社員教育とは、企業が社員に対して、企業理念やルール、業務に必要な技術や知識などを一定期間に育成すること。
適切に社員教育が実施されることで、企業の競争力が高まり業績アップをもたらすことが可能です。
この記事では、社員教育の目的や必要性、メリットに触れ、具体的な教育方法についても解説します。
目次
社員教育とは?
社員教育とは、企業が社員に対して、業務をおこなう上で必要な知識やスキルを身につける機会を提供することです。
入社当初の新人社員はもちろん、中堅社員や管理職といった社員のキャリアステージやスキルに応じた教育も必要となります。
ある調査によると、労働力人口は年々減少しており、2065年には2016年と比較すると4割ほど減少するといった試算が出ています。
労働人口の減少に歯止めがかからない日本において、社員一人ひとりの生産性を高めることは急務であり、社員教育の意義はさらに大きくなると考えられています。
社員教育は、企業が一方的に受講を促すような研修の仕組みだけでは不十分です。社員自身が自発的に学べる環境を整えることが今後は重要になっていくでしょう。
(参考:みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4割減」)
社員教育の効果とは?
社員教育によって得られる効果にはどのようなものがあるのか、以下で解説します。
ビジョンやミッションの浸透
社員教育を実施する目的の一つに、企業理念や経営戦略といった自社のビジョンやミッションの浸透があげられます。
ビジョンやミッションは企業の方向性を示す重要なものです。
社員が会社の理念を理解して行動できるようになれば、業務に対する姿勢に一貫性が生まれ、サービスや品質の安定、企業のブランディングにも期待できます。
このように、自社のビジョンやミッションの浸透は、企業にとってメリットが大きいため、常に社員が意識できるような取り組みが大切です。
日常的に確認できるようオフィスに掲示したり、全社総会などで再確認する機会を設けたりするとよいでしょう。
生産性向上
社員教育は、業務に必要なスキルや知識を身に付けられるため、生産性の向上にも貢献します。
社員教育によって、一人ひとりの能力がアップすれば、企業全体の生産性が向上し、業績伸長につながるでしょう。
一方で、自社の利益をあげるためには、社員教育の内容を工夫し高度なスキルアップを促す「仕組み作り」が重要です。自社だけでの対応が難しい場合は、外部に依頼して不足しているノウハウを補うのも一つの方法です。
また、日々の仕事ぶりを評価し、スキルが不足している部分に適切なフィードバックをおこなうこともモチベーション向上においては重要な役割となります。
リスクマネジメント
社員教育を実施する目的の中には、不要な損失の回避や軽減を図るといったリスクマネジメントも含まれます。
近年では、情報の取り扱いが特に厳しくなり、個人情報の流失やコンプライアンス違反など、社員の軽率な行動一つで企業の存続や信頼に影響を及ぼす危険性も考えられます。
自分が関わる情報が企業にとってどのような影響をもたらすのか理解できるよう、情報セキュリティーやコンプライアンスに関する社員教育の徹底は不可欠です。
企業のリスクになり得る事柄を明確にし、リスクヘッジに努めていきましょう。
信頼関係の構築
企業の存続・成長には、取引先や顧客との信頼関係は重要です。社員教育は社会人としての規律を身に付けるうえで効果的と言えます。
社員一人ひとりの規範意識が高まれば信頼関係の構築につながるでしょう。規律には、挨拶や時間を守るといった職場内のマナー以外に、取引先でのビジネスマナーも含まれます。
取引先にとっては担当者が企業の顔となり、その人の行動や対応一つで信頼を失う可能性があります。
特に、新入社員には、信頼に関わるトラブルを防ぐための社員教育は不可欠です。社会人の常識やビジネスマナーなどを十分に習得してから、現場に配属していきましょう。
研修時は、企業の明確なルールを示し指導体制を整備したうえで取り組むことが重要となるため、定期的に社員教育のブラッシュアップをおこないましょう。
離職の防止
社員教育に注力することで、エンゲージメントが高まり離職防止につながります。
社員は、「会社から大切にされている」「社員のキャリアアップに投資してくれる会社だ」と企業に対してよい印象が持てるため、愛社精神の醸成が期待できます。
社員のエンゲージメントが向上し、結果として離職防止に寄与するとして、社員教育に力をいれる企業が増えています。人手不足が深刻化する中、社員教育は不可欠と言えます。
社員教育の方法13選
