新型コロナウイルス感染症の流行により、在宅勤務などのテレワークで働く人が増えています。
集合研修の実施が難しい現状において、社員の教育や戦力化をいかに取り組めばよいのでしょうか。
今回の記事では、テレワークで働く社員を戦力化するために実践したい教育方法や教育効果を高めるための施策、戦力化するためのポイントについてご紹介します。
目次
テレワーク環境で社員を教育する上での課題
withコロナでの新しい働き方として普及したテレワークですが、運用する中で課題となっているのが「テレワーク環境での社員の教育・戦力化」です。
テレワーク環境では「集合研修」の実施が難しいため、オンラインでの研修に取り組んでいる企業もありますが、実務を通して教育する「OJT」を実施できないことで、社員の即戦力化を図りづらい状況にあると言えるでしょう。
オフィスで一緒に働いていれば、実務の進め方や課題の解決方法などを指導したり、見本を示したりできますが、テレワークでは各自の仕事ぶりが見えにくく、チームメンバーによっては非効率な方法を取っていても気づきにくいケースがあります。
また、オフィスでは、何気ないコミュニケーションや会議などで「情報」や「知識・知見」の共有ができますが、テレワーク環境ではこれらを意識的に行わなければならないという課題も挙げられます。
テレワーク中でも実践できる教育方法
テレワーク中でも実践できる、オンラインを活用した教育方法を3つご紹介します。
- オンボーディング
- e-ラーニング
- マイクロラーニング
オンボーディング
オンボーディングとは、教育・育成プログラムの一つで、新しく組織に入ったメンバーが早期に活躍できるように組織としてサポートすることを言います。
オンボーディングをテレワークで行う際は、オンライン研修を受けられるサービスやツールの準備、フォロー体制の整備を行います。
研修プログラムには、「社内手続きやルールの周知」「企業理念や企業風土の理解」「業務内容の習得」「新人メンバーに求める役割・目標の設定」などがあり、定期的な振り返りや、個人の状況に応じたフォローを継続的に行います。
テレワーク環境では、目標をなるべく細かく設定し、進捗を詳細に把握することが大切です。
e-ラーニング
e-ラーニングとは、パソコンなどの電子機器とインターネットを利用して学ぶ学習形態のことです。「教材コンテンツ」と「LMS(学習管理システム)」で構成されており、企業は提供されるクラウドサービスを利用するのが一般的です。
e-ラーニングは、「いつでもどこでも受講できる」「何度でも繰り返し学習できる」「集合型研修に比べて費用を押さえられる」などのメリットがあり、テレワークとの親和性が高いと言われています。
また、実際の研修や講義を撮影してコンテンツをつくり、その動画をe-ラーニングにして配信することも可能です。
マイクロラーニング
マイクロラーニングとは、1~5分程度の動画や細分化されたWebコンテンツなどの教材を使って、短時間で行える学習スタイルを指します。
いつでもどこでもアクセスできるのは「e-ラーニング」と同じですが、マイクロラーニングは短時間で1回のレッスンが完結するため取り組みやすく、仕事の合間や移動中などのすき間時間を利用して気軽に学習できるのが特徴です。
まとまった時間を取るのが難しい人でも、スケジュールを組みやすいというメリットもあります。また、マイクロラーニングは、短時間で設計されているため反復学習がしやすく、学んだ内容が記憶に定着しやすいことから、高い学習効果が期待されています。
テレワークで働く社員の教育効果を高める4つの施策
テレワークをきっかけに、「e-ラーニング」や「マイクロラーニング」などのオンライン学習を導入した企業も多いのではないでしょうか。
テレワークで働きながらオンライン学習に取り組む社員の教育効果を高めるための施策を4つご紹介します。
- スモールステップで適用範囲を広げる
- 自社コンテンツと既製品を使い分ける
- 短時間で学習できる工夫をする
- アウトプット学習を組み合わせる
施策(1)スモールステップで適用範囲を広げる
テレワークで働く社員への教育効果を高めるためには、徐々に適用範囲を広げることがポイントです。
例えば、オンライン研修のコンテンツを作成する際は、最初に何十個、何百個の講座をつくってしまうのではなく、まずはプロトタイプをつくります。
プロトタイプを対象ユーザーに試してもらい、その意見を取り入れて改善を図りましょう。試行錯誤した上で、標準化してから展開することで失敗する確率を下げることができます。
施策(2)自社コンテンツと既製品を使い分ける
次に、コンテンツを準備する際は「自社コンテンツ」と「既製品」を使い分けるのがポイントです。
例えば、「会社独自のノウハウ」や「自社でしか取り組んでいないこと」については、自社コンテンツを用いることで会社の強みを訴求しながら教育できます。
