2017/10/11 vol.151
BUSINESS COLUMN
“ 企業経営の究極の目標は、文化と風土の確立である。”
先日、ある顧客企業の経営者への2019年採用に向けた取材の中で、新卒採用を実施する理由をお伺いする機会がありました。
その方の答えはとても明瞭で、「企業風土と企業文化を強化する為」でした。
なぜ、新卒採用が企業風土・文化の強化に繋がるのか。
そもそも企業風土と企業文化にはどのような違いがあるのか。
これらの言葉を同じ意味と捉えている方もいるかもしれませんが、実は明確な違いが存在します。
風土と文化。辞書でそれぞれを調べてみると、風土は「人間の文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境」、文化は「社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式」とあります。
これらを企業にあてはめると、企業風土は、企業文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境。要するに、社員同士の仲の良さや、風通しの良さ、諦めない姿勢といった主に人間関係から醸成されるもの。
一方の企業文化は、企業を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式。要するにビジョンやミッション、それらに紐づいた行動規範、評価制度など組織としての枠組み、仕事の進め方。
主に内的要因によって形成されるものが企業風土で、外的要因をふまえて変化するものが企業文化だと言えます。
また、企業文化は営業プロセスや、顧客層、判断軸なども含まれる為、より業績に影響を及ぼすと言われています。
優秀な人材の採用に成功していて、社員同士の仲も良く、皆が士気高く仕事をしているが、会社全体で見ると業績が伸び悩んでいる企業は、特に企業文化の変革が必要だと言えます。
もちろん、良質な企業風土・文化は一朝一夕で出来るものではありませんし、自然に醸成されるものでもありません。意図的に醸成する覚悟、施策が必要なのです。
その施策として有効活用できると私が考えているのが、新卒採用活動です。
企業文化の根幹にあるのは、ビジョンやミッションといった経営方針です。新卒採用はその活動を通じて、これらの方針を改めて整理し、既存社員含め、新卒者への伝達が出来ます。
経営者に限らず、既存社員も学生からの質問により、自社のビジョンや方針について語る機会が多々あり、幾度となく方針を語ることで、頭の中で整理され、自身が納得し、浸透する効果があります。
結果、自社へのロイヤリティーと視点が向上し、会社の事を自分事として捉えるようになり、建設的な提言やアイディアが生まれる。この流れにより、新たな企業文化が醸成されていきます。
また、自社の風土に合った人材を採用することで、会社としての風土をより強固なものにすることに繋がります。風土を変革したい場合は、意図的に異なるタイプの人材を一定数採用すれば、風土改革も不可能ではありません。
ピータードラッカーは、「企業文化は戦略を朝飯に食らう(企業文化は戦略に勝る)」という言葉を残しています。
ジャック・ウェルチは、企業経営の究極の目標は企業文化・風土の確立であると言います。
2019年度採用は人を採る為だけではなく、上質な企業文化・風土の醸成を見据えた活動として、取り組まれてみてはいかがでしょうか。
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KAKEHASHI Q&A
“ 内定式後のこれからの時期に効果的な、
内定辞退防止策を教えてください。”
Q5. 神奈川県 / 専門商社 / 従業員数228名 / 総合職採用
内定者一人ひとりへ「入社後あなたにはこんなことを期待しています」というメッセージを贈ってみてはいかがでしょうか。弊社がご提供している内定者研修プログラム中の「内定先企業からの手紙」というコンテンツでは、採用担当者やリクルーターから内定者それぞれへ歓迎や期待の言葉を手紙にして届けていただくのですが、これを読むと内定者それぞれの表情がぱぁっと明るくなるんですよね。おそらく今の内定者の世代は自分がやりたいことをやるというよりも、誰かの期待に応えたい、他者に貢献したい…というマインドが強いように感じます。だからこそ、期待を伝えることは彼らをモチベートするのに非常に有効な手段だと考えます。
また、懇親会などの飲み会中にメッセージを贈ろうとすると、どうしてもその場の空気に流されがちです。できれば研修や交流会の中で「このタイミングで必ず期待のメッセージを届けよう」と意図してセッティングした機会に実施することをおすすめします。
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