2017/08/23 vol.148
BUSINESS COLUMN
“ ウォルト・ディズニー・カンパニーから学ぶインターンシップ ”
ここ数年、新卒採用市場がバブル期を超える「学生側売り手市場」へと傾いたこと、また就活のスタートが後ろ倒しになったことによって、新卒求人媒体各社による「インターンシップ市場でのマッチング」の商品化が加速し、「インターンシップ」ビジネスが本格的に立ち上がりました。
学業に支障をきたすような早期の就活を是正するために行われた就活の後ろ倒しが、皮肉にも就職活動の早期化を招いているのが現状です。しかし、インターンシップを通じて職を探すこと自体は、欧米では当たり前の採用活動であり、そういう意味では日本の新卒採用もグローバル化してきたとも言えます。
しかし、ここ2、3年の日本のインターンシップは、長期就業体験を通したマッチングというよりも、採用広報の一環になっています。事実、各企業が提供しているインターンシッププログラムの80%以上は参加が容易な1dayインターンシップと呼ばれる、1日完結型のプログラムであり、4週間以上の長期インターンシップに参加した学生は、わずか1.1%というアンケートも出ています。(マイナビ調べ)
もちろん、空前の売り手市場にあって、そもそもマッチング対象がいないという問題もありますが、インターンシップが接触方法として一般的になりつつある今だからこそ、インターンシップという採用手法に真正面から取り組むときではないでしょうか。
そこで、参考になる事例として紹介したいのは、ウォルト・ディズニー・カンパニーの取り組みです。
「仕事の意味や背景をとことん語る」
“インターン生の人生を変える”という目的でプログラムを構成し、雑務に見える仕事にも、その仕事の背景や意味を細かく語りかけることに注力しているようです。世界観やストーリーを大事にするディズニーらしいポイントです。
「単位認定を目指し、大学と協業する」
インターンシップ期間は3ヵ月以上の長期にわたるため、その参加が大学の認定単位になっています。ちなみにアメリカのインターンシップは6~12週間が最も多く、実施している企業は90%以上、そのうち約半数は大学側と連携し、単位認定型で実施しているそうです。
「インターン生が戻ってくる仕組み」
インターン生のために、「ディズニー同窓会」というものがあります。この同窓会のFacebookには現在1万人以上が登録され、採用に至らなかったインターン生が数年後に戻ってくることを期待して人材をプールしているそうです。
ディズニーが受け入れるインターン生は、なんと年間約2万人にも上り、30年以上も継続して行われています。メイン事業であるパークやリゾートのサービス系職種が中心となるため、「ディズニーだからできる」というだけではなさそうです。
個人的にとくに重要だと感じたのは、社員登用に至らなかった求職者をプールしておくということです。インターンシップでは採用につながらなかったとしても、適性や会社理解の点において、他の求職者よりもマッチングしているはずです。
大学との単位認定など、すぐに実現できない取り組みもありますが、新卒採用においてインターンシップが当たり前になる可能性は高いはずです。
一括採用、集団教育、年功序列といった日本的な採用や教育の枠組みが崩れつつある今、本来のインターンシップを活用し、長期的な採用強化をめざしていくことが必要な時代に突入しつつあるのではないでしょうか。
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KAKEHASHI Q&A
“ 内定者とは4月入社までに
どのぐらいの頻度で接触すればいい?”
Q2. 東京都 / 不動産 / 従業員数63名 / 営業職採用
10月には内定式を実施されるかと思いますが、9月や11月にはビジネスマナーを学んだり企業理解を深めたりするような研修をおこない、その後に懇親会を開いていただくことをお勧めしています。年末年始以降は学生によって忙しさが異なるため、読書感想文など自分のペースで進められる課題を渡し、メールやグループチャットで適宜コミュニケーションをとられている企業様が多いですね。
また、内定をもらってすぐの頃は「自分は本当に内定をもらえているのだろうか?」と不安を抱えている学生がたくさんいます。内定承諾を得たらすぐに、もし既に数週間以上時間が空いてしまっていればすぐにでも、一度直接会って、内定承諾書の取り交わしや内定者期間のスケジュール伝達をおこなうと有効でしょう。
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