こんにちは、地域活性事業部です。
前回ご紹介させていただいた「予備校事業」では、現役の大学生に奄美大島に来てもらっています。島の高校生に科目の指導をしてもらうのはもちろんですが、一番の目的は島には存在しないリアルの大学生との触れ合いを通して高校生たちの視野を広げてもらうためです。
今回はそんな助っ人大学生の一人、東京工業大学のYくんに、奄美大島での指導体験を振り返ってもらいました。大学生が感じた正直な島体験、ご覧ください。
はじめまして、こんにちは。3月に学生インターンとして奄美大島にある「予備校事業」で働かせてもらった、東京工業大学生命理工学部3年のYといいます。
今回このようなインターンに参加したのは、直接的ではありませんが、2016年度夏に「島キャン」に行ったことが1つのきっかけです。もともと島に興味があったわけではない私ですが、島キャン生として与論島で2週間就業体験をしてきたことで、島に猛烈に興味を持つようになりました。現在では「島活部」の一員として、島キャンOBOGで島のために何かできないか、島のことをどうやって東京で周知するか、試行錯誤しながら活動しております。
(島キャンOBOGで構成される島活部メンバーと)
さて、前置きはこれくらいにさせていただき、今回はインターンの就業報告としてブログを書かせていただきます。
以前、私は都内にある大手大学受験予備校で2年ほどスタッフとして働いておりました。その予備校はビデオ形式で授業を行っているため、自分がやることの多くは、高校生のやる気を保ち、うまく成績が伸びるように勉強のやり方や学習のペースを見てあげることでした。奄美大島にある予備校は、以前働いていた予備校の上記のような運営方式と酷似していたのでインターン中に戸惑うことはあまり多くはありませんでした。しかし、ふとした時に違うなと感じる点がいくつかありました。それを文章にしていきたいと思います。
①高校生の大学受験への焦りの少なさから見えたこと
都内の高校生の多くは、大学受験をする上で、時間が足りなくなることを知っています。また、大学受験で難関大学に行くことの難しさも知っています。それは、高校受験(あるいは中学受験)という壁に一度ぶつかるからです。この現実を知っているからこそ、難関大学を目指す高校生は早いうちから受験に向けて学習を開始しています。そして、その意識は春休みの勉強量としてわかりやすく出てきます。例えば、部活のない日は1日勉強しに塾へ来たり、部活終わりに必ず塾に来たりするなどを具体的な行動として起こし始めます。そのような高校生は勉強しなくてはという焦りがとても強いのです。
一方、島内に進学した高校生にとって、高校受験という壁は都内でのそれに比べて小さいということもあり、奄美大島の高校生は、そこまで受験に対する焦りがないのです。おそらくほかにもいくつかの要因が大きく関わっているでしょう。島内に大学がないこと、大学生と話す機会があまりないこと、ほかの高校と比較して学習の進度を確認する方法がないこと、などもその要因の一つでしょう。このように考えると、やはり立地的な要因が大きな要因としてあげられます。
つまり、島の高校生は、海に囲まれている場所に住んでいるという要因で、多くの情報を得られず、様々な部分で本人たちが自覚していないディスアドバンテージがあるということを知りました。
②大学に行く理由から見えたこと
島の高校生と面談を行った際に「何のために大学に行くの?」と聞くと高確率で、「資格を取るため」という答えが返ってきます。はじめは、「おお!そこまで考えて進学を決めたのか!」と思うのですが、深掘りしていくと、意見は変わります。なぜならば、その根本にあるのは大体「親がとったほうがいいっていうから」という理由だからです。 ここまで親の影響を強く受けている高校生は都内では少ないので、これも都内の高校生とは違うなと感じた点でした。
③夢の幅の少なさ
上記の続きで「将来どんなことがやりたいか?」と聞くと、たいてい答えは決まっています。医者、薬剤師、先生、看護師など、資格が必要で社会的ニーズの高い仕事ばかりでした。都内の予備校で働いていた時も、「将来どのようなことをやりたいか?」「何のために大学に行くのか?」といったような質問はよくしていました。しかし、都内の高校生は、社会的なニーズの高い仕事を話す子以外にも、自分が興味のあること、やりたいことを話してくれる生徒も同じくらいいました。同じ高校生でも、育った環境によってその時に返ってくる答えは全く違った質になるのだな、と私は思っていました。 そんな彼らに対し、私は少しでもやりたいと思うことがあることにすごいなと思う一方で、なぜこの生徒たちは自分の可能性をせばめてしまうのだろうと同時に思っていました。
