内定者育成

報連相の目的とは?重要性やできない原因、適切におこなうコツ、定着させる方法を解説

報連相は、多くの企業で重要視されているビジネススキル。
ただし、その重要性は理解しているものの、実際には適切に運用されていないケースもあるようです。

本記事では、報連相をおこなう意義や適切におこなえない原因、適切な報連相の実施方法やポイントについて、詳しく解説します。

目次

報連相とは何か

報連相とは、「報告」「連絡」「相談」の頭文字をとったビジネス用語。
職場のコミュニケーションを円滑にするほか、情報を適切に共有することで、仕事の効率化に役立つスキルです。

報連相は相手に伝える行為を指しますが、それぞれ使う場面は異なります。
まずは、報告の意味と使用場面を解説します。

1.報告

報告とは、仕事の進捗や結果などを上司や先輩社員に伝えること。
部下から上司へこれらを報告する際におこなう行為です。

2.連絡

連絡とは、業務に関する情報や、自分のスケジュールなどを関係者に伝えることです。
業務に関わる先輩社員や同僚に情報を共有する場面が、これに該当します。

3.相談

相談は、業務上のトラブルや疑問点、質問などについて、上司や先輩社員などに意見やアドバイスを求めること。
例えば、物事の判断が必要な場面で使うスキルです。

報連相の目的について

報連相は、実施を社員に徹底している企業も多く、入社後の早い段階で身に付けておきたいスキルです。
ここからは、報連相の重要性を理解するため、その目的について解説します。

業務を効率化するため

報連相の目的の一つに、業務の効率化があります。
報連相をおこなうと、「誰が・何の業務を・いつまでに実施すればよいのか」といった進捗状況を把握できます。

自身がおこなうべき業務だけでなく滞っている業務も把握できるため、部下は業務の準備を進めやすくなり、上司は部下の業務調整がしやすくなります。

課題を迅速・適切に解決するため

課題に対して素早く適切に対応できるようにすることも、報連相の目的です。

例えば、滞っている業務など課題が浮き彫りになることで、それに対してのサポートが迅速且つ適切におこなえるため、課題やトラブルの早期解決につながります。

報連相を適切におこなうメリットとは?

組織で報連相を適切におこなうことにはいくつかのメリットがあります。
どのようなメリットがあるのでしょうか。

上司の業務管理が楽になる

先述の通り、報連相をおこなえば、業務の進捗度合いが把握できます。
業務を管理する上司の立場からすると、業務の流れが把握できることでチームや部署間の業務調整がしやすくなり、業務管理も楽になります。

部下からの適切な報連相があることで、上司は部下の進捗状況を逐一気にする必要がなくなり、自身の仕事に専念できるようになります。

上司が部下のサポートをしやすくなる

報連相が適切におこなわれていれば、業務上必要なサポートやフォローもしやすくなります。
上司は部下に対して、どのタイミングでどのようなサポートをすればよいのかといった対応方法の判断がしやすくなります。

業務上のミスが減る

業務上起こりそうなミスを事前に把握できるため、ミスを防げることもメリットです。
上司は部下のミスに気づきやすくなります。

また、部下も事前に上司に相談することで、ミスを減らすことができます。

組織内のコミュニケーションが円滑になる

報連相をおこなうと、組織内でコミュニケーションの機会が増えます。
上司と部下だけでなく、他部署や取引先などとの関係性も良好になります。

お互いの行動や考え方を理解できるようになることで社員同士の距離が縮まり、コミュニケーションが円滑になります。

社員の適性を活かしたチームを作れる

報連相の内容から、社員の得意なことや不得意なことが把握できます。

例えば、相談の多い業務がわかることで、社員の業務特性を予測・把握できます。
適材適所の人員配置が可能となるため、チームの生産性を上げることも期待できます。

報連相を怠った際に生じるリスク・デメリット

ここからは、報連相を怠ることで、どのようなリスクやデメリットが生じるのかを解説します。

トラブルやミスが起こりやすくなる

報連相を怠ると、仕事上のトラブルやミスが起こりやすくなります。
報連相を適切におこなう習慣をつけることで、未然にトラブルを回避できます。

組織においては、ミスが起こったときだけでなく、ミスが起こりそうなときに部下から上司へ迅速に相談することも重要となります。
トラブルやミスを放置してしまうと、大きな損失を生む可能性もあるためです。

問題の原因がわからず対応が遅れる

報連相をおこなわないと、どこでどのような問題が起こったのか、その原因が掴めません。
問題への対応が遅れてしまい、被害が拡大する恐れがあることもデメリットです。

部下の状況が把握できず業務が停滞する

上司は部下の進捗を把握しながら、業務に関して適切な判断を下します。
報連相が組織に浸透していない場合、正しい業務の進捗度合いがわからず、業務が停滞してしまうリスクがあるため注意が必要です。

その後の業務に支障が出たり、他部署など関連する業務の進行を妨げたりする可能性もあります。

チーム間の意思疎通がうまくいかなくなる

報連相はチーム間のコミュニケーションを促進します。
逆に、報連相をおこなわないとチーム間の意思疎通がうまく取れなくなり、連携性が低くなります。
いずれは、チームメンバー間の関係性が悪化したり、チームとして機能しなくなったりする恐れもあります。