一方、一般的な知識や標準的なスキルは既製品のコンテンツを活用する方が合理的だと言えます。
施策(3)短時間で学習できる工夫をする
テレワーク環境での教育効果を高めるためには、マイクロラーニングのように短時間で学習できることも重要です。
先述した通り、仕事の合間や移動時間などに効率よく学習する人が増えています。章立てにされた5~10分のコンテンツならスマートフォンやタブレットでも学習しやすく、学習機会の頻度を高めることにもつながります。
施策(4)アウトプット学習を組み合わせる
オフィス勤務に比べてコミュニケーション量が少なくなるテレワークでは、いかに集中力を維持するかも重視すべきポイントです。
例えば、動画を視聴した後にテストを行うなど「アウトプット学習」を組み合わせることで、受講者の真剣度を高めることができます。
また、アウトプットにより、理解できている部分とできていない部分が明確になり、振り返り学習を行いやすくなるでしょう。
テレワーク社員を戦力化するためのポイント
テレワークで働く社員を戦力化するためには、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。
企業の組織力強化に精通しているカケハシ スカイソリューションズの教育研修事業部マネジャーにwithコロナで求められている教育方法や、テレワークで働く社員を戦力化するためのポイントについて聞いてみました。
教育研修事業部マネジャー
withコロナ時代、社員教育はどのような変化が求められていますか?
新型コロナウイルス感染症の影響により、4月の新人研修を中止または延期した企業や、できるところだけをオンラインで実施した企業など、さまざまな対応が見られました。
コロナ禍で試行錯誤しながら社員教育に取り組んできた企業では、「オンラインでできたこと」「対面でしかできないこと」「対面でやるべきこと」などがわかり、それらを来年の社員研修に活かそうという動きがありますね。
新人研修に関しては、100%対面型でも100%オンラインでも、上手くいかないという印象です。どちらかを選ぶというよりは、対面型とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド型」が適していると考えます。
今後もテレワークが増えると想定できますが、全ての研修をオンライン化するのではなく、時代や社会に合わせて研修内容を設計し直すことが大切ですね。
テレワーク環境で有効な教育方法とは?
withコロナの社員教育で特に課題になっているのが新入社員教育でしょう。
テレワーク環境では、新入社員の戦力化に効果を発揮する「OJT」の実施が難しいと考えられています。OJTは、実務を通して教育することです。
オフィス勤務では、OJTトレーナーである先輩社員の仕事ぶりを近くで見ながら、研修で学んだ内容を実務に落とし込むことができますが、テレワークではお互いの状況が見えにくいという状況で実施しなければなりません。
そのため、ある程度仕事を任せて、それに対するフィードバックを丁寧に行うことが重要になりますね。
このような状況で、どのような仕事をどのように任せるのか、そしてどのようにサポートするかを考える時、計画から改善までを1つのサイクルとして行う「PDCA」が活用できます。
また、テレワーク環境では、OJTトレーナーだけでは新入社員をフォローしきれないため、職場でのフォロー体制の構築が必要ですね。
OJTトレーナー以外の社員も新人に対して気づいたことを指導し、フィードバックした内容をOJTトレーナーに共有することで、教育効果を高めることができるでしょう。
テレワークで働く社員を戦力化するポイントは?
オンライン教育が充実しているのは、学びやすい環境であるとも言えます。
社会人は学ぶことが目的ではなく「できる」ことに意味があるため、「学んだことを実践して振り返る」「わからないことは反復学習で理解を深める」という学びを繰り返し、スパイラルアップさせることが戦力化のポイントです。
実践と反復学習を効果的に行える教育方法として、マイクロラーニングが注目されていますね。
また、企業によって社員教育への課題感にもバラツキがあります。個社開催では自社の強みを強化できるため、早期の戦力化を目指すなら検討するとよいでしょう。
まとめ
テレワークで働く社員に実施できる教育方法として「e-ラーニング」や「マイクロラーニング」などをご紹介しました。
どの教育方法を選択した場合でも、教育効果を高めるためには「短時間で学習できる」「アウトプット学習を組み合わせる」などの工夫が必要です。
また、テレワーク環境で社員を戦力化するためには、実践と反復学習を繰り返す学びが欠かせません。
今回の記事を参考に、自社に合った教育方法を検討してみてはいかがでしょうか。
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