(奄美滞在中に高校生に対して行った説明会の様子)
…これらのようなことを総合的に考えたときに、都内の高校生との違いを何となく感じ取ることができました。
都内の高校生との違いは、島の高校生が素直すぎる点です。いい意味でも悪い意味でも素直でした。そのためたくさんの人に自分の考えや人生を左右されてしまう。そしてその中でも、親という存在の信頼度はやはりとても高いように思えました。
また、さらに個人的に強く感じたことを上げるとするならば、知らないことが多すぎることです。正直な話、私が高校生の時も似たようなものだったかもしれないですが…。しかしある2点においては、島の高校生は圧倒的に知らないなと感じました。
まず一つが大学のことです。都内の高校生はほとんどの子が大学に進学します。そのため、皆が皆どの大学のどの学部に行くかなどを話し合うことで、多くの学部を知っていきます。また、電車で行ける範囲に大学がありオープンキャンパスなどにも気軽にいけるため、その大学がどんな雰囲気でどんな学部があるのかを簡単に知ることができます。
そして、もう一つが仕事(職種)の多さです。都内の高校生の親や兄弟は多種多様な仕事をしていますし、街を歩いていて多くの会社や広告を目にします。そのため、多くの仕事があることを無意識のうちに知っていきます。
これらのことから、都内の高校生は自分の可能性が広いことを知っています。資格を取らなくても働けることを知っています。だからこそ都内の高校生は、自分の興味のある何かを学びに大学へ行くことが多いです。
これが、島の高校生と都内の高校生の私が感じた違いでした。
実は私は今回「奄美大島の高校生は人生についてどのようなことを考えているのか?」「それは都内の高校生とちがうのか?」「そして違うのであれば、どのように違っているのか?」ということを自分の目で確かめ、言葉にすることを目標にしていました。これが何となくでも文字という形で表現できたのはとてもよかったです。
また、今回は島にいることによる問題点で何とかしたいなと私自身が感じたものも書かせていただきます。それは、あまりにも島の外の人と話す機会が少なすぎるということです。私は、高校生のうちに将来のことをたくさん考えることは将来の財産になると考えています。しかし今の島の高校生にとって、将来のことを考えるには材料が少なすぎると感じました。もちろん都内の高校生に対しても同じではありますが…。社会人でも大学生でもいいと思います。とにかく島の高校生には多くの人たちと話してほしいと、心から思います。
(勤務最終日に奄美予備校のスタッフと)
最後にはなりますが、今回インターンに行って、自分の中で気づいたことは、思ったよりも自分の中で教育という部分が強く根付いていると感じたことです。そして、今回都内とは全く違う環境で育ってきた高校生と接することで、より深く教育というものを考えることができました。また、地方というものが抱える問題について深く考える機会もいただけました。
これらのことをどう自分に還元するかはこれからの自分次第ですが、個人的には、「島活部」として、地方というものに向き合いつつ、「教育」という切り口で、そして、以前から興味のある「ゲーム」という切り口で、私自身が何をしていきたいのか、考え続けていきたいなと思います。
以上、いかがでしたでしょうか。
彼が帰った後も、生徒たちは彼が教えてくれた指導内容をきちんと守っています。
特に印象的だった出来事があります。山田くんは夏休みは毎日15時間勉強していたらしく、生徒たちを集めた講義でその話をしていました。そこに参加したある生徒が「私も15時間勉強する!」と家に帰ってからお母さんに宣言したんだとか。三者面談時にその話を聞いて、現役大学生が与える影響は本当に大きいことを実感しました。また、山田君に来てもらって本当に良かったなぁ、と嬉しくなりました。
・・・
このあたりのサイトもコツコツ更新しています。仕事中にのぞいてみると、一瞬都会の生活から逃避できるかもしれません。
◎島の魅力を島外に伝える「島キャン宣伝部」(Twitter , Facebook)
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◎大学生と日本の離島を結ぶ「島キャン」(Twitter , Facebook)
―――追伸
島の案内なんかもできますので、「奄美大島に行ってみたい!」という方はぜひご連絡ください♪
スタッフの脇田は「島案内人」の資格も取得しました!
