採用活動は大手企業より中小企業の方が圧倒的に難しいと言われています。
なぜ中小企業の中途採用は難しいとされるのでしょうか。
本記事では、中途採用が難しい理由を解説するとともに、採用上のハンデを抱える中小企業はどのような対策を打てばいいのかについて解説します。
目次
中小企業の中途採用が難しいと言われる理由と解決策
中小企業の中途採用が難しい理由を大手企業と比較してみていきましょう。
- 知名度が低い
- マンパワー不足
- 「中小企業」という言葉のイメージが悪い
- 他社との差別化ができていない
知名度が低い
中小企業は大手企業と比べ知名度が低い場合が多いです。
このことは広告費にかけられる予算が少ないことも起因しています。
人は自分の知らないものや未知のものに対して恐怖心を抱くため、知らない企業より知っている企業を選ぶ傾向が高いです。
つまり、知名度が低いことは、残念ながら転職先として選択される可能性が低いということに直結すると考えられます。
解決策:広報活動を積極的におこなう
自社が求める人材からの応募を促すため、採用に向けた広報活動も積極的に実施しましょう。
情報発信には、自社オウンドメディアやSNS、動画配信サービスなど様々な媒体の活用がおすすめです。
とくに若手や中堅層の利用率が高いSNSは効果的。
また、X(旧Twitter)の高い拡散力を利用することで、広く情報を発信できます。
発信する情報は企業理念や事業内容など基本的な内容に加え、企業の「リアル」を発信しましょう。
普段の社内の風景や社員の声などを伝えることで、求職者が抱くミスマッチを軽減し、早期退職のリスクを抑えられます。
マンパワー不足
中小企業であれば、人事担当が他業務を兼務しているケースが多く見受けられます。
大手企業が分業しているような人事関連の業務をすべて一人でこなした上で、他業務も兼任している場合には、採用業務に時間をさけなくても当然です。
他業務に圧迫され、ついつい応募者対応が後回しになってしまうということも多いのではないでしょうか。
しかし売り手市場がつづく昨今、応募者対応は可能な限り早くおこなわなければ、優秀な人材であればあるほど他企業にとられてしまう可能性が高くなります。
こうしたマンパワー不足も中小企業の中途採用を難しくする要因の一つと言えます。
解決策:業務の効率化を図る
マンパワー不足のもっとも効果的な解決策は増員です。
しかし、人材確保が困難な昨今において簡単なことではないのが現状です。
すぐにおこなえるマンパワー不足の解消手段として、業務の効率化が挙げられます。
現在の採用活動のフローを見直して、効率化できるプロセスがないか検討しましょう。
また、最近では採用活動を一元管理できる採用管理システム(ATS)を導入する企業が増えています。
応募受付から面接のスケジュール調整、メール送信など採用活動における情報を一つのシステム上で管理できるため、業務の効率化が期待できます。
解決策:採用代行(RPO)を利用する
リソースが確保できない場合、採用業務を外部に委託する採用代行(RPO)を利用するのも一つの方法です。
採用業務の一部、もしくは全てを委託できるため、効率的な採用活動がおこなえます。
採用代行サービス会社は、採用のプロがおこなっているため、自社で採用をするよりも高いパフォーマンスが期待できます。
マンパワー不足の解消については、以下の記事でより詳しくお伝えしています。
採用業務の効率化を図りたい方は、ぜひご一読ください。

「中小企業」という言葉のイメージがあまりよくない
よくある中小企業のイメージを挙げてみましょう。
- 安定していない
- 給料が低そう
- 福利厚生が充実していない
- 研修制度がない
- 休みが少ない
- 残業が多く、残業手当の支給もない
実際は決してそんなことはないにも関わらず、上記のようなイメージが求職者の中で蔓延しています。
中途採用の場合、新卒採用と比べて給与や就労環境といった雇用条件に重きをおいて転職活動するケースが多くあります。
厳しいことをいうようですが、前述のような悪いイメージから求職者がそもそも応募すらしないというのが現実なのです。
解決策:求職者が中小企業に対して抱くマイナスイメージを払拭する
中小企業に対するマイナスイメージは求職者が独自に持っているもののため、求人広告の打ち出し方をうまく工夫すればその思い込みを覆し入社に結びつけることが可能です。
イメージを変える求人広告を作成する上でもっとも意識しておきたいことは「具体性」です。
伝えたい自社の魅力に具体性があればあるほど求職者のイメージはよい方向に変わります。
この機会に、自社の求人広告の打ち出し方を振り返ってみてはいかがでしょうか。
他社との差別化ができていない
中途採用を成功に導くためには、求職者に自社の魅力を伝え、他社と差別化することが重要です。
自社の実績や社員へのヒアリングを基に競合他社と比較分析して、採用市場における自社の強みや魅力を把握しましょう。
求職者に向け、自社に入社するメリットを的確にアピールできると、企業への関心につながり応募者数の増加に貢献できます。
解決策:フレームワークを活用する
自社の魅力に気付き、競合他社と差別化できるポイントを把握するには「フレームワークの活用」が有効です。
フレームワークとは、問題解決や分析、意思決定などをおこなう際の思考の枠組みです。
フレームワークを採用活動に取り入れることで、自社の強み・弱みの客観的な掘り下げにつながり、求職者にアピールすべきポイントが明確になります。
その他、転職市場での立ち位置や競合他社との違いなど、漏れのない分析も可能です。
中途採用がうまくいかない時の対処法
中途採用がうまくいかない時はどのように対処するとよいのでしょうか?
