企業の採用活動は大きく「新卒採用」と「中途採用」の2つに分けられます。
新卒採用はポテンシャルが重視されるのに対し、中途採用は「採用ニーズに合った経験やスキルを所有しているか」を重視して採用をおこないます。
職務経験のある人材を採用する中途採用の場合、ビジネスマナーなど基礎的な人材育成の手間を省略でき、早期戦力化が期待できます。
また、他社での職務経験がある人材から自社にはない知識やノウハウを取り込めることもメリットです。
メリットも多い中途採用ですが、どのように採用活動をすすめると採用がうまくいくのか、進め方を悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、中途採用の理想の手順や、採用を成功させるために押さえておくべきポイントについてご紹介します。
目次
中途採用の理想の手順
中途採用の手順には、企業が新しく人を採用する際に行う「採用計画・選考・内定・入社」などがあります。中途採用の手順として、どのようなプロセスを踏めばよいのか、順を追って解説します。
- 採用計画の立案
- 母集団形成
- 採用選考
- 合否連絡・内定通知
- 入社手続き・入社後フォロー
手順(1)採用計画の立案
採用計画を立てる際は、採用目標の設定とスケジュールの策定から行います。
事業の拡大や社員の退職に伴う中途採用の場合、「どの部署に」「どのような人材が」「いつまでに」「何人必要か」を整理します。
中でも、求める人材を設定する際は、現場の社員にヒアリングして「具体的な人物像を洗い出し、ニーズを反映させる」ことが大切です。
中途採用は通年での実施が可能ですが、時期によって転職活動に波があります。
一般的な転職活動の動きとして、年度末で退職して新年度から転職する「3月~4月」や、ボーナスを受け取ってから転職する「6月と12月」、9月末の上半期を終えてから転職する「9月」が活発になります。
転職活動が活発な時期は求人倍率も高まるため、あえて時期を外し、前倒しで採用するスケジュールを策定する企業もあるようです。
手順(2)母集団形成
採用活動では、いかに自社が求める人材を多く集められるかが重要です。
母集団形成を成功させるためには、求職者が共感できる求人広告を作成し、募集を開始します。
募集要項には勤務地といった必須事項に加え、「企業のビジョン」「自社ならではの魅力」「入社後のキャリアパス」などを表記しますが、中途採用では他社の求人と差別化するために、「職務内容」「職場の雰囲気」「キャリアアップの内容」をより具体的に伝えます。
また、募集をかける媒体によって集客できる層は異なります。
求める人材がどのような媒体を利用しているのかを事前にリサーチし、どこに掲載するかを選択しましょう。
手順(3)採用選考
採用選考では、応募者に対して「書類選考」「技能審査」「面接」などによる選考を行います。
中途採用では、入社後に自身が抱くキャリアイメージとの違いや、企業文化になじめないことなどを理由に早期退職してしまうケースが懸念されます。
入社後のミスマッチを防ぐために、面接では「転職先に何を求めているか」「自分の能力を活かしてどのように成長したいか」などを確認するのがポイントです。
手順(4)合否連絡・内定通知
中途採用での合否連絡や内定通知は、できるだけ迅速に行います。
中途採用の応募者は、複数社の選考を同時進行で進めている場合が多いです。良い人材を逃さないためには、スピード感のあるフローが欠かせません。
内定の受諾は内定通知から一週間以内とすることが一般的です。また、良い人材ほど在職中の職場から引き留められることも考えられます。
内定後は採用者に雇用契約書を渡しますが、郵送ではなく来社してもらい、手渡しする方が効果的です。
内定辞退が起こらないように、定期的にコンタクトを取るなど細やかな対応が求められます。
手順(5)入社手続き・入社後フォロー
内定後は、労働条件通知書の作成など入社に必要な各種手続きを行います。
職務経験があっても新たな環境に適応するのには時間がかかると想定し、定期的な面談の実施や世話係を配置しましょう。
入社後の面談では、仕事内容や待遇について認識のずれや細かなギャップなどが発生していないか確認します。
中途採用を成功させるために押さえておきたいポイント
中途採用を成功させるために、人事・採用担当者はどのようなことを心がけるとよいのでしょうか。
これまでのべ3,000社の採用支援に携わる、カケハシ スカイソリューションズの中途採用事業部 事業部長に採用成功のポイントを伺いました。
中途採用事業部 事業部長
中途採用だからこそ重要となる手順は?
中途採用では、採用計画の時点でどのような人材を採用するのか、「ターゲット像を明確にする」ことが重要です。
新卒者は「同じ世代」「社会人経験がない」という共通点があり、その中で自社が求めるポテンシャルや価値観に合うかどうかで見極めることができます。
一方、中途採用の求職者は「職務経験が異なる」「世代もバラバラ」であることが多いため、ターゲット像が明確に決まっていなければどの人材を採用するべきか決められなくなってしまいます。
ターゲット像が不明確であるがゆえに、採用担当者が感情的に揺れ動いてしまい、その間に他社に決まってしまうことも少なくありません。
迷わず合否判断できる状態まで社内で徹底的にすり合わせておくことが大切ですね。
中途採用成功のために意識すべき
中途採用では対応のスピード感が求められます。
転職者は、よりスピーディーに内定をもらえる企業やアプローチしてくれる企業を選ぶ傾向があります。
「一週間後に面接する人を見てから決めよう」というように、候補者を相対評価していると対応が遅くなってしまうため、中途採用では絶対評価による選考が有効ですね。
絶対評価を行うためには、さきほども述べましたが、あらかじめ採用の基準値を決めておくことが重要です。
この3つに当てはまれば合格と判断できるような基準を設けることで、感情論で判断することがなくなります。
スピード感を持った判断が求められる中途採用では、面接官の主観を抜いた方が良い結果につながりますよ。
内定辞退を防止するために必要な内定者フォローとは?
内定を決定する前に、「現職で退職が受理されているのか」をしっかり確認する必要があります。
良い人材ほど引き留められる傾向があるためです。
また、本人の意向はもちろんのこと、配偶者の意向も確認できるとより良いですね。
労働条件や給与について家族が納得していない場合、内定を辞退されるケースもあります。
これらの情報を事前に得られるかが、内定辞退防止のポイントにもなりますね。
中途採用の担当者に必要な心構えとは?
やはりなんと言っても、採用ターゲットをしっかり選定するに尽きますね。
中途採用のフローを手配する人と、直接面接して候補者をジャッジする人は異なるケースの方が多いです。
採用活動ではいろいろな人を動かす必要があるため、関係者が共通認識を持っておくことが大切です。
人事・採用担当者は、採用した人材が配属される部署の人たちとの情報共有も欠かせません。
また、求人広告を出す媒体を選ぶ際は、掲載料が安いから使ってみるのではなく、自社の魅力を効果的に打ち出せる媒体かどうかを十分検討すると良いでしょう。
まとめ
中途採用では、異なる世代やさまざまな職務経験を持つ人材を相手に求人募集を行います。
中途採用の手順には、採用計画の立案や母集団形成、採用選考、合否連絡、内定者フォローなどがありますが、中でも重要なのは採用計画の立案時に採用ターゲットを明確にすることです。
母集団形成において基本となるのは求人広告です。効果の出る求人広告の作り方を知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
また、中途採用ではスピード感も求められます。
合否の判断に迷わないように、採用の基準値を明確に定めておきましょう。
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