執筆
カケハシ スカイソリューションズ
ヒューマンリレーション事業部
大阪支店長 謝新也
毎年発表される「理想の上司ランキング」をご存じでしょうか。4月に入社を控える新入社員向けに明治安田生命が調査して毎年発表しているものです。
2017年度の女性の1位は水トアナでしたが、それまで女性部門の1位は7年連続で女優の天海祐希さんでした。
天海さんがずっと1位だった理由は“リーダーシップがありそうだから”です。
自分の信念を曲げず、姉御肌で言いたいことは役職関係なくズバズバいう役柄を多く演じられています。
そういうリーダーシップを持った上司にあこがれる新入社員が多いということでしょうか。ただドラマはあくまで設定の世界であって実社会はドラマの世界とは全然違います。
では実際の現場で求められているリーダーシップとはどのようなものでしょうか。
よくリーダーシップの話になると例えられるのがイソップ童話の北風と太陽の話です。
ご存知ない方のために簡単にストーリーを紹介しますと、ある日北風と太陽が力比べをしようと、旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をしました。まず、北風が力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとします。しかし寒さを嫌った旅人が上着をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができませんでした。次に、太陽がさんさんと照りつけました。すると旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から上着を脱いでしまい、勝負は太陽の勝ちになりました。
冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉をかけたり、態度を示すことによって初めて人は自分から行動してくれるという教訓を与えてくれます。
(ウィキペディアより抜粋)
リーダーシップ関連の本を読んでいると、上記の例を用いて太陽のようなリーダーシップを持ちましょうというオチになっていることが多いです。
私としては半分正解で半分不正解だと思っています。
私が考える理想のリーダーシップは北風でもあり太陽でもあることです。時には北風となって無理やりにでも動かさないと人は変わりません。
太陽のようにじっと照らしていれば変わるほど人間は強くないからです。でも変わりたいと思っていますし、変わる可能性を全員が秘めています。
きっかけは北風の気持ちで与え、あとは太陽の気持ちでじっと見守る。今の時代にはそんなリーダーシップが求められているのではないでしょうか。
こういったリーダーシップ力を育てるには責任をもたせ痛みを伴う決断をする経験をさせることです。
どんな本を読んで、理屈を学んでも現場での決断経験なしにはリーダーシップは身につきません。
なぜならリーダーシップを奮う場面には人の感情が介在し、理屈だけで人は動かないからです。
だからこそ人と人の感情のぶつかり合いを経験していくことで身についていくのです。
時には自分のくだす決断によって部下から嫌われるかもしれません。しかし、それを恐れず大局観を持って経営者視点で決断をくだす経験をする。
そうした経験をした人材は北風にも太陽にもなることができます。痛みを伴う決断の経験を通してこそ、真のリーダーシップは得られるのです。
読者のみなさまの会社には北風でもあり太陽でもある上司は何人いますでしょうか。
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