のある読者へひとことお願いします
コロナ禍で働き方も変わり、コミュニケーション不足という課題に取り組んだ結果、楓工務店では社内ラジオ放送を思いつきました。
楓工務店は、環境の変化(今回だとコロナ)にもすぐ対応しています。
また業務マニュアルも効率的な方法などあればすぐに取り入れ、つねに前向きに考えてシステムを変えていくのが社風としてあります。
選択肢は従業員みんなにあり、自由に企画・発信ができます。新卒の方もみんなで会社を作っている自覚を持ち、どんどん挑戦していってほしいと思っています。
よいアイデアがあれば自由に提案ができるので、自分で企画することに興味ある方は、ぜひご応募ください。
まとめ
コロナ感染拡大防止により、テレワークを導入する企業も増えました。
メールやチャットだけでは、相手の感情もわかりづらく文字だけのやりとりでは、コミュニケーション不足になるのも必然です。
ITツールは便利な反面、対人との関係性は薄くなってきます。コロナ禍で、社員の多くをリモートワークに切り替えた楓工務店は、ITツールのデメリット、相手を理解しにくいことを、「理解するツール」へと変化させたのは、見事な発想の転換です。
情報をただ提供するだけではなく、社員からのQ&A式にすることで、在宅ワークでも、社員とつながっている空気を作り出したラジオ放送は、「会わなくてもコミュニケーションは取れる」ことを教えてくれました。
今後も日本の働き方は、日々変化します。そんな中、企業は社内で円滑なコミュニケーションを築き、働きやすい環境を提供することが、重要な課題となってくるでしょう。