前回ご紹介させていただいた「予備校事業」では、現役の大学生に奄美大島に来てもらっています。島の高校生に科目の指導をしてもらうのはもちろんですが、一番の目的は島には存在しないリアルの大学生との触れ合いを通して高校生たちの視野を広げてもらうためです。
今回はそんな助っ人大学生の一人、東京工業大学のYくんに、奄美大島での指導体験を振り返ってもらいました。大学生が感じた正直な島体験、ご覧ください。
はじめまして、こんにちは。3月に学生インターンとして奄美大島にある「予備校事業」で働かせてもらった、東京工業大学生命理工学部3年のYといいます。
今回このようなインターンに参加したのは、直接的ではありませんが、2016年度夏に「島キャン」に行ったことが1つのきっかけです。もともと島に興味があったわけではない私ですが、島キャン生として与論島で2週間就業体験をしてきたことで、島に猛烈に興味を持つようになりました。現在では「島活部」の一員として、島キャンOBOGで島のために何かできないか、島のことをどうやって東京で周知するか、試行錯誤しながら活動しております。
(島キャンOBOGで構成される島活部メンバーと)
さて、前置きはこれくらいにさせていただき、今回はインターンの就業報告としてブログを書かせていただきます。
以前、私は都内にある大手大学受験予備校で2年ほどスタッフとして働いておりました。その予備校はビデオ形式で授業を行っているため、自分がやることの多くは、高校生のやる気を保ち、うまく成績が伸びるように勉強のやり方や学習のペースを見てあげることでした。奄美大島にある予備校は、以前働いていた予備校の上記のような運営方式と酷似していたのでインターン中に戸惑うことはあまり多くはありませんでした。しかし、ふとした時に違うなと感じる点がいくつかありました。それを文章にしていきたいと思います。
①高校生の大学受験への焦りの少なさから見えたこと
都内の高校生の多くは、大学受験をする上で、時間が足りなくなることを知っています。また、大学受験で難関大学に行くことの難しさも知っています。それは、高校受験(あるいは中学受験)という壁に一度ぶつかるからです。この現実を知っているからこそ、難関大学を目指す高校生は早いうちから受験に向けて学習を開始しています。そして、その意識は春休みの勉強量としてわかりやすく出てきます。例えば、部活のない日は1日勉強しに塾へ来たり、部活終わりに必ず塾に来たりするなどを具体的な行動として起こし始めます。そのような高校生は勉強しなくてはという焦りがとても強いのです。
一方、島内に進学した高校生にとって、高校受験という壁は都内でのそれに比べて小さいということもあり、奄美大島の高校生は、そこまで受験に対する焦りがないのです。おそらくほかにもいくつかの要因が大きく関わっているでしょう。島内に大学がないこと、大学生と話す機会があまりないこと、ほかの高校と比較して学習の進度を確認する方法がないこと、などもその要因の一つでしょう。このように考えると、やはり立地的な要因が大きな要因としてあげられます。
つまり、島の高校生は、海に囲まれている場所に住んでいるという要因で、多くの情報を得られず、様々な部分で本人たちが自覚していないディスアドバンテージがあるということを知りました。
②大学に行く理由から見えたこと
島の高校生と面談を行った際に「何のために大学に行くの?」と聞くと高確率で、「資格を取るため」という答えが返ってきます。はじめは、「おお!そこまで考えて進学を決めたのか!」と思うのですが、深掘りしていくと、意見は変わります。なぜならば、その根本にあるのは大体「親がとったほうがいいっていうから」という理由だからです。 ここまで親の影響を強く受けている高校生は都内では少ないので、これも都内の高校生とは違うなと感じた点でした。
③夢の幅の少なさ
上記の続きで「将来どんなことがやりたいか?」と聞くと、たいてい答えは決まっています。医者、薬剤師、先生、看護師など、資格が必要で社会的ニーズの高い仕事ばかりでした。都内の予備校で働いていた時も、「将来どのようなことをやりたいか?」「何のために大学に行くのか?」といったような質問はよくしていました。しかし、都内の高校生は、社会的なニーズの高い仕事を話す子以外にも、自分が興味のあること、やりたいことを話してくれる生徒も同じくらいいました。同じ高校生でも、育った環境によってその時に返ってくる答えは全く違った質になるのだな、と私は思っていました。 そんな彼らに対し、私は少しでもやりたいと思うことがあることにすごいなと思う一方で、なぜこの生徒たちは自分の可能性をせばめてしまうのだろうと同時に思っていました。
