ビジネスマナーとは、働く上で必要な礼儀作法の総称です。
基本原則のほか、勤務中のマナーやコミュニケーションなど、範囲は多岐にわたります。
明文化されたルールと異なりその場に合った対応が重要で、ビジネスマナーは他者を不快にさせない「思いやり」と言えます。
ビジネスマナーが特に重要視されるのは対外的な部分で、顧客満足度や組織全体の印象にも関わります。そのため、自社のリスク管理の観点からも、社員がビジネスマナーをきちんと身につけていることが大切です。
この記事では、ビジネスマナーにおける5つの原則と、勤務中やコミュニケーションのマナー、来客対応・訪問・電話対応の基本マナーなどを徹底解説します。
目次
ビジネスマナーとは?
「ビジネスマナー」とは、働く上で欠かせない、基本的な礼儀作法や所作などの総称です。
他者に不快を与えず、業務や人間関係をスムーズにするために重要で、「社会人の基礎」といっても過言ではありません。
範囲は非常に広く、服装や身だしなみ、言葉遣いといった基本的な部分から、仕事に必要なコミュニケーション能力、顧客対応時のマナーなど、多岐にわたります。

ビジネスマナーの5原則
ビジネスマナーの原則は、「挨拶」「表情」「態度」「言葉遣い」「身だしなみ」の5つ。
自らの印象を作り上げるこれらを総称して、「ビジネスマナーの5原則」と呼びます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
元気のよい挨拶
ビジネスマナーの基本は、何といっても「挨拶」です。
挨拶の有無で印象は大きく変わり、元気な挨拶は周囲によい印象を与えるだけでなく、職場の雰囲気を活気づける効果もあります。
出社時、会議の開始・終了時など、様々な場面で適切な挨拶を心がけましょう。
マニュアル通りではなくTPOに応じた挨拶は、良好な人間関係の構築にもつながります。
明るい表情
表情は、言葉以上に相手に影響を与えることがあります。
明るい表情を心がけることで、職場の雰囲気がよくなり、他の社員や顧客にも安心感を与えることができます。
特に接客や対外的なコミュニケーションにおいては、笑顔を絶やさず、明るく対応することが大切です。
笑顔は、相手との距離を縮めよい印象を与える効果があるため、意識して明るい表情を保ちましょう。
勤務態度
勤務態度は、ビジネスマナーにおける重要な要素の1つです。
仕事に対する姿勢や取り組み方が、周囲に与える印象を大きく左右します。
常に前向きで、責任感を持って業務に取り組むことが大切です。
また、定時の遵守や納期の厳守も勤務態度の一環として重要です。
自分の役割を理解し、積極的に行動することで、職場での信頼を得られます。
言葉遣い
ビジネスマナーにおいて言葉遣いは非常に重要です。
適切な敬語や丁寧語を使うことは、相手に対する敬意を示す方法の1つ。
顧客や上司、同僚とのやりとりでは、相手の立場を考慮し、失礼のない言葉を選ぶことが求められます。
誤った言葉遣いは誤解を招く可能性があるため、常に注意が必要です。
社会人としての信頼性を高めるため、正しい言葉遣いを身につけておきましょう。
身だしなみ
身だしなみも、ビジネスマナーの一環として欠かせません。
職場にふさわしい服装や清潔感のある外見は、仕事に対する真摯な姿勢を示すものです。
特に、初めて会う相手の場合は、見た目で自身の「第一印象」が決まるため、注意しましょう。
華美な服装や清潔感に欠ける髪型、汚れた靴などは、信頼を損ねる原因となります。
服装や身だしなみに気を配ることで、相手に対してプロフェッショナルな印象を与える効果も期待できます。
身だしなみのチェックリスト
ビジネスにおける身だしなみは、一般的に以下のようなことに注意が必要です。
服装 |
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髪、顔 |
|
手元 |
|
足元 |
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その他 |
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身だしなみは、相手に信頼感を与える重要な要素です。
性別や職場などによる違いもあるため、自社のローカルルールを確認しましょう。
その上で、マナーに反しているか迷う場合は、やめておくほうが無難と言えます。
勤務中における基本的なマナー
ビジネスマナーの5原則を基に、勤務中に守るべき基本的なマナーをご紹介します。
特に以下の7つは、社内外で信頼関係を築くために不可欠です。必ずチェックしましょう。
- 時間を必ず守る
- 人の名前は正確に覚える
- 感謝の気持ちを伝える
- 公平に他者と接する
- 嘘をつかない
- 相手の方向を向いて話を聞く
- お金の貸し借りをしない
