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オウケイウェイヴが考える従業員が働きやすい職場環境とは?”ありがとう”でつながる人と企業
2020年、世の中は新型コロナウィルスに振り回され、2021年も引き続きウィズコロナの時代となりそうです。
未曽有の事態に、いまだかつてないほど普及が進んだリモートワークにより、コミュニケーションの機会が減り、個人と個人、また企業と個人の信頼関係を築きあげることも難しくなってきました。
そうした状況で、企業側は従業員に対し新しい働き方を提案し取り組む必要があります。
「従業員間のコミュニケーション不足はどこの企業も課題である。感謝の気持ちを伝えることでつながりを感じる」と語るのは、今回お話をお聞きした株式会社オウケイウェイヴ勤務の山本様です。
- 株式会社オウケイウェイヴとは
- 2000年1月より日本初のQ&Aサイト「OKWAVE」を運営。法人向けには簡単にFAQを作成・公開できるツールシステムを提供している。
提供サービスのひとつ「OKWAVE GRATICA」は、感謝を伝える(メールカードで贈る)ことで評価を可視化でき従業員満足度の向上に貢献できるツールである。
ユーザー同士で質問と回答が掲示板上でやりとりされるコミュニティサイトはどのようにして生まれたのか、またコロナ禍で変化する働き方についてお伺いしました。
話を聞いた人
山本 卓也(やまもと たくや) |
サービスを始めたきっかけは「イジメ」と「誹謗中傷」
創立者の兼元氏は、在日韓国人三世だったことが原因で学校でいじめを受け、ついには心を病み、体調を崩して入院してしまいました。社会人になってからも、仕事のことでわからないことを掲示板に質問すると顔の見えない相手からの誹謗中傷を受けました。
兼元氏が経験してきた生い立ちや人生から、「同じ悩みや苦しみを持っている人の助けになれる場所があればきっと世界は幸せになる」という答えを導きました。
そしてだれでも閲覧でき、そして回答してくれた相手に「ありがとう」を伝えることで人と人とのつながりを感じるQ&Aサイト「OKWAVE」が誕生したのです。
創設者の体験は会社のミッション(経営理念)にも生きている
――どのようにして会社が立ち上がったのでしょうか?
創業者の兼元氏が経験を基に、ユーザーが悩みや疑問、困っていることを質問し、それについて知識や経験を持つユーザーが善意で回答し助け合いながら解決するQ&Aサイトを始めました。当社は、互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与することをミッションにしています。
上記のミッションに至る以前から、世界中の人と人を信頼と満足でつないで「ありがとう」を生み出すことをミッションとしていました。
社内の会議室もそれぞれ、「グラシアス」「スパシーバ」など各国の「ありがとう」の言葉で名前を付けていて、感謝の気持ちは社内で始まった1枚のカードにも反映されています。
従業員のモチベーションアップにつながる“GRATICA”カード
――“OKWAVE GRATICA”サービスの開始のきっかけを教えてください
OKWAVE GRATICA(オウケイウェイヴ グラティカ)とは感謝の気持ちを伝えるため、オンライン上でカードを贈り合うサービスです。
もともとは感謝を大切にする兼元氏が社内で“ありがとうカード”という紙を配ることが始まりでした。
- 旅行に行ってお土産を買ってきてくれた
- 仕事で対応してくれた
など、「〇〇の件で、ありがとうございます」とひとことお礼をいいたいときにカードを記入し手渡ししていました。
最初は毎週100~200枚ほどだったのがいつのまにか500枚となり、紙のカードからオンライン化を経て、社外からも注目されるようになりました。そこから“OKWAVE GRATICA”というツールサービスを開発し社外の方にもご提供させていただくことにしました。
とくに高い効果がありとても必要なツールだと感じたのは、コールセンターで活用いただいたときでした。
コールセンターはクレーム対応やノルマなどでストレスが大きい職種とのことで、離職率が高い状態でしたが、とくに上司から部下へのコミュニケーション不足を解消し、離職率が下がる結果につながりました。
従業員間で「昨日の引き継ぎありがとう」「応対を変わってくれてありがとう」と感謝を伝えることで、従業員の承認欲求を満たせることもわかりました。
――GRATICAカードのメリットとは?
“OKWAVE GRATICA”のよいところは貯まった「ありがとう」を読み返すことで自分自身を鼓舞できることです。
口頭やメールで伝えるより、1枚の“ありがとうカード”のほうが価値があると感じています。
なぜなら、時間をさいて相手のためにカードを贈ることで受け取った側の気持ちの意味合いが違うからです。
また、このカードは“結果”ではなく“プロセス”が見えることがポイントです。どうしても仕事で結果ばかりに注目しまいがち。でもカードがあれば見方が変わります。
- 〇〇の対応をしてくれてありがとう
- 〇〇をうまくまとめてくれてありがとう
プロセスに“ありがとう“を伝えることで、その人のことを理解できます。プロセスについてカードが届けば具体的に「こんなところがよかった」と業務の再現性も高められます。
独自の福利厚生で従業員に働きやすい環境を提供
――変わった福利厚生がありますが、反響はどうですか?
ブルーマンデ症候群やサザエさん症候群を解消したい!というのが目的で始まった「月曜午前休み」。
月曜の午前中は生産性が悪いという科学的根拠にもとづき、月曜のみ午後から始業としています。
従業員もうまくこの制度を利用しています。病院へ行ったり、平日しか受け付けていない役所の手続きに行ったりです。
中には美術館へ行きリフレッシュする人も。こうして従業員の生活リズムと業務リズムを根本から見直すことで、より生産性を高め生活の質を高めることができていると感じています。
働きやすいと働きがいは別物
――コロナ禍で働き方は急速に変化しています。企業としてどのような対応をしていますか?
会社としてできることは、働きやすい環境を提供し、働きがいのある会社を目指していくことです。
さきほどお話した“月曜午前休み“もそうです。
またコロナ禍により、現在の出社率は平均して5%未満、逆に言うと95%以上の業務がテレワークでも可能な状態になっています。
本格的にテレワークを開始するにも従業員それぞれ家庭の環境が違います。
希望者に社内で使用していた机や椅子、モニターを自宅まで届け、通信費などもテレワーク手当として毎月支給しています。
“働きがい”については、帰属意識をもってもらえるようにしています。
従業員間のコミュニケーション不足はどこの会社でも解消しなければいけない問題だと思っています。そこを満たしていくことが“働きがい”につながる会社としてできることのひとつだと感じています。
入社して日が浅い人は同部門の知り合いしかいなく孤独になりやすくなります。そのような従業員をなくすため、当社ではメンター制度を導入しています。
さきほどのGRATICAカードもコミュニケーション不足を解消するためのひとつのツールです。
貴社に転職したい若者へひとことアドバイスをお願いします
今後もっとOKWAVE GRATICAサービスが普及したら、当社にご応募いただく方にはぜひGRATICAカードを持ってきてほしいですね。
履歴書や職務経歴書では、その人の業務結果しかわかりません。こういう行動をしてこんな風に感謝された、と結果までのプロセスが見たいです。
プロセスや行動を知ることで、より相手のことを知ることができると考えています。