対処法をご紹介します。
採用基準を明確に決める
必要とする人材を採用するためには、採用基準を明確にすることが大切です。
採用基準を決める際は、転職市場の調査や現場へのヒアリングを通して、求める人材の具体的なペルソナ設計を実施します。
経験者の場合は「〇〇の職務経験が1年以上」「〇〇資格所有者」など具体的な内容があるとわかりやすいです。
未経験の場合は「経験の有無を問わず、成長意欲を持って自社事業でチャレンジしたい人」などの具体的な設定をおこなうことで、ポテンシャルの高い人材獲得につながります。
採用方法や手順を見直す
採用手法によって獲得しやすい人材は異なるため、採用方法を見直すことも重要です。「採用基準」と「自社の採用課題」を照らし合わせ、最適な採用方法を検討しましょう。
多くの求職者の目に留まりやすくするため、1つの手法だけでなく複数の手法を組み合わせることもおすすめです。
また、確実に採用に結びつけるために、採用手順の見直しも不可欠。
特に、応募者へのファーストコンタクトや採用可否の意思決定はスピードが重要です。少しでも早くこちらの意志を伝えたいときには、連絡ツールの活用なども検討しましょう。
採用の成功事例を紹介
中途採用の成功事例を4つピックアップしてご紹介します。
求人広告を活用しドライバー採用に成功
課題
千葉県に本社がある、従業員50名以下の運送業社では、これまで、ハローワークだけで採用ができていました。
しかし、近年のドライバー需要の高まりに伴い応募人数が減少し、最終的には3カ月間の応募者数が0名となり、人手不足の状態に。
事業拡張のためには、ドライバー確保が急務でしたが、どのように対処すれば採用ができるのか悩んでいました。
解決策
他のドライバー応募求人との差別化を強化するため、ドライバー志望者に響く入社の魅力とは何かを徹底的に洗い出し、自社にしかない魅力を整理。
「ドライバーの夢をかなえる」という採用コンセプトのもと、わかりやすく求人広告に魅力を表現しました。
成果
求人広告を工夫し、求職者に自社の魅力がわかりやすく伝わったことで、「ドライバーのやりたいことが実現できる」「夢のような歓迎ぶり」と好評となり、40名の応募を獲得。11名のドライバー採用に成功しました。
ダイレクトリクルーティングから求人広告の掲載に切り替え、採用に成功
課題
東京都に本社がある、従業員300名以下の通信土木・通信工事事業社では、近年採用手法として注目されるダイレクトリクルーティングを活用するも、反応がなく応募者0名の状況が続いていました。
年度末までに施工管理職を確保しなければならない状況でしたが、採用の目途が立たず困っていました。
解決策
採用チャネルをダイレクトリクルーティングではなく、求人広告掲載に切り替えました。
中小企業の土木工事業務に携わっている方に向けて、自社に入社すれば抱えている悩みが解決できることを具体的にアピールしました。
成果
求人広告への掲載に切り替え、中小の土木工事企業に勤務している方の悩みにダイレクトに訴えたことで、自社への惹きつけに成功し、応募者数が1カ月で45名に達しました。
応募者の中には、有資格者から20代の未経験者まで幅広い人材の応募を獲得。最終的に、有資格者1名を含む3名の採用に成功しました。
訴求内容を変更し、20代からの応募を獲得し採用に直結
課題
東京都にある、従業員100名以下の投資型マンションの設計・販売を手掛ける企業では、若手営業職の募集に苦戦していました。
「20代で年収1000万の社員も在籍」など、採用したい20代が魅力に感じるような内容を求人広告に打ち出すも効果がなく、高待遇を謳っても採用に直結しない悩みを抱えていました。
解決策
「年収1000万」といった高待遇であっても、近年の若者には魅力的に感じられず、不信感を抱く可能性もあると考えて、求人広告の打ち出し方の修正を検討。
若者が抱きやすい悩みに触れ、入社することで悩みが払拭されることをアピールポイントとして訴求しました。
成果
求人広告の内容を、若者の悩みに共感し、入社によって解決できることをアピールする内容に変更したことで、合計28件の応募を獲得。自社の求める20代の応募は、28件中20件に達しました。
有名国立大学卒の優秀な人材などからも多数の応募があり、結果的に採用したかった20代2名の採用に成功しました。
まとめ
今回は、中小企業の中途採用が難しい理由や中途採用を成功させるポイント、成功事例を解説しました。
現在、慢性的な人手不足によって中途採用市場は厳しさを増しており、中小企業にとってはその影響が顕著となっています。
中途採用を成功に導くためには従来の方法の見直しが不可欠です。今回の内容を参考に、自社の魅力を最大限にアピールし、採用に結び付く施策を検討しましょう。

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