- 整理整頓に努める
時間を必ず守る
時間厳守は、信頼感につながる重要なマナーです。
待たせることは、相手の時間を奪うこと。
「タイムパフォーマンス(タイパ)」という言葉があるように、時間に対する費用対効果を意識する人もいます。
仕事を円滑に進めるためにも、時間は必ず守りましょう。
人の名前は正確に覚える
相手の名前を正確に覚えることは、信頼関係を築く第一歩です。
名前を間違えると失礼になるため、名刺交換や新しい社員との初対面時などでは意識的に名前を確認し、正しく呼ぶよう心がけましょう。
感謝の気持ちを伝える
感謝を言葉にして伝えることは、円滑な人間関係を築くために大切です。
些細なことでも「ありがとう」という一言が相手に安心感と信頼感を与え、職場の雰囲気をより良好にする効果があります。
公平に他者と接する
職場では公平性が重要です。
特定の人物を優遇する、差別的な態度を取るといった行動は、信用を失うきっかけとなり得ます。
職場では、立場や役職、個人的な好き嫌いに関係なく、相手が誰でも公平に接することが大切です。
嘘をつかない
誠実さは信頼の基盤です。
後で嘘が発覚すれば、職場や顧客からの信頼を損ないます。
また仕事中についた小さな嘘がトラブルに発展してしまうと、懲戒処分となる恐れもあります。
業務でわからないことやトラブルが発生した場合でも、正直に報告して、指示を仰ぎましょう。
相手の方向を向いて話を聞く
人の話を聞くときは、姿勢も大切です。
相手の方に顔と体を向けて、目を合わせながら話を聞きましょう。
適切な相槌やリアクションを交えると、相手に対する敬意が伝わりやすく、円滑なコミュニケーションへとつながります。
お金の貸し借りをしない
お金の貸し借りは、不必要なトラブルを招く原因となります。
就業規則内で、お金の貸し借りを禁止している企業もあります。
保証人も含めて社内で金銭のやりとりは避け、緊急でやむを得ず借りる場合は、すぐに返しましょう。
整理整頓に努める
デスク周りや共有スペースの整理整頓も、大切なマナーです。
例えば、本人以外は必要書類を探せなかったり、デスク上に積み上げた物が崩れて散乱したりすると、周囲へ悪影響を与え業務効率の低下につながります。
また機密書類の出しっぱなしは、セキュリティー面でも問題です。
清潔な環境を確保するためにも、常に整理整頓を心がけ、大切な書類は所定の位置に収納しましょう。
コミュニケーションマナーの基本
顧客や関連企業などと意思疎通を図り共通認識を持つためには、コミュニケーションマナーが重要です。
具体的には、以下の4つが挙げられます。
- 話し方のマナー
- 敬語や言葉遣いのマナー
- 職場での人間関係のマナー
- 感情をコントロールするマナー
話し方のマナー
ビジネスシーンでの話し方は、日常の会話とは異なります。
自分が話し手である場合と、聞き手である場合のそれぞれに、気をつけるべきポイントがあります。
話すときのポイント
相手に失礼がないことを前提に、丁寧でわかりやすいように伝えましょう。
声の大きさやトーン、話すスピードなども意識します。口癖で「えーと」「あの」などを無意識に多用していることもあるため、日ごろから注意しましょう。
話が長いと要点がわかりにくく、時間を無駄にしてしまいます。
簡潔に伝わるよう、先に結論を述べて詳細は後から話す、あらかじめ要件をまとめておくことなども必要です。
聞くときのポイント
相手の話を真剣に聞く姿勢は、信頼関係を築く基本です。
ただ黙って聞くのではなく、相手の目を見てうなずきながら聞く、メモを取るなど、態度で「きちんと話を聞いている」ということを伝えましょう。
内容の齟齬を防ぐ意味でも、要点を復唱する、質問を挟むなども有用です。
ただし、話の途中で確認したいことがあっても、まず相手が話し終わるまで待ちます。
話の腰を折らず、相手を尊重する態度を心がけましょう。
敬語や言葉遣いのマナー
敬語や言葉遣いのマナーを守ることは、相手に対する敬意や配慮を伝えるだけでなく、自身への信頼感や評価を高めます。
社外の人にはもちろん、社内の仲のよい人にも仕事中は丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があり、状況や相手に応じて適切に使い分けることが求められます。
特に、上司や取引先に尊敬語や謙譲語を用いることで、相手に対する敬意を表すことができます。
一方で、敬語の誤用は相手に失礼となる場合があるため、ビジネスでよく使う表現は覚えておくことをおすすめします。
意見や主張などを柔らかく伝えるために、「クッション言葉」と呼ばれるフレーズも大切です。
例えば何か依頼するときに「お手数ですが」「恐れ入りますが」などをクッション言葉として付け加えることで、相手は心の準備ができるため、一方的な主張となるリスクが軽減されます。