社員研修にはさまざまな方法があります。
ここでは、代表的な方法について確認していきましょう。
- OJT
- Off-JT
- eラーニング
- 自己啓発(SD)
- メンター制度
- ジョブローテーション
- MBO(目標管理制度)
- コーチング
- ストレッチアサインメント
- 1on1ミーティング
- 集合研修
- 通信教育
- 越境学習
(1)OJT
OJTとは、実際に業務を進めながら、必要な知識やスキルの育成をおこなう育成方法です。
早期業務取得を目的に実施するため、新入社員に向けて、配属先の先輩社員や上司が指導役を担うケースが多いです。
実際の業務に携わりながら、個人のペースに応じた対応ができるため、即戦力化しやすいといったメリットがあります。
一方で、教育担当となる社員は通常の業務を進めながらの指導となるため、負担の増加が懸念されます。
また、指導する社員の業務への取り組み方や考え方が偏っている場合、新入社員が大きく影響を受けてしまうことも考えられます。
OJTの成功は、適切な指導者を選出できるかが重要なポイントになるでしょう。
(2)Off-JT
Off-JTとは、職務現場を離れ、企業外でおこなわれる研修などに参加して、スキルや知識を習得する社内教育方法です。
具体的には、外部の講師を招いておこなう企業内外の集合研修や外部スクール、セミナーの参加などが当てはまります。
Off-JTは、複数の社員を一度に教育でき、研修の質が均一化しやすいことや、社内指導者の負担の軽減といったメリットがあります。
一方で、研修時は実務から一定期間離れてしまうため、業務に支障が出るといった懸念点があります。
外部研修への参加には、参加料や交通費などの経費が必要となるため、コストと工数が発生することを念頭に入れておく必要があるでしょう。
(3)eラーニング
eラーニングとは、パソコンやタブレット端末などのデバイスを活用して実施する社員教育方法です。
時間や場所を選ばず、知識やスキルを習得できるメリットがあるほか、一度eラーニングを作成すれば何度でも利用できるため、コストを抑えた教育を実現できるといった特徴があります。
しかし、オンライン上での実施は受講者のモチベーションを保ちにくく、効果が得られない場合があるでしょう。社員が意欲的に取り組むためには、別の施策を併せて検討しておくことが重要です。
学んだ知識をアウトプットする場を設ける、SNSコミュニティーを活用し受講者同士が交流できるシステムを導入するなど、工夫するとよいでしょう。
(4)自己啓発(SD)
自己啓発とは、社員自らが自発的に、自分の時間を使い仕事に必要なスキルを習得する教育方法です。「Self Development」の略でSDと呼ばれることもあります。
自己啓発は、業務時間を割くことなく均一なスキルを習得できるため、OJTとOff-JTのデメリットを補う形として注目されています。
実際に、厚生労働省が実施した2021年度「能力開発基本調査」の結果では、およそ50%の企業が「自己啓発に対する支援を実施した」という結果が出ています。
企業側は、社員の自己啓発を後押しするために、福利厚生として資格取得や書籍購入にかかる費用を補助するなどの取り組みが重要です。
一方で、業務時間外に自発的に自己啓発をおこなう社員は少ないといった課題を抱える企業も少なくありません。
自己啓発によって着実な成果が認められた場合には、給与や昇給に影響するなどの人事制度の見直しも不可欠と言えるでしょう。
(参考:厚生労働省「令和3年度『能力開発基本調査』の結果を公表します」)
(5)メンター制度
メンター制度とは、新入社員や若手社員を、他部署の年の近い先輩社員がサポートする制度です。サポートする先輩社員を「メンター」、サポートを受ける側の新入社員を「メンティー」と呼びます。
OJTと先輩後輩が1対1で関わるという点では同じですが、メンター制度は、年の近い社員に日頃の悩みを聞いてもらい不安を解消するといった、メンタル面のケアに重きを置いていることが特徴です。
他部署の話や社内全体の業務を知り、自分の業務を客観視できるといった効果があります。一方で、人手不足の企業ではそこまでの時間を確保できないなどの懸念があるでしょう。
(6)ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、社員の能力開発を目的に定期的に部署を変更する制度です。
似た意味として捉えられる「人事異動」は、欠員の補充や組織の活性化といった経営戦略において必要な行為として検討されます。
