ビジネスコラム
コミュニケーション能力は見ない、という選択。

ヒューマンリレーション事業部 名古屋営業所 所長 齋藤友由樹


トップ画像

新卒採用広報が解禁となり、昨年以上の売り手市場と言われる中で、如何に採用を成功に導くのか。母集団形成はもちろん、面接について頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

企業が選考にあたって特に重視した点は、13年連続でコミュニケーション能力が1位(87%)に。これは、コミュニケーション能力の高い学生は、どの企業も優秀な人材だと判断することを表し、結果、競争の激化を意味しています。(出典:2016年日本経済団体連合会)

少し話は変わりますが、ブライダル総研によると、結婚までの交際期間が1年以上と答えた人の割合は80.1%。長い時間を過ごし、相手の良い面、悪い面など、人間性を深く知ることが、離婚のない結婚生活(2016年離婚率は0.17%)を送るポイントだと言えそうです。

一方で、採用は恋愛(結婚)である。と言われますが、学生との接触時間は長く見積もっても1回60分×5回の面接=5時間で相手を判断し、内定を通知する企業がほとんど。

常に一人の社員が接するのではなく、選考ごとに別の社員が対応する結果、短い時間で相手を判断し、間違ったレッテルや誤解からミスマッチが生じて、離職率31.9%(2016年新卒者3年以内)に繋がっているのではないでしょうか。

もちろん、「離職」と「離婚」を単純に比較することは出来ませんが、早期離職の大きな要因がミスマッチだとすると、内定(結婚)までに長い時間を費やし、相互理解を深めているか否かが0.17%と31.9%という数値のギャップの大きな要因だと言えそうです。

長期インターンを経て相互理解を深めることが早期離職を減らすという意見もあります。しかし全ての企業が長期インターンを実施できるわけではありませんし、ましてや、競合の動きが活発な採用活動で、1年の選考期間を設けることはほとんど不可能です。

そこで、私が大切だと考えているのは、面接では何を見るか、どう見るかではなく、何を見ないのかをしっかりと定めること。

アメリカの心理学者ブラッドフォード・D・スマート氏のコンピテンシー改善の難易度(一部抜粋)によると、
■比較的改善しやすいもの
 ・知識や技術
 ・自己に対する認識
 ・コミュニケーション
 ・第一印象
 ・顧客志向

■苦労するが、改善可能であるもの
 ・ストレスマネジメント
 ・適応力
 ・傾聴
 ・チームプレー
 ・変革のリーダーシップ

■改善が非常に難しいもの
 ・知能
 ・創造性
 ・エネルギー
 ・情熱
 ・野心

となっており、注目したいのが、冒頭の通り多くの企業が選考で重視しているコミュニケーション能力は、実は改善が容易であるということです。

もちろん、コミュニケーション能力を育てる環境が社内になければ、採用時に見極めるか、育成環境を整える必要はありますが、育成環境があれば、面接時に見極める必要はありません。

・募集職種における必要な資質を洗い出す。
・その上で、自社で育成可能なものを除外する。
・残った資質を面接で見極める手法を考える。

の3ステップを踏むことで、競争が激しいレッドオーシャンの学生ではなく、コミュニケーション能力の影に隠れて、これまで見過ごしていた能力を持つ、活躍する可能性の高い人材(ブルーオーシャン学生)にアプローチをすることも可能になります。

採用難のこの時代、面接では、何を見極めるのかを決めることと同様に、何を見