ビジネスコラム
インターンシップのあり方

ヒューマンリレーション事業部 執行役員 岩田 徹


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ゴールデンウィークが終了し、2018年卒の新卒採用活動も最終選考や内定通知の段階に差し掛かってまいりました。既に内定通知をされた企業は、入社承諾を獲得するのに面談を組み、最終の詰めをおこなっていることと思います。

2018年卒の採用活動ではインターンシップ開催の重要性が大きく増しました。事実、就活生の65.2%がインターンシップに参加しています。企業にとってはエントリー者獲得、採用候補者の獲得に有用な手段であり、インターンシップが採用広報の一環となっていることを物語っています。

優秀な人材の獲得を支援する立場から、採用広報の一環としてのインターンシップの開催は必要不可欠であると言い切れます。採用活動を成功させるためには、インターンシップ期間にいかにエントリー者を獲得し、応募者と接点を持ち、自社への興味を喚起できるかが、採用成功のキーポイントであることは明らかです。

ただ本当にこの形でいいのであろうか、という疑問がふつふつと湧いているのも正直な気持ちです。

インターンシップとは、Wikipediaによると以下のように表記されています。
「特定の職の経験を積むために、企業や組織において労働に従事している期間のこと。商人や職人のための徒弟制度と似ているが、標準化や監査などはされていないため、指すところの内容は様々である。略称として、インターンとも呼ばれる。」

しかし、現在各企業が実施しているインターンシップの62.6%が半日から1日の1day型と呼ばれるインターンシップです。実際の就業体験を伴わないグループワークや企業説明であり、会社説明会化しているのが現状です。中には人事部がインターンシップと称し、就職活動の支援や相談会を開催している企業もあります。これが果たしてインターンシップと呼べるのでしょうか。

インターンシップとは就業体験であり、その体験、経験を通して学生が成長し、社会へと巣立つ一助になる必要があると私は思います。

企業側の受け入れ負担が大きく、その大きさと比較して成果が薄いという見方もあります。が、一定期間優秀な人材がインターンシップに来てくれるような会社になれば、インターンシップ期間内に企業は成果を享受できます。

私の友人の会社には、
・インドで半年間新規事業の立ち上げをしてきた4年生
・シンガポールで1か月半ロボット関連のインターンをした3年生
・希望の大学に進学できたら在学中に起業しようとしていた1年生
が、長期のインターンシップを目的に面談に訪れてくるそうです。

この友人はインターンシップの目的を2つに絞っています。
1つ目は「採用」です。優秀なインターン生から採用できれば最高ですが、正直なところ未知数であると割り切っています。5人来たうちの1人が入社を希望してくれるような会社になろうと努力しています。採用できなくとも、インターン生をファンにできるような体験、経験を提供できるようにしている。それがインターン生の周囲へと少しずつ広まり、優秀な人材がインターンシップに訪れる理由となっているそうです。

2つ目の目的は「既存社員への教育効果」です。優秀なインターン生からの視線や仕事に対する質問などは既存社員にとって非常によい刺激となり、緊張感を持って仕事に挑むようになったそうです。インターン生という後輩に対して、背伸びしてでも頑張ろうと努力し、既存社員の意識やスキルの向上に役立っているそうです。

私は現状の採用広報の一環としてのインターンシップではなく、仕事に従事し、成長を促すインターンシップが広がるように、産官学で一体となり、もっと議論を進めていくべきだと考えています。

社会全体で未経験者の就業経験を積ませることで成長を促すとともに、実際の経済活動やビジネスを知るからこそ、本来最も注力すべき学業についても、より深く探求できるようになるのではないでしょうか。
そういった流れがこの国の未来の成長につながると信じています。


2017.05.10 KSN 141

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