執筆
カケハシ スカイソリューションズ
ヒューマンリレーション事業部
執行役員 土方求
MEN WANTED
世界最古とされている求人広告は、こんな書き出しから始まります。全訳されたものがこちら。
男子求む(探検隊員求む)。
至難の旅。
わずかな報酬。
極寒。
暗黒の月日。
絶えざる危険。
生還の保証はなし。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。
アーネスト・シャクルトン
1900年、ロンドン新聞の片隅に出されたこの南極探検隊員募集の広告は、話題を呼び、5000人もの応募者を集めました。
かなり過酷な、求人広告としてはあまりにストレートな内容ですが、人類初の栄冠に惹かれた人々の心に届いたのでしょう。私も嘘のない表現に、心を強く打たれました。
ひるがえって、現代の求人広告は、その多様化、複雑化によって、活用が難しいものになりました。
どうすれば、求人広告そもそもの目的である採用成功に近づくことができるのでしょうか。
広告の表現や媒体の選定が着目されることが多いのですが、私は、成功している企業は前提条件となる取り組み姿勢が違うように感じます。
採用へこだわりを持ち、自社の向上に対して情熱を傾けるという姿勢。そして、一見それとは相反する冷静な俯瞰視点を持っている。この2つです。
採用成功を考える上で、自社で活躍する人材ターゲット像にこだわり、採用に力をかける風土を醸成し、自社そのものの採用力を上げていくこと。
ターゲットに響くアピールポイントや事象を真剣に探し出し、それを高めていこうという気持ちは、何よりも必要なのです。
そもそも、採用に力を入れていない、一般論のみでターゲット設定を行う、他社と同様のアピールを繰り返している、そんな企業は意外と多いのです。
こういったこだわりと同時に、そのターゲットは一人よがりの人材像ではないのか。アピールポイントや風土には嘘がないのか。こういった冷静な俯瞰の視点も必要になります。
極端な思い込みや嘘は、その企業の採用に対して、長期的にはマイナスイメージとして返ってきます。
嘘でなくても、ギャップが大きい採用活動を繰り返した結果は、風評として必ず返ってきてしまうのです。
求人媒体の選定にも、俯瞰の視点が重要です。シャクルトンの時代とは比較にならないくらい、現代の広告媒体は数が多く、特徴や種類も多種多様になりました。
紙なのか、WEBなのか、都心部か、地方か。媒体の特徴は?強みは?ここ最近ではSNS広告や求人広告検索サイトなども、求人活動に影響を与え始めています。自社にとってどの方法論が適切なのかを選びきることは、とても難しくなっているのです。
シャクルトンのように、誰よりも採用成功にこだわりを持ち、情熱を傾けられる人が、社内外に存在しますか?
そして、同時に一人よがりにならない冷静な視点で、見てくれる、頼れる人が存在しますか?
求人広告の活用には、技術の前に、この2つの前提条件が必須になるのです。
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