ビジネスコラム
小さい人間ほど、自分を大きく見せたがる。
ヒューマンリレーション事業部 グループマネジャー 李 泰一
「自分を大きく見せようとするな。器の小さい人間ほど自分を大きく見せたがる。いかに自分を大きく見せるかではなく、等身大の自分をいかに大きくするかを考えろ。」
この言葉は、私がカケハシの前身であるワイキューブという会社に新入社員として入社したばかりの頃に、配属された部門のボスである50代の方に教わった言葉の一つです。もう13年も前の話ですが、今でも当時の教えを鮮明に覚えています。間違いなく、新入社員の当時に教わった物事の考え方、仕事への向き合い方が、私のビジネスパーソンとしての人格・骨格を形成してくれました。
新入社員の初期教育は、「社会人としてのマナー」、「知識・スキル」、「スタンス」の3つに分解することができると思います。しかし、これらは決して並列の関係ではないと私は考えます。
結論から言うと、「スタンス」が最も大切で、「社会人としてのマナー」「知識・スキル」を育む土台にもなります。
「スタンス」とは、物事の考え方・仕事への向き合い方のことで、社会人としての骨格のようなものだと私は考えています。
生まれたての赤ちゃんの頭がまだ軟らかいように、入社して間もない新入社員は、まだ社会人としての骨格が固まっていない状態です。
骨格が固まっていないのに、「社会人としてのマナー」や「知識・スキル」を詰め込んでも、何のためにそれを学ぶのか、どのように活かすのかがわからないので、高い学習効果が望めません。
大切なのは、教育をする側と新入社員本人の双方が、「まず、良い骨格づくりをおこなうことが大切だ」と認識することです。
ビジネスパーソンとして、どこを目指すのか、何を大切にするのか。仕事とどう向き合うのか。
多くの新入社員は、明確なイメージがない状態で社会人人生をスタートさせます。だからこそ、初期教育において、「スタンス」を形づくるサポートをする必要があるのです。
「スタンス」とは、テクニックではなく、年齢とともに自然と成熟するものでもありません。ですから、標準化して誰でも教えられるようになるものではありません。少し大げさな言い方かもしれませんが、人対人の真剣勝負です。
一人の人間として、新入社員と向き合わなければ、どれだけ上手い言葉を並べても心には届きません。それに、一度伝えたから終わるものでもありません。相当なエネルギーを要します。愛情がなければできません。
しかし、それだけの効果と価値があると私は思います。
新入社員の時代に形成された「スタンス」によって、その人の目指すラインが決まると言っても過言ではありません。人はラクな方へと流れていく生き物です。私自身もそうです。スタンス教育をせずに放っておくと、日常で起きる様々な出来事をどんどん自分に都合の良いように解釈してしまいます。ともすると、間違った方向へと成長しかねません。
企業として、人を採用するということは、スタンス教育に責任を持つことだと私は考えます。
さて、もうすぐ4月です。新入社員が入社してきます。
貴社の「新入社員に向き合うスタンス」は定まっていますか?
2017.03.22 KSN 138
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