パソコンなどの電子機器とインターネットを活用する教育手法の「e-ラーニング」。学習履歴により進捗率や達成度合いを把握でき、体系的な教育を提供できると考えられています。
オンラインで実施できる社員教育として多くの企業で導入されていますが、実際に取り組んでいる社員の中には「意味がない」と不満を感じている人も少なくないようです。
今回の記事では、「e-ラーニングは意味がない」と言われてしまう原因や理由、管理者が抱える課題についてご紹介します。
e-ラーニングに対して社員が不満を感じる原因
e-ラーニングは、「いつでもどこでも学習できる」「何度も復習できる」などのメリットがありますが、実際に取り組む社員の中には不満を感じる人もいるようです。
ここではe-ラーニングに対して不満を感じる原因を3つご紹介します。
- 特定のOSやデバイスにしか対応していない
- 長時間のコンテンツで受講時間が長くなる
- 労働時間外に受講するケースがある
特定のOSやデバイスにしか対応していない
導入するe-ラーニングが特定のOSやデバイスにしか対応していないと、社員の不満につながる場合があります。
例えば、「専用のソフトが必要」「社内システムからしかアクセスできない」など、eラーニングを開始するまでに手間がかかると、実施自体が面倒に感じてしまうためです。
また、若手社員がスマートフォンでの学習を希望するように、各社員が利用しやすいデバイスに対応しているかどうかも重要なポイントです。
デバイスが限られると使い勝手が悪く、普及しない原因にもなるでしょう。
長時間のコンテンツで受講時間が長くなる
e-ラーニングの想定再生時間は30~60分が一般的ですが、社員に前提知識がないと理解するのに時間がかかり、受講時間が長くなってしまうことがあります。
忙しい業務の合間に受講する社員もいるため、コンテンツの時間が長くなると「自分の時間が奪われている」と感じて不満につながるようです。
また、長時間のコンテンツは途中で飽きて、読み飛ばしや早送りしてしまう原因にもなります。
労働時間外に受講するケースがある
e-ラーニングの受講時間は労働時間としてカウントするのが一般的ですが、そうではない企業が多いのが現状のようです。
労働時間外にe-ラーニングを受講することになっても、学習時間に対して残業代がつかないことにより、社員の不満を招いているケースもあります。
e-ラーニングの受講時間が労働時間に該当するか否か、ルールが明確化されていないことが不満を生む原因になっていると言えるでしょう。
e-ラーニングが活用されにくい4つの理由
e-ラーニングには、運営する上で活用されにくいという課題もあります。なぜ活用されにくいのか、4つの理由をご紹介します。
- 実務に直結するようなコンテンツがない
- モバイルに対応していないため、すきま時間に学習できない
- 質疑応答やディスカッションができない
- 受講意欲やモチベーションのコントロールが難しい
理由(1)実務に直結するようなコンテンツがない
e-ラーニングが活用されにくい理由の一つに、実務に直結するようなコンテンツがないことが挙げられます。
既成で用意されているコンテンツは、数量があっても内容が古く、受講しにくいためです。
自社に必要なテーマやカリキュラムなど管理者がコンテンツ作成を担う場合もありますが、自社オリジナルの研修コンテンツの場合、作成が滞ってしまい、使われなくなってしまうケースもあるようです。
理由(2)モバイルに対応していないため、すきま時間に学習できない
e-ラーニングのツールは年々機能が追加され日々進化していますが、モバイルに対応していないために活用されにくいケースもあります。
モバイル対応でなければ、外出が多い営業担当者など業務によっては受講に支障が生じます。
また、モバイル対応のe-ラーニングを導入しても、動画配信の機能が弱いと受講中に再生が止まってしまうなど、不具合やストレスが生じることもあります。
理由(3)質疑応答やディスカッションができない
e-ラーニングは自己学習のため、学習中に不明点や疑問があってもその場で解決できない点も活用しにくい理由になります。
集合研修は、社員間の交流機会としても役立つのに対し、e-ラーニングではそのような副次効果が得られません。
e-ラーニングだけで完結できる教育なのかを検討し、場合によっては集合研修と組み合わせるなどの工夫が求められるでしょう。
理由(4)受講意欲やモチベーションのコントロールが難しい
e-ラーニングの設計は自由度が高いため、受講者の受講意欲やモチベーションのコントロールが難しいことも理由に挙げられます。
同じ場所に集まって行う集合研修には強制力がありますが、eラーニングは個人単位で受講するため、「忙しくて忘れてしまった」「やる気がでない」などの理由でおざなりになってしまうことも考えられます。
e-ラーニングの管理者が抱える課題とは
e-ラーニングを受講する社員から「意味がない」との声が上がり、「e-ラーニングは効果が得られない」と感じている管理者もいるのではないでしょうか。
e-ラーニングの管理者はどのような課題を抱えているのか、また、e-ラーニングで効果を得られていない企業が取り組みたい対策について、研修講師としての登壇実績が多数ある、カケハシ スカイソリューションズの教育研修事業部マネージャーにお話を伺いました。
教育研修事業部マネジャー
「e-ラーニングは効果が得られない」と感じてしまう一番の原因は?
e-ラーニングにも、良いところと悪いところがあります。それらを踏まえて、うまく活用できていないことで、効果を実感できないのではないでしょうか。
活用できていない原因の一つとして、導入時に「インストラクショナルデザイン」を検討できていないことが挙げられます。
インストラクショナルデザインとは、それぞれの環境において最適な教育効果をあげる「教育設計」のことで、研修の「狙い」「効果」「達成目標」を設定します。
e-ラーニングでの学習だけにとどめていては、実務に落とし込むことは難しいでしょう。
e-ラーニングの効果を高めるためには、インストラクショナルデザインを行った上で、「アウトプット学習」や「メンター制度」を組み合わせるなどの工夫が必要ですね。
e-ラーニングの管理者に求められることとは?
そもそもe-ラーニングの学習効果を期待しすぎている管理者が多いように感じています。
研修だけでは人は育ちません。それを念頭に置いて、e-ラーニングで得た知識をいかに実務に落とし込めるかが管理者の課題になるでしょう。
実際に「できる」ことを目指すのが社会人の学びであるため、e-ラーニングで学んだ内容を社員がやりたいと思えるように、学びのプロセスをつくって現場に送り出すことが大切ですね。
e-ラーニングで効果を得られていない企業が取り組みたい対策とは?
e-ラーニングの学習だけでは足りないところが発生します。一方、e-ラーニングを活用することで効果的に学べることもあります。
例えば、リーダーシップ研修では経営知識として財務について学びます。座学で学べる内容を、受講者全員で集まって学ぶ必要はないでしょう。
受講期限を決めてそれぞれが知識を得た上で、より実務に近い対面型の研修ができれば研修効果も高まります。
また、基本的に働きながら学ぶことが前提なので、すき間時間に学べる「マイクロラーニング」などのコンテンツも有効です。
まとめ
オンラインで実施できる社員教育として普及している「e-ラーニング」ですが、効果的に運営できていないことで、「意味がない」と感じる社員も多いようです。
今回の記事で紹介した、社員が不満に感じる理由や活用されにくい原因にあるように、e-ラーニングだけでは学びを実務に活かしきれないと言えるでしょう。
実務で「できる」ようになるために、アウトプット学習やメンター制度を組み合わせる、あるいは短時間で効率よく学べるマイクロラーニングを導入することなどを検討してみてはいかがでしょうか。
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