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MAPウーマンキャリアに今後の女性転職の考え方と2020年の女性転職市場の変化について聞いてみた
2020年はコロナ禍により、女性の転職市場にも大きな影響を与えましたが、これを機に自身のキャリアを見直す女性が増えているとされています。
「これまで女性の転職は逃げの発言が多くありましたが、今回の状況で一人でも生きていけるスキルを身に着けたいという相談が増えました」
と語るのは、「株式会社MAPウーマンキャリア」事業責任者である菊池様です。
今回はMAPウーマンキャリアの特徴や、コロナ禍による女性転職市場の変化、現在転職を検討されている女性の方へのアドバイスをお聞きしました。
話を聞いた人
菊池 華恵(きくち はなえ) |
女性の求職者が安心できる環境づくり
――MAPウーマンキャリアを立ち上げた背景やきっかけについて教えてください。
立ち上げた背景は、企業側の面と求職者側の面で大きく二つあります。
企業側は求人広告やホームページに求人を出す際、男性・女性と性別を指定して募集することができません。
そのため、MAPウーマンキャリアを利用することで女性の募集をおこないたいときにお声がけしやすいようにということ。
あとは「ウーマンキャリア」なので、女性の登録者が多いというインスピレーションを湧き上げられやすくなるというのが企業側への提案背景になります。
一方で求職者側に関しては、やはり男性と女性で転職に対する考え方に違いがあり、どうしても女性側はライフイベントに関わる転職を検討される方が多いです。
そこを切り取って、女性の求職者様が女性のアドバイザーに相談できる環境を作ることで、求職者側も安心するのではないかというのと、転職エージェントとしてのランディングという部分も含めて立ち上げました。
――大手の転職エージェントさんとの違いはなんでしょうか。
大手の転職エージェントさんだと、どうしてもキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーでそれぞれ担当が分かれている場合が多いと思います。
MAPウーマンキャリアでは両面でやらせていただいているので、求職者の方の気持ちだけでなく、企業側の動向というのを理解しながら面談をさせていただくというのが体系的には違うところかなと思います。
――アドバイザーとして心がけていることを教えてください。
アドバイザーとしては、会社の立ち上げ理由や、今回どういう方を求めていて何を期待しているか、その方が入社することによって得られる経験やスキルなどをお話しし、求職者の方が入社後に活躍いただけるようなご提案を意識しております。
求人の量ではなく企業情報の質にこだわり、入社した後の活躍をイメージしてもらいやすいご提案を心がけております。
20代後半から転職の目的も変化
――男性の転職と女性の転職の大きな違いはなんでしょうか。
女性の転職は、ライフイベント前提に働くことを考えていらっしゃる方が圧倒的に多いですね。
MAPウーマンキャリアを利用して転職される女性の転職年齢は、平均して24~33歳と幅広いんですが、既婚者の方もいればまだ独身の方もいらっしゃいます。
例えば独身の方だと今お付き合いされている方がいて、その方と結婚を機にこうしたキャリアを築きたいという方。
また、既婚の方だとまだお子さんがいらっしゃらないけど、お子さんが生まれても働き続けられる企業を探しているなど、ライフイベントを軸に仕事を考えていらっしゃるので、そこは男性との違いになると思います。
――男性側はやはりキャリアアップという側面での転職が強いのでしょうか。
男性もそれが全てではないと思いますが、やはりキャリアアップの目的が年収やお役職という方もいれば、仕事のレイヤーをもっと上にしたいといった、上を目指そうという方が多いと思います。
――女性の方は20代・30代それぞれで転職の目的も変わってくるのでしょうか。
20代の方は「やりたいことをやりたい!」という目的の転職をおこなう方が多いと思っています。
ただ、20代後半(28歳以降)から30代の方は何かしらライフイベントを経ている方、これから結婚などを控えている方の割合が一気に増えます。
なので、ライフイベントに対する考えを受け入れてくれる環境はどこなのか、ライフイベントを経ても働きたいと考えているけど、企業側はどう捉えているんだろうかを考えていらっしゃる方や、自分のキャリアを築きたいんだけど、職種を変えるべきか、そのままのレイヤーでいくべきかというキャリア軸の話が多いと感じますね。
ポテンシャル採用は軒並み減少傾向。スキルを活かせる転職へ
――コロナ禍による転職市場への影響も大きいといった話題を耳にしますが、これまでの転職市場と比較して、今年はどのような変化があったと感じられますか。
転職市場全体で言うと、採用を現時点でもできる企業とそうじゃない企業で真っ二つに分かれてしまったと思います。
いわゆるITやwebなど、コロナ禍による景気に影響されないような業界や企業は引き続き募集をおこなっており、積極的な採用を考えているところもあります。
一方でメーカーや海外と取引している業界は軒並みストップしている状況です。
進捗している選考があっても、クローズにしてでもお金をかけないというのが転職市場全体の動きになっていると思いました。
採用をオープンにしている企業においても、未経験者を歓迎するポテンシャル採用は減少傾向にあります。
今までMAPでは20代の未経験採用の実績が多かったのですが、今回のコロナを経てそういった方は採用しない企業が増えているのが特に大きく変わったことだと思います。
なのでポテンシャル採用ではなく、何かしら経験をされている方や、営業であれば営業の経験、その中でも例えば無形商材を取り扱っている業界で営業をおこなってきた方を採用するなど、即戦力に対する募集が増えたと思います。
――近年の相談内容が「逃げの転職」から「攻めの転職」が増加した印象を受けたとのことですが、どのようなところで違いを感じたのでしょうか。