職場での人間関係のマナー
職場での円滑な人間関係を築くためには、配慮や共感を持った行動が大切です。
礼儀正しく接し、信頼関係を維持することが、チームや部署全体の力を引き出す鍵となります。
具体的には以下の3つに注意しましょう。
会社や周囲への批判を口にしない
批判や不満を公然と口にすることは、職場の雰囲気を悪化させる原因となります。
問題がある場合は建設的に解決策を考え、個別に対応することが求められます。
自分の立場をわきまえた発言をする
常に自分の立場や役職に応じた発言を心がけ、過剰な自己主張や不適切な意見は避けましょう。
よく知っている相手でも一定の距離感を保ち、状況にふさわしい発言を意識することが重要です。
主体的に改善しようとする
ビジネスマナーが初めから完璧な人はいません。
ただし、周囲から指摘されて直すだけではなく、企業の一員として主体的に改善していく姿勢が大切です。
企業側も、教えて終わりにせず、社員が自ら臨機応変に行動できるよう促すなど、マナー向上につながる施策を検討してみましょう。
感情をコントロールするマナー
様々な場面で感情をコントロールして、表に出さないのもマナーです。
例えば、イライラして乱暴にドアを閉めると周囲を萎縮させたり、嬉しい気持ちが表に出すぎたりすると「浮かれている」と思われるかもしれません。
感情を職場の誰かに伝えること自体は問題ありませんが、一定の制御は必要です。
過度な言動・行動にならないよう注意して、冷静に対応することが円滑なコミュニケーションにつながります。
来客対応・訪問・電話対応の基本マナー
来客や訪問、電話対応などは、企業の印象を左右する重要な場面です。
これらのマナーを正しく理解し実践することは、信頼関係の構築や、スムーズなビジネスの進行につながります。
来客対応のマナー
来客対応では、明るい笑顔と丁寧な挨拶で迎えることが基本です。
来訪者の名前や目的を確認し、適切に担当者へ引き継ぎましょう。
待機中には飲み物を提供するなど、相手を気遣う対応が求められます。
訪問者が帰る際も、心地よい印象を残すために笑顔で見送りましょう。
訪問のマナー
訪問時には、事前にアポイントを取ることが必須です。
約束した時間を厳守し、訪問前に必要な資料や名刺を確認しましょう。
オフィスでは挨拶や礼儀をしっかりと守り、退出時には「本日はありがとうございました」と感謝の意を伝えます。
また、清潔感のある身だしなみも忘れてはいけません。
相手に悪印象を与えないよう、場にふさわしい服装で向かいましょう。
訪問客の案内のマナー
訪問客を案内する際は、わかりやすく丁寧な説明を心がけることが大切です。
移動の際はエレベーターや扉を先に通して相手を優先し、座席の位置にも配慮します。
会議室では資料や飲み物を用意し、快適に過ごしてもらう工夫が求められます。
案内の最後まで責任を持って対応しましょう。
名刺交換のマナー
名刺交換は、相手に敬意を示すビジネスマナーの1つです。
名刺は胸より下で持ち、相手の名前や役職を確認しながら差し出します。
交換後は名刺入れに丁寧に保管し、決して無造作に扱わないよう注意が必要です。
正しいマナーに沿っておこなうことで、第一印象がよりよくなります。
電話のマナー
電話対応では、声のトーンや話し方が相手への印象を左右します。
明るくハキハキとした声で名乗り、用件を端的に伝えることが大切です。
また、相手の話を正確に理解するためにメモを活用し、聞き漏らしを防ぎましょう。
かけ直しや電話を切る際にも、相手が切るまで丁寧な配慮が求められます。
オンライン会議のマナー
オンライン会議(ビデオ通話、WEBミーティング)にもマナーがあります。
例えば、音声トラブルを防ぐために機材や通信環境を確認しておく、ビジネスにふさわしい背景や氏名の表示にする、自分が発言するときのみマイクをONにするなどです。
ビジネスではカメラをONにして参加するのが基本のため、服装や照明にも注意しましょう。
参加者のプライバシーにも配慮して、在宅勤務中の相手の背景に何かが写り込んでも、触れないのがマナーです。
まとめ
ビジネスマナーは、円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築に欠かせない基盤です。
基本的なマナーを意識して行動することは、個人の評価を高めるほか、企業イメージや顧客満足度の向上につながる効果も期待できます。
ビジネスマナーの本質を理解して習得するには、重要性を理解した上で、実践型のトレーニングをしていくことがポイントです。
カケハシ スカイソリューションでは、ビジネスの仕組みやルールを習得できる研修や、新入社員を即戦力化するビジネスマナー研修も実施しております。
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