報連相を適切におこなえない原因

報連相は多くの企業で重要視されていますが、実際には適切におこなえていないケースもあります。その原因と対応策についてご紹介します。

報連相のやり方を理解していない

報連相をしなさいと上司がいくら伝えたところで、当事者が、そのやり方や重要性を理解していなければ、適切にはおこなえません。

報連相をおこなわないことでどのようなリスクがあるのか、「誰に・何を・どのタイミングで、どのように」伝えるとよいのかをしっかり教育することが大切です。

報連相を適切におこなうためには、いくつかのポイントがあります。

例えば、伝える側が気をつけたいこととして、「結論から話す」「口頭だけでなく文字にも残す」などがあります。
結論から伝えることで、相手が内容に対して興味を持ったり、内容が伝わりやすくなったりします。

また、文字でも伝えることで相手の理解が深まるほか、内容の誤解や食い違いなども防げます。
新入社員の場合、新入社員研修などで報連相のやり方を伝えるのも効果的です。

伝える相手への苦手意識がある

上司など報連相を伝える相手に対して苦手意識があると、報連相を後回しにしてしまう原因になり得ます。

人とコミュニケーションを取るのが苦手な場合や、相手との関係性がうまくいっていない場合などは、報連相を適切なタイミングでおこなえない恐れがあるでしょう。
周囲と良好なコミュニケーションをとれるよう、普段から信頼関係を構築することが大切です。

例えば、上司は部下に対して「おひたし」で接することを心がけるとよいでしょう。

「お:怒らない」「ひ:否定しない」「た:助ける」「し:指示する」を意識することが、部下との関係性構築に役立ちます。

報連相をしやすい環境が整備されていない

報連相を適切におこなえない原因には、環境が整っていないことも挙げられます。
具体的な実施方法を教えてもらう機会がないなど、おこないたくてもできないケースもあるでしょう。

例えば、「報連相をおこなうタイミングを把握できるようにスケジュールを可視化する」「報連相のやり方をルール化する」など、報連相がしやすい環境づくりを推進しましょう。

報連相の実施方法【報告】

ここからは、報告・連絡・相談のそれぞれの実施方法について、「口頭」と「文書」の2パターンで解説します。まずは、報告の仕方から見ていきましょう。

口頭の場合

口頭で報告する場合、相手のスケジュールを確認した上で伝えることが大切です。
相手が忙しい場合は、すぐには聞いてもらえない可能性もあります。

まずは報告したいことがあると伝えることで、相手が状況に応じて報告のタイミングを調整してくれるでしょう。

文書の場合

文書で報告する場合、報告に必要な情報のみを記載しましょう。

関係のない情報を載せてしまうと、相手が内容を確認する際に、無駄な時間や手間がかかることになります。
報告したい内容がわかりやすいよう、図や表などを用いながら伝えることがポイントです。

報連相の実施方法【連絡】

連絡の実施方法については以下の通りです。

口頭の場合

口頭での連絡では、相手が忙しいときを避け、伝えられる時間帯に連絡するのがポイントです。
電話で連絡する場合、着信音を鳴らして迷惑をかけないよう、ミーティングなどの時間を確認しましょう。

文書の場合

文書で連絡する際は、連絡の目的となる結論を冒頭で記載することが重要です。
まず結論を記載することで、相手が連絡の意図をすぐ理解できます。

報連相の実施方法【相談】

相談の実施方法についても確認していきましょう。

口頭の場合

口頭で相談する場合、どのようなことについてアドバイスが欲しいのか、相談内容を明確に伝えましょう。
相手に対して負担をかけないよう、まずは相談に対する答えを一度自身で考えてみることも大切です。

「〇〇について悩んでいるのですが、〇〇すればよいでしょうか」といったように、自分なりの回答を示した上でお伺いを立てるようにすると、相手がアドバイスの内容を深く理解できるほか、やりとりもスムーズになるでしょう。

文書の場合

文書での相談で重要となるのは、相談内容をわかりやすく記載することです。

「〇〇の業務に時間がかかってしまうため、効率化のコツを知りたいです」といったように、相手が理解しやすいよう心がけ、詳細かつ簡潔に記載しましょう。

報連相をおこなう際のポイントとは?【部下側】

ここからは、報連相をおこなう際にはどのようなことに気をつけるとよいのかを解説します。
まずは、部下が知っておきたいポイントについて見ていきましょう。

相手の状況を確認してからおこなう

報連相は、相手の状況を把握した上でおこなうことが大切です。
もしかしたら相手が出先かもしれませんし、会議中かもしれません。

相手の都合を考慮せずに報連相をおこなうと、相手に迷惑をかけるだけでなく、自身の印象も悪くしかねません。報連相をおこなうタイミングには注意しましょう。

相談する際はなるべく早くおこなう

相談のタイミングを躊躇してしまうと、トラブルが大きくなる可能性があります。
迷ったり悩んだりしたらなるべく早く相談し、問題を早期に解決しましょう。

主観を交えず客観的事実を伝える

報連相をおこなう際は、「〇〇だと思われます」「噂では〜」といったような主観を交えず、客観的事実のみを伝えることがポイントです。
自身の感情を交えて伝えると、相手は適切な判断ができなくなります。

