2017/10/25 vol.152
BUSINESS COLUMN
“ 就職ナビは、メトカーフの法則。”
大学生の就職活動といえば、まずはリクナビ・マイナビに会員登録をするところから。企業の新卒採用も、まずはリクナビ・マイナビに掲載するところから。
この10数年、日本の新卒採用活動は就職ナビの使用がスタンダードになり、学生側の情報取得、企業側の情報公開が容易な時代になりました。
事実、民間就職を希望するほぼすべての大学生がいずれかの就職ナビサイトに会員登録し、掲載社数はここ3年で約4倍となる約20,000社以上になっています。
一方、軽い動機で応募する学生とのミスマッチなどに疑問を感じる企業では、ナビを使わない採用方法を模索する動きもあります。
人手不足による売り手市場が続く今、はたして就職ナビで企業が求める採用活動が実現できるのでしょうか?
仕事柄、「どのナビが効果的なの?」「やっぱりナビに掲載しないといけないの?」という質問を受けることが多くありますが、重要なのは、どのナビに掲載するかではなく、ナビにどんな役割を持たせるか、です。
そして、ナビの役割は、大きく2つに分かれます。
ひとつは、「安心感」を与えること。
学生にとっては、有名なナビに掲載されている=採用活動に力を入れている会社とうつるため、知名度の低い会社にとっては、学生に安心感を与える役割が期待できます。
もうひとつは、当たり前ですが「集客」です。
ただ、ナビサイトは、投資と効果が正比例して増えていくのではなく、二乗で増えるということです。メトカーフの法則と似ているかもしれません。
メトカーフの法則とは、ネットワークの価値はそのネットワークに接続されているすべての端末の2乗に比例して増加するというものです。
例えば、電話が5台の場合、ネットワークの組み合わせは10通りですが、電話が10台になった場合、45通りの組み合わせになります。このとき、電話の台数は2倍、組み合わせは4.5倍です。電話が100台になった場合は4,950通りの組み合わせが可能となり、電話の台数は最初の5台から100台の20倍に、ネットワークの価値は10通りから4,950通りの495倍になっています。
つまり、就職ナビで集客するならば、もっとも効果が期待できないのは、中途半端に投資するということです。
ナビに持たせる役割を明確にし、役割を中途半端にしないということが重要です。
10年前と比べて求人情報の公開が容易になった今の時代、ナビサイトを活用するならば、そこに効果を求めてしっかり投資するか、情報公開だけと割り切るかを決めて、採用活動を進めてみてはいかがでしょうか。
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KAKEHASHI Q&A
“ 「新卒紹介」ってどんな学生が使っているの?”
Q6. 東京都 / 建築メーカー / 従業員数54名 / 営業職採用
一言でまとめると「ナビ以外の就職活動のやり方を求めている学生さん」、でしょうか。例えば、大手企業よりも中小企業のほうが自分にマッチしていると考えているが、ナビ上にずらりと並ぶ社名からは選ぶのが大変だ…という方。興味関心の幅が広く、業界や勤務地で検索をかけるのが難しい…という方。こういった学生さんは、ナビよりも自分に合った効率的な手段として新卒紹介をご利用いただくことが多いです。また、留学からの帰国後、もしくは公務員試験の受験後に就活をスタートすることになり、短期決戦へ臨むために訪ねてくる学生さんもこれからの時期は増えてきますね。
キャリアカウンセラーとして実際に学生さんと面談していると、第三者の視点も交えながら就職活動を進めていきたいという思いを持っている、非常に素直な方が多いなと感じます。企業の魅力と相性のよさをじっくりと伝えていけば、当初学生さんが考えてもいなかった業種や職種であっても、一生涯の出会いが生まれることがありますよ。
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