![]() 2025/3/26 vol.330 KAKEHASHI SKY NEWSは、第二・第四水曜日配信 “「この仕事、私がやるべきですか?」 ![]() 教育研修事業部 マネジャー 松浦仁美 「この仕事、私がやるべきですか?」
今の若手社員から、こうした問いかけを受けたことがある人は多いのではないでしょうか。 以前は指示された仕事を疑問なくこなすのが当たり前とされていたため、このような問いかけに対して「最近の若手は責任感がない」と捉えがちです。 しかし、重要なのは「なぜ若手はこのような疑問を持つのか?」と考えることなのです。 本コラムでは、若手社員の意識変化の背景を探り、それに合わせた育成者の対応方法を考えていきます。 若手社員の意識変化の背景
若手社員の意識が変わってきた背景には、いくつかの要因があります。 1.仕事の意義や目的を重視する 今の若手社員は、仕事の意義や目的を理解した上で取り組みたいと考える傾向が強いです。 インターネットやSNSを通じて多様な仕事観やキャリア情報を得られるようになり、この仕事がどんな価値を生むのかを考えるようになったからです。 そのため、指示を出す際には、業務の目的や期待する成果を明確に伝えることが重要です。 2.ワークライフバランスの意識の変化 働き方改革が進み、企業も「長時間労働=美徳」という価値観を見直し始めています。 その結果、「無駄な仕事を減らす」「効率的に働く」ことが重視されるようになりました。 この流れの中で「この仕事は本当に自分がやるべき?」と考えるのは自然なことかもしれません。 例えば、従来のやり方をそのまま踏襲している業務があった場合、若手社員から「もっと効率的な方法はないのか?」と疑問を持たれることもあるでしょう。 3.「指示待ち型」から「納得型」へ 昔は「とにかくやれ」と言われれば、やるのが当たり前の時代でした。しかし、今の若手社員は「納得した上でやる」ことを重視します。 単に仕事を振るのではなく「なぜこの仕事をやるのか?」「どうすれば効率的に進められるのか?」という視点を持つことで、より主体的に取り組めるようになります。 また、キャリアに対する考え方の変化から「この仕事をやることで、自分のスキルや経験がどう成長するのか?」を考える傾向が強いため、仕事をただ割り振るのではなく、成長の機会として捉えられるような伝え方が求められます。 育成者の指導方法のアップデート
こうした若手の意識の変化に対応するためには、育成者側も従来の指導方法を見直し、時代に合ったアプローチを取る必要があります。具体的には、以下のようなポイントです。 1.「まずやれ」ではなく「なぜやるのか」を伝える 例えば、商品発送の仕事があった場合。 単にやり方の指示をするだけではなく、「商品発送の仕事を通じて、どんなお客様がいるのか知ってほしい。」と説明をすることで、作業ではなく、目的を持った仕事に変わります。加えて、「この業務をやりながら改善できそうな点があれば教えてほしい」と伝えることで主体性を育むことにつながります。 2.「根性論」ではなく「効率的な進め方」を教える 「とにかく頑張れ」ではなく「このやり方だとスムーズに進められるよ」と、具体的な進め方を示すことで取り組みやすくなります。 また「とりあえず経験しろ」ではなく「この仕事をやることで、こんなスキルが身につくよ」と成長の視点を伝えることで、モチベーションを高めることもできます。 3.業務の負担が適正か見直す 若手社員が「自分だけ負担が大きい」と感じている場合は、一度業務の割り振りを見直し、調整することも大切です。 話を聞くだけでも、不満が軽減されることがあります。 時代の変化に合わせた育成が鍵
「最近の若手は…」と嘆くのではなく、「どうすれば彼らが納得して成長できるか?」を考えることが、今の時代に求められる育成のあり方です。 若手の意識変化に対応し指導方法をアップデートすることで、能力を引き出し、組織全体の成長につなげることができるでしょう。 育成者としても「教えること=自分の成長」と捉え、時代に合わせた指導法を身につけることが大切なのかもしれません。 昨年からスタートし、私も登壇をしている「OJTトレーナー研修」では、ご自身が育ってきた環境と現在の育成環境とのギャップを実感し、育成力をアップデートしたいというOJTトレーナーや人事の方に多くご参加いただきました。 好評につき今年も実施していますので、ご興味があればぜひご参加ください。 ![]() Pick up Seminar Articles |