ジョブローテーションは、社員自身の育成や交流を目的に実施されるため、様々な部署を経験することで適材適所を実現でき、社員のモチベーション向上につながります。
一方で、数ヵ月単位で配置転換を繰り返すため、難易度の低い業務に携わることが多く、スペシャリストを育成しにくいといったデメリットがあります。
(7)MBO(目標管理制度)
MBOとは、目標管理制度とも呼ばれ、社員自らが、会社の利益に結びつく自分の目標を掲げ、成果までの道のりを管理する方法です。
経営学者のピーター・ドラッカーが提唱したマネジメントの概念です。
社員自らが、目標を設定し達成までを管理するため、責任感が増すだけでなく、目標達成までの行動がイメージしやすく、業務効率の向上が期待できるといった特徴があります。
一方で、社員によっては低い目標を設定し、MBOの効果が発揮できないうえに、成長を妨げてしまうこともあります。
上司とすり合わせをしながら目標を設定する、人事評価と結び付けて個人のがんばりを評価するといった工夫が不可欠でしょう。
(8)コーチング
コーチングとは、「答えは相手の中にある」という考えのもと、質問を通じて社員の目標達成や成長などを支援する方法です。
様々な質問をおこない、自らが内面にある心情と向き合うことが大きな特徴のため、新たな可能性を発見し自主的な行動を促進するきっかけになると考えられています。
しかし、コーチングでは相手の能力を最大限に引き出すような経験や知識が求められます。また、個別対応のため、成果が出るまで時間がかかるといった懸念点があります。
導入を検討する際は、コーチングに対応する社員のスキル育成と工数の確保が必要です。
(9)ストレッチアサインメント
ストレッチアサインメントとは、現状の力量以上の業務を割り当て、困難を解決していく過程において社員の成長を促す教育方法です。
無理に押し付けるのではなく、チャレンジできる環境を整え、社員のやる気を引き出すことが基本のスタイル。
現状以上の業務を担うことで、会社のビジョンに立ち返るきっかけとなり、キャリアアップには何が必要かといった当事者意識の向上につながります。
しかし、社員に適用するタイミングや方法を見誤ると、過剰なストレスを生み出すため注意が必要です。事前に丁寧な説明を取り入れ、導入する意味やメリットに対する理解を得られたうえで進めていきましょう。
(10)1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、上司が部下の成長を促しモチベーションアップを目的におこなわれる教育方法です。
1on1ミーティングの実施により、目標や業務の細やかなすり合わせが可能となり、信頼関係の向上が期待できます。
また、日常のフィードバックを盛り込むことで、業務の質やスピードアップも望めるでしょう。
1on1ミーティングで大切なことは、部下が話しやすい雰囲気を作り、きちんと話を聞くというスタンスです。一方的なフィードバックの機会にして関係を悪化させてしまっては逆効果となるため、注意しましょう。
(11)集合研修
集合研修は、社員を同じ場所に集めて対面式でおこなう研修形態です。
会場を確保して、数十名程度の受講者に対して実施する場合に多く用いられます。
講師は社員もしくは外部から招くケースもあります。
オンラインで実施されることも増えていますが、受講者が一箇所に集まり、ディスカッションやグループワークなどを通じてより実践的な学習ができます。
受講者同士のコミュニケーションを活性化できるのも大きなメリットと言えます。
(12)通信教育
通信教育は、インターネットやテキスト、動画などを通じて個人的に教育を受ける方法で、通信講座とも呼ばれています。
外部の教育機関が提供する教材を購入し、自身のペースで学べるのが特徴です。
資格取得や専門的知識の習得に活用できます。
福利厚生として資格取得にかかる費用を一部補助するのも効果的です。
社員の自主的なスキルアップを支援し、モチベーション向上や離職防止が期待できます。
(13)越境学習
越境学習とは、社員が勤務先以外でおこなう学習のことです。
他社留学、社外留学とも呼ばれています。
具体的には、他の企業や非営利法人への出向、社外で実施される勉強会への参加、ボランティア活動などが当てはまります。
職場を離れて異なる環境に身を置くことで、新たな視点や学びを得られるのがメリットです。
社員は、越境学習を通じて自身の価値観や視野を広げ、新たなキャリアを獲得するとともに、自身や自社について客観視できるのも特徴です。
また、転職せずにチャレンジできることから、人材流出を防ぐ効果も期待できます。
社員教育のカリキュラムはどのように決める?