例えば、「◯月◯日時点で、◯◯作業が◯◯まで完了しています」といったように、事実を端的に伝えるとよいでしょう。

伝える相手を間違えない

報連相を伝えるとき、伝える相手を間違えないこともポイントです。
なぜなら、知りうる業務内容や立場、役割が人によって異なるためです。

例えば、業務内容に関する相談をする場合、相手にその業務に関する知識がなければ、適切な答えを得ることは難しく、問題の解決には至りません。
誰に報連相をおこなうべきなのかを適切に判断することが大切です。

正しい言葉遣いで伝える

言葉遣いを意識することも報連相をおこなう際のポイントです。
例えば、「敬語を使う」「略語を使わない」といったことに気をつけましょう。
伝えたい内容が正しく伝わるよう、正しい日本語を使うことが大切です。

報連相をおこなう際のポイントとは?【上司側】

報連相は、部下から上司へおこなうことが基本ですが、上司側にも気をつけたいポイントがあります。以下でご紹介します。

話しやすい雰囲気を作る

上司側が気をつけたいポイントの一つは、部下が話しやすい雰囲気を作ることです。
上司の仕事が忙しそうだと感じ、部下が中々話しかけられないといったケースもあります。

上司は部下から声掛けがあった場合、「業務の手を一旦止める」「時間がないときは対応できる時間やその方法を伝える」など、部下が報連相のタイミングに困らないよう工夫することが大切です。

立場に関係なく、誰もが平等に発言できる、風通しのよい職場づくりを意識しましょう。

具体的な指示を出す

上司は部下から報連相があった場合、具体的な指示を返すことも大切です。
部下にどのような行動をしてほしいのか、部下にわかりやすく伝えましょう。

「◯月◯日までに◯◯の報告をしてほしい」など、報連相のタイミングについて伝えておくこともポイントです。

報連相がしやすい体制を整備する

部下が上司に報連相しやすい環境をつくることもポイントです。

例えば、部下がミスをしてしまった場合でも、上司はそれを受け入れ、今後の改善策を助言するとともに、チーム内で助け合えるようにするとよいでしょう。

また、まずは伝えてくれたことに感謝し、それに対するフィードバックはできるだけ前向きな言葉をかけることも必要です。
是正のフィードバックのみにならないよう注意しましょう。

報連相を職場全体に定着させる方法

報連相を職場全体に定着させるには、どのような方法が効果的なのでしょうか。
具体的な方法を3つご紹介します。

報連相を職場全体に定着させる方法
  • 質より量を意識させ習慣化させる
  • ツールを活用する
  • 研修でビジネスの基本スキルを身に付ける

質より量を意識させ習慣化させる

報連相を定着させるためには、報連相をおこなうことを習慣化することが重要です。
まずは報連相の質を求めるのではなく、量を意識してもらうとよいでしょう。
回数を重ねることで、報連相をおこなうことが当たり前となってきます。

ツールを活用する

先でも述べたとおり、報連相の定着には、環境づくりが不可欠です。
その方法として、報連相のやりとりを効率化するためのツールを活用するのも一案でしょう。

例えば、チャットツールを活用すれば、やりとりがスムーズになるだけでなく、相手の状況を気にせず連絡を取ることができ、報連相のタイミングを尋ねる際にも便利です。

相手も自身の状況に応じて内容を確認・返答することができます。

研修でビジネスの基本スキルを身に付ける

そもそも、報連相の適切なやり方がわからないケースもあるのではないでしょうか。
報連相の重要性は理解していても、伝え方がわからない人もいます。

コミュニケーションスキルやビジネスマナー、ロジカルシンキングといったビジネススキルを身に付ければ、自信を持って報連相をおこなえるようになるでしょう。

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また、課題発見解決スキルを身に付け、組織などに影響力を発揮できる人材育成を目指す「問題発見解決研修」なども実施しています。

ぜひ、自社の人材育成にご活用ください。

まとめ

報連相は、社会人が身に付けるべき重要なスキルであり、業務の効率化や迅速な課題解決などに役立ちます。

報連相を怠ると、業務が停滞したりトラブルが生じたりといったリスクがあるため、報連相を適切におこなうための方法やポイントを理解する必要があります。

ここで紹介した内容を参考にしていただき、自社での報連相の定着を目指してはいかがでしょうか。

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知恵袋編集部
「人と組織の成長を加速する」というミッションのもと、採用、育成、定着を支援する様々なソリューションをワンストップで提供するカケハシ スカイソリューションズならではの知見をお伝えすることを目的として記事を執筆・編集。社員研修の知恵袋では、人事担当向けに、社員教育全般に役立つノウハウを幅広く取り扱っています。
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