即戦力として、また今後の競争力向上のため、若手社員の育成に注力する企業が増えています。
しかし、若手の育成が難しい、なかなか成長しないと悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。
今回は最近の若手の傾向や仕事に対する意識を踏まえ、若手社員を育成するポイントをご紹介します。
目次
最近の若手社員の傾向とは
最近の若手社員の傾向として、幼少時からインターネットが身近な存在であり、不況や格差社会の経験などから、バブル世代や就職氷河期世代とは異なる労働価値観を持っていると言われています。
2019年日本能率協会が入社2年目までの社員を対象に行った「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2019」では、「人生は充実しているが、将来は不安」と回答する若手が過半数を超え、この結果は同調査の新入社員の育成に関わる上司・先輩社員の回答よりも高い傾向にありました。
また、82.7%が「仕事で失敗したくない」と回答していることから、失敗は避けたいと思う傾向が他の世代より強いようです。
近年では管理職になりたくない若者が増えているとも言われています。
マンパワーグループが現在役職についていない20~50代の男女(正社員)に行った「今後、管理職になりたいか」についての調査では、83.0%が「なりたくない」と回答。
「管理職になりたくない」理由は、「責任の重い仕事をしたくない」(51.2%)が最も多いという結果でした。
年代別で見ると、20代(62.5%)、30代(62.3%)の約6割が「責任の重い仕事をしたくない」を理由に挙げていて、全体の回答率よりも1割ほど高く、若手は責任の重い仕事を避けたい傾向が見られます。
企業の中で若手と呼ばれる入社数年の社員は、将来会社を背負っていく重要な人材です。若手の育成は、新入社員や中間層に比べてないがしろにされがちですが、きちんと育成することで企業に与える影響も大きいでしょう。
※参考「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2019」(株式会社日本能率協会マネジメントセンター)
※参考「今後、管理職になりたいか」についての調査(マンパワーグループ株式会社)
若手社員を育成する4つのポイント
最近の若手社員の傾向を踏まえ、ここからは企業における若手育成のポイントを紹介します。
- 若手社員の気持ちに寄り添う
- 育成計画を作成する
- 育成に合わせてキャリアプランも提案する
- 指導者向けの研修を実施する
ポイント(1)若手社員の気持ちに寄り添う
失敗を恐れる傾向にある現代の若手社員には、「さまざまなことにチャレンジし、失敗から学ぶ経験を積む」という価値観だけで育成するのは難しいかもしれません。
つまずきそうなポイントや想定されるリスクを伝え、事前に心の準備ができるようにすると問題が発生した場合も冷静に対処できる人材になります。
ポイント(2)育成計画を作成する
若手社員育成で目指したいのが、「一人の社会人としての土台を完成させる」こと。
育成の目的を明確にし、段階的に育成計画を立てることも重要です。1年目の新入社員と3年目の社員では、求められる役割や成果の基準も異なります。
それぞれの段階の若手社員に必要な研修や、悩みを解決できるような育成計画を作成し実行すると効果が現れやすいでしょう。
ポイント(3)育成に合わせてキャリアプランも提案する
若手社員が自らのキャリアについて考える機会をつくることも重要です。
入社3年以内の離職が多いとされている近年、人事担当者は若手にキャリアを考えさせることに離職のリスクを感じるかも知れません。
しかし、早い段階で組織内での今後のキャリアプランを提案することで、若手社員は自らの将来に対して前向きに進むことができます。
今後の社内でのキャリアプランがイメージできると「今やるべきこと」も具体化され、成長を加速させることにつながります。
ポイント(4)指導者向けの研修を実施する
指導する側の若手育成能力を向上するため、指導者を対象とした研修を実施することも効果的です。
若手の人材育成上の課題として、指導する側の業務が多忙で育成の時間的余裕がないことや、そもそも育成能力が不足しているなどがあるためです。
企業は組織全体で若手育成に取り組む環境を整備し、指導者にはそのための時間とスキル向上の研修制度などを整えましょう。
若手の成長を促すための具体的な施策とは
企業の人事担当者の中には、若手社員の育成方法に悩んでいる人もいるかも知れません。
そこで今回は、実際に数々の研修の講師として登壇しているカケハシ スカイソリューションズ(以下、カケハシ)教育研修事業部の責任者に、若手社員の成長を促す具体的な施策やポイントを聞いてみました。
教育研修事業部 事業部長
若手社員の育成で具体的に有効な施策とは?
まず、入社して2年目3年目の若手を放置しないことが重要です。
会社としては新入社員研修や管理職研修などの優先度が高く、若手に対する育成は手薄になりがちかと思います。
しかし、新卒で入社後、例えば3年間の育成ステップをつくり若手社員を成長させることに注力すると、早期離職の対策にもなりますね。
具体的には、定期的に若手社員の現在の状況を把握したり、本人が組織の中で成長実感を得られているか確認したりすることが大切です。
「この会社で自分は成長できそうか」を考える機会を設け、意図的に成長を促してあげましょう。
研修を実施する場合には、「コミュニケーションスキルを上げる」「段取り力と業務効率アップ」「キャリアについて考える」などテーマ性を持ち、日常の業務に関係するスキル付与や思考の整理方法など、その階層に必要なものを提供することです。
新入社員育成時に取り入れられる、トレーナーをつけることや上司との1on1の時間を設けることは2年目以降でも有効で、2年目からは業務と並行しながらそのような日常支援を取り入れるとよいでしょう。
また、OJTトレーナーとして活躍の機会を与えるのも、成長を促すよい機会となりますね。
若手を育成する上で、気をつけるべきポイントは?
若手社員と上長世代には、世代間ギャップが正直あると思います。特に今はコロナ渦の影響で、オンライン採用で入社し、その後もオンラインによる研修が多いため、社内での関係性の構築が難しく、心の距離も縮まりにくい状況です。
だからこそコミュニケーションが大事ですが、若手育成の場合には楽しいコミュニケーションよりも、仕事を通じたコミュニケーションをお互い意識することがポイントでしょう。
若手には自分から働きかける教育を行い、上の立場にいる人には若手からの働きかけをしっかりキャッチする意識を持ってもらいます。
そのためには、よい職場の雰囲気といろんな先輩とコミュニケーションができる環境を整えるのも効果的だと思いますよ。
若手社員の成長を促すために、人事担当者や経営層が心がけることは?
会社の指針を育成ハンドブックなどで言語化して示すことが大切です。
若手が「会社に何を求められているのか」「役割は何か」という、自分のあるべき姿を理解できないと、ギャップに気づくことができないためです。
会社が若手に求めることは、スキルとマインド(スタンス)がありますが、両方を言語化して伝えることが必要です。
まとめ
これからの将来を担っていく若手社員には、適正な人材育成が必要不可欠です。
人事担当者は、従来までの方法にとらわれず、最近の若手の意識や傾向を踏まえた育成プランを作成し、実行することで企業の組織力向上につながるかもしれません。
今回の記事で紹介したポイントを参考に、自社の若手育成プランを見直してみてはいかがでしょうか。
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