社員教育のカリキュラムは階層ごとに分けたり、内容・目的別におこなったりします。
それぞれどのようなカリキュラムで実施するか確認していきましょう。
階層別研修の種類と内容
社員の階層別に研修のカリキュラムを決めると、効率よく人材育成がおこなえます。
ここでは、階層ごとにカリキュラムの内容をご紹介します。
内定者・新入社員研修の内容
内定者や新入社員研修の目的は、ビジネスパーソンとしてのマインドセットを理解し、基本的なビジネススキルを習得することです。
具体的な研修の内容としては、ビジネスマナーやロジカルシンキング、OAスキル、コンプライアンス研修などが当てはまります。
内定者や新入社員の段階で学ぶ基本的なスキルや知識は、この先のキャリアを進めていくうえで基礎となるため、体系的に理解できるように努めましょう。
若手社員研修の内容
若手社員研修では、日頃の業務に向かう姿勢を振り返る機会を設け、少し高い目標を立てて業務効率化を図れるような取り組みが重要です。
入社2年から5年といった若手時期は、業務への慣れからケアレスミスやモチベーションの低下が生まれやすい時期でもあります。
部署のつながりを高め、自主的に自身の課題と向き合えるような研修を組み込んでいきましょう。
中堅社員研修の内容
中堅社員研修では、立場や役割が大きく変化する時期であるため、自身の業務パフォーマンスを高めるスキルやチームビルディングスキルといった、自身とチームの成長の双方を学ぶことが重要です。
中堅社員は、自らの業務に対する責任が大きくなり、部下の育成やプロジェクトマネージャーなどの役割を担うケースが多いです。
管理職に向けての準備段階の時期でもあるため、そのためのマインドセットに関する研修も不可欠といえます。
管理職研修の内容
管理職研修といっても、立場や経験によって習得すべきスキルは異なるため、管理職の種類に応じた研修が重要です。
例えば、管理職になって経験が浅い場合は、一社員からマネージャーに立場が変化したという意識転換をおこない、組織マネジメントスキルの構築から学ぶ必要があります。
上級管理職になるとマネジメントスキルの向上とともに、経営層へのキャリアアップを見越したマインドセットの習得も必要です。
目的別研修の種類と内容
社員教育では、テーマや目的別にカリキュラムを組むのが一般的です。
スキル獲得や向上、課題解決などを目的とした研修には、以下のようなものが挙げられます。
ビジネススキル研修の内容
ビジネススキルの獲得を目的とした研修です。
社員一人ひとりのビジネススキルの向上は、ひいては企業の成長へとつながります。
ビジネススキル研修の具体的な内容としては、ビジネスマナーやマインドセット、問題発見・解決力など、種類はさまざまあります。
企業の抱える課題や社員の不足している能力に沿った研修カリキュラムを実施しましょう。
企業側からの指示による研修に限らず、社員自身が必要と感じた際にビジネススキルを学べる体制づくりが求められます。
リーダーシップ研修の内容
リーダーシップ研修は、リーダーシップを発揮するために必要な知識やスキル、心構えなどを育成する研修です。
リーダーシップの基礎知識から、コミュニケーションの取り方やチームビルディング力などを学びます。
研修の対象者は、これからリーダーになってほしい中堅社員や既存のリーダーだけでなく、近年では全社員に実施するのが主流になりつつあります。
優れたリーダーシップについて理解を深めることで、リーダーのビジョンを理解し支えるために必要となるフォロワーシップスキルの向上にもつながります。
コンプライアンス研修の内容
コンプライアンス研修は、社会人としての倫理観や責任感を養うための研修です。
コンプライアンスの重要性から違反により生じるリスクなど、法令に関する知識に加え、就業規則など基本的な知識を身に付けます。
この研修の対象者は全社員です。
拡散性の高いSNSの普及により、コンプライアンス違反による企業の不祥事は以前より増加傾向にあります。
企業の信用失墜を避けるべく、社員にコンプライアンス違反によって生じるリスクを認識させておくのも研修の目的です。
社員が自分ごととして受け止められるよう、実際に起きた事例を用いた体系的なカリキュラムにするのが効果的です。