私がコロナより前と今とで感じた違いから言いますと、手に職などいわゆる「コアスキル」に関する発言が求職者様から多く出るようになりました。
今までは求職者様から「今の環境がイヤだから転職したい」といったいわゆる逃げの発言が多かったのですが、こういう状況になっても自分一人でも生きていけるようなスキルを身に着けたいといったご相談が増えたこと。
また、色々求職者様自身で調べられていく中の選択肢で、エンジニアやIT、営業は営業でも無形商材のソリューション提案など、いわゆる漠然とした相談ではなく、求職者の方から「こういうのがやりたい!こういうのやった方が良いんじゃないか」とか、しっかりした意思のあるご相談が増えました。
さらに今までであれば同職種へのスライド転職、例えば営業から営業への転職を希望される方は多くありませんでした。
それが今は、コロナの影響が少ない業界の同職種を検討するなど、経験を活かした転職に前向きな方が増えています。
ライフプランを見直して転職の必要性を考えるべき
――今回の状況で改めて女性の働き方について、ライフイベントやキャリアなど、どのようなことを見つめ直すのが良いのでしょうか。
もう一度自身のライフプランを立て直すことや、そもそも今転職をすべきかということも一度考えた方がいいかと思っています。
転職をするにしても、なぜ転職したいかを振り返った時に本当にそれは今じゃないといけないのか、現職でできることであればもう少し頑張ってみてもいいんじゃないかなど、ライフイベントを経てどうなりたいのかを改めて見直すのと同時に、転職をするしないということを見直すべきかと思っています。
先ほどもお話にありましたように、ポテンシャル採用が少なくなってきているので、他の企業にも通用するスキルを現時点で保有しているのかということがすごく大事になります。
転職は今がベストなのか、それとも半年後や1年後にスキルを身に着けて転職すればもっといいところ、自分の希望に近いところに行けるんじゃないかと思えるのであれば、現職でもう少し頑張ってみるのも選択肢としてあっていいのではと私は思います。
なので私も、求職者の皆様全員に「転職しましょう」と言うことは少なくて、転職してキャリアダウンになってしまうのであればあまり意味を為さないと考えた場合、現職でもう少し頑張っていただくことを提案することもありますね。
企業側は女性活躍の発信が大切。活躍をイメージできる具体的なデータも必要
――一方で、これからの女性の働き方を促進させるために、企業側はどのような変化が必要でしょうか。
これは企業側の規模にも影響されてくるかなと思っていまして、数千名規模の大手では既にダイバーシティや女性の働き方について社外に発信しているので、こうしたところは今まで通りどんどん推進していけばいいと思うんです。
ただ、スタートアップや会社規模が1,000名に満たないアーリーフェーズの企業は、女性の働き方について制度面が整っていなかったり、これから作っていくところも多いと思うので、企業フェーズに合わせて女性の働き方をどうするか考えて機会を作っていただくことで、最終的に制度化できればいいのかなと思います。
すぐに制度化できなかったとしても、今働いている女性の方でライフイベントを経て就業している方を取り上げた記事を採用ページに載せるなど、結婚・出産などを控えている女性もウェルカムでちゃんと定着して働いていることを何かしら発信することが大切だと思います。
中小で歴史が100年以上ある企業でも、女性の活躍についての記載が全然なかったり、そもそも女性が寿退社で辞めてますみたいなことが多いんです。
やっぱり歴史がどうかではなく、これについては企業側の意識の問題なので、まずは制度化への取り組みが一番、すぐに制度化できなくても女性の活躍を発信することが必要だと思います。
――会社の中の身近な女性について発信することが大切なんですね。
そうですね。さらに言うと女性がいることをアピールするだけではダメなんです。
ここ数年間で女性求職者の意識が変わったなと思うことがありまして、「女性の組織構成は何対何ですか」といった漠然とした質問より、今は具体的に「この事業部でライフイベントを経て復帰している人は何名いるんですか」、「復帰した後に同じポジションに戻った人はどれくらいいるんですか」、「他の事業部に異動しているんだったらどういう働き方をしているんですか」とか、けっこう具体的に質問される方が多くなっています。
我々がその質問を企業側へ聞くと、結構あいまいな回答をするところが多かったりするんです。
なので、こうしたところをしっかりデータとして提供していただけると、より多くの方々に響くのではないかと思います。
――お話を聞いていると、今の女性の求職者はかなり綿密な計画を立てて転職にのぞんでいるんですね。
かなり現実的な考えを持ったうえで転職を検討されているのだと思います。
自身が希望するポジションで採用されるかはさておき、スケジュール感や働けるイメージを持つことができることで安心したいという考えが凄く現実的に表れていると感じます。
中長期的に自分がどうなっていたいのかを考えることが必要
――いま、20代の女性で転職を検討している方、現在の働き方に悩んでいる方へアドバイスをお願いします。
やっぱりその時々の働き方がつらいという女性もいると思います。
まずは1年後・3年後でもいいので、中長期的に自分がどうなっていたいのかを検討して、今それに対してうまくいっていないのか、全く違う環境に行くことでそれを叶えられるのかを考えることから始めても良いと思います。
また、ライフイベントの見つめ直しでもお話したように、今転職すべきか考えることも必要です。その時自分自身がなんでそういうことを考えたのかという原因を棚卸したうえで、現職で続けるべきか、転職すべきなのかというところに落とし込むのが良いかもしれません。
それでもひとりではどうしても考えが煮詰まったりすると思うので、その際はぜひMAPウーマンキャリアへご相談いただければと思います。
今回話を聞いた企業
企業名:株式会社MAP
設立:2007年5月1日
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