(奄美滞在中に高校生に対して行った説明会の様子)
…これらのようなことを総合的に考えたときに、都内の高校生との違いを何となく感じ取ることができました。
都内の高校生との違いは、島の高校生が素直すぎる点です。いい意味でも悪い意味でも素直でした。そのためたくさんの人に自分の考えや人生を左右されてしまう。そしてその中でも、親という存在の信頼度はやはりとても高いように思えました。
また、さらに個人的に強く感じたことを上げるとするならば、知らないことが多すぎることです。正直な話、私が高校生の時も似たようなものだったかもしれないですが…。しかしある2点においては、島の高校生は圧倒的に知らないなと感じました。
まず一つが大学のことです。都内の高校生はほとんどの子が大学に進学します。そのため、皆が皆どの大学のどの学部に行くかなどを話し合うことで、多くの学部を知っていきます。また、電車で行ける範囲に大学がありオープンキャンパスなどにも気軽にいけるため、その大学がどんな雰囲気でどんな学部があるのかを簡単に知ることができます。
そして、もう一つが仕事(職種)の多さです。都内の高校生の親や兄弟は多種多様な仕事をしていますし、街を歩いていて多くの会社や広告を目にします。そのため、多くの仕事があることを無意識のうちに知っていきます。
これらのことから、都内の高校生は自分の可能性が広いことを知っています。資格を取らなくても働けることを知っています。だからこそ都内の高校生は、自分の興味のある何かを学びに大学へ行くことが多いです。
これが、島の高校生と都内の高校生の私が感じた違いでした。
実は私は今回「奄美大島の高校生は人生についてどのようなことを考えているのか?」「それは都内の高校生とちがうのか?」「そして違うのであれば、どのように違っているのか?」ということを自分の目で確かめ、言葉にすることを目標にしていました。これが何となくでも文字という形で表現できたのはとてもよかったです。
また、今回は島にいることによる問題点で何とかしたいなと私自身が感じたものも書かせていただきます。それは、あまりにも島の外の人と話す機会が少なすぎるということです。私は、高校生のうちに将来のことをたくさん考えることは将来の財産になると考えています。しかし今の島の高校生にとって、将来のことを考えるには材料が少なすぎると感じました。もちろん都内の高校生に対しても同じではありますが…。社会人でも大学生でもいいと思います。とにかく島の高校生には多くの人たちと話してほしいと、心から思います。
(勤務最終日に奄美予備校のスタッフと)
最後にはなりますが、今回インターンに行って、自分の中で気づいたことは、思ったよりも自分の中で教育という部分が強く根付いていると感じたことです。そして、今回都内とは全く違う環境で育ってきた高校生と接することで、より深く教育というものを考えることができました。また、地方というものが抱える問題について深く考える機会もいただけました。
これらのことをどう自分に還元するかはこれからの自分次第ですが、個人的には、「島活部」として、地方というものに向き合いつつ、「教育」という切り口で、そして、以前から興味のある「ゲーム」という切り口で、私自身が何をしていきたいのか、考え続けていきたいなと思います。
以上、いかがでしたでしょうか。
彼が帰った後も、生徒たちは彼が教えてくれた指導内容をきちんと守っています。
特に印象的だった出来事があります。山田くんは夏休みは毎日15時間勉強していたらしく、生徒たちを集めた講義でその話をしていました。そこに参加したある生徒が「私も15時間勉強する!」と家に帰ってからお母さんに宣言したんだとか。三者面談時にその話を聞いて、現役大学生が与える影響は本当に大きいことを実感しました。また、山田君に来てもらって本当に良かったなぁ、と嬉しくなりました。
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このあたりのサイトもコツコツ更新しています。仕事中にのぞいてみると、一瞬都会の生活から逃避できるかもしれません。
◎島の魅力を島外に伝える「島キャン宣伝部」(Twitter , Facebook)
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