キャリア自律研修の内容
キャリア自律研修とは、社員個人のキャリアについて主体的に考え設計し、行動に移せるスキルの獲得を目的としています。
自分で意思決定して目標の達成に向けて行動するべく、キャリア自律の必要性を学び、自己を客観的に分析する力やキャリアプランニングスキルなどを身に付けます。
キャリア自律は、世代によって課題が異なります。
各世代の節目で自身のキャリアを考える機会を設け、世代に適したカリキュラムを取り入れましょう。
ダイバーシティ研修の内容
ダイバーシティとは、「多様性」を意味します。
ダイバーシティ研修は、年齢、性別、学歴、職歴、人種、国籍、宗教といった多様性を業務に活用し、活躍してもらうための考え方を理解する研修です。
労働人口の減少により人手不足が深刻化する現代社会において、社員全員が働きやすい環境の整備が不可欠であり、多様性を認めて支え合う周囲からの理解も求められています。
ダイバーシティ研修をおこなう際は、座学に加えてさまざまな属性の人とディスカッションできる機会を設けましょう。
自分とは異なる価値観や考え方に触れることで、視野が広がり理解が深まります。
社員教育計画の立て方5ステップ
ここまで社員教育の具体的な方法を紹介してきましたが、ここからは教育計画における5つのステップを順番に確認しましょう。
- 現状からの課題の洗い出し
- 目標の設定
- 実施日時や期間の設定
- 実施方法の決定
- 適切なフォローアップ方法の実施
ステップ1.現状からの課題の洗い出し
教育計画を立てる際は、まず組織における現状の洗い出しからおこないます。
組織の現状を俯瞰し、よい点と課題点を冷静に見極めることで、何が必要なのかが見えてきます。
大枠の課題が見えてきたら、それぞれの部署や部門でどのような問題があるのか、細分化して課題を可視化します。
洗い出しの際はすべての部署を集め、課題感の共有をおこなうことが不可欠です。話し合いを進めていく中で、新たな課題が見えてくることもあるでしょう。
ステップ2.目標の設定
組織の現状から課題の洗い出しが終わったら、社員の目標設定をおこないます。
社員教育の質を高めるためには、現状を踏まえたうえで段階的にレベルアップしていくことが重要です。
そのため、無理がなく現実的に達成できる目標を設定し、その目標に合わせて内容や方法を検討します。社員の現状や目標によっては、複数の方法を組み合わせたり、複数回に分けたりする必要があるでしょう。
ステップ3.実施日時や期間の設定
社員教育の目標が決定したら、いつから実施するのか期間を設定します。
社員教育において、実施のタイミングは重要な要素です。必要な社員に必要なタイミングで実施されることで、初めて効果が得られます。
また、社員教育の内容によっては定期的に実施する必要があるため、長期スパンで取り組む必要があるものなどは、業務に影響を及ぼすことも考えられます。
計画の段階で、いつからどのくらいの期間おこなうのかを明確にしておくとよいでしょう。
ステップ4.実施方法の決定
実施の日時・期間が決まったら、具体的な実施方法を決めていきます。
先述したように、社員教育には様々な種類があるため、会社の方針に沿って研修方法を選定することが重要です。
それぞれの研修で得られる効果を理解した上で、実施期間とかけられるコストを踏まえて総合的に判断しましょう。
ステップ5.適切なフォローアップ方法の実施
最後のステップは、研修後のフォローアップについて、具体的な内容を検討し実施することです。
研修後のフォローアップは、スキルや知識の習得のためには重要な取り組みと言えるため、ここが不十分だと成長を促せないこともあります。
学んだことを振り返るレポートの作成や、周囲に報告するといったプロセスを組み込むことで、研修内容を咀嚼し自分の知識として落とし込むことができるでしょう。
また、アンケートを取り入れると、研修を実施した側の振り返りのきっかけとなります。
よかった点や今後に向けた課題点が見つかることで、より効果の高い社員研修につながります。
社員教育を実施する際に注意すべきこと
社員教育を実施する際には、どのような点に注意するとよいのでしょうか?
主な注意点を3つご紹介します。
- 内容は時代の変化にあわせて適宜見直しを
- 「わかる」=「できる」ではない
- 内容にあわせて開催形式を選択
(1)内容は時代の変化にあわせて適宜見直しを
社員教育で実施する内容や、実施時期は常に同じでよいというわけではありません。
教育対象となる社員を取り巻く環境や、世代による価値観の変化をふまえ、適切に内容を見直し、ブラッシュアップしていくことが求められます。
今の時代に求められるビジネススキルはどのようなものなのか、どのような教育方法・内容であれば教育を受ける側が理解しやすいのか、常に情報収集を欠かさずに内容を見直しましょう。
(2)「わかる」=「できる」ではない
社員教育は「わかる」だけでは意味がありません。業務に落とし込み、現場で「できる」ようになって初めて意味を成します。
実際の業務に合わせたケーススタディやロープレを繰り返しおこなうことで、日々の仕事に活かすことができるようになります。
社員教育は、一度内容を教えれば完了というものではないため、教育後の働きぶりなども加味した継続的な指導が求められます。
フォローアップの観点も忘れずに計画、実施しましょう。
(3)内容にあわせて開催形式を選択
テレワークや在宅勤務など、新たな働き方を取り入れている企業も増えている今、社員教育は必ずしも対面でおこなう必要はありません。
教育方法は対面・オンライン・eラーニングなど選択肢は多岐にわたります。
せっかく社員教育を実施しても、教育を受ける側の負担が大きくなりモチベーションが下がってしまっては元も子もありません。
教育したい内容をふまえ、どのような形式での実施が好ましいのか、工数なども考慮して検討するようにしましょう。
社員教育の成功事例
最後に、社員教育の成功事例について2つの企業の取り組みをご紹介します。
サントリーホールディングス株式会社
洋酒やビール、清涼飲料水などの製造・販売等をおこなうサントリーホールディングス株式会社では、「人材は全社の財産。全社で個を育成する」の考えのもと、世界で活躍する社員を育成すべく様々な育成方法を実施しています。
その代表例である全社員型タレントマネジメントは、適材適所の配置を推進し社員一人ひとりの活躍を促す取り組みです。
多様な自己啓発支援プログラムにも対応し、キャリアをポジティブに楽しみ、活躍できる場の仕組みづくりをおこなっています。
(参考:サントリーホールディングス株式会社「教育研修・人事制度」)
KDDI株式会社
大手電気通信事業を手掛けるKDDI株式会社では、社員自らが自身のキャリアを考え、高い専門知識やスキルを獲得するための環境を整備しています。
その一つの取り組みに「社内副業制度」があります。
社員のキャリア実現に向けた実践機会として、就業時間の約2割以内を目安に、他部署の業務を経験できる仕組みです。
幅広い視野や経験の獲得につながり、社員の成長を促しています。このほか社内公募制度も実施するなど、自律的なキャリア実現に向けた多様な成長の機会を提供しています。
(参考:KDDI株式会社「人財育成・開発」)
人材育成ならカケハシ スカイソリューションズ
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まとめ
社員研修は、社員のスキルや知識の向上だけでなくビジョンやミッションの浸透、リスクマネジメント、さらには信頼関係の構築といった様々な要素を持ち合わせています。
社員教育の手法は多岐にわたるため、自社に適したものを一つ取り組めば効果が得られるわけではありません。
自社の課題を洗い出し、社員一人ひとりのキャリアデザインの設計を後押しできる仕組みを構築し、人材力アップに向けた取り組みをおこなうことが重要と言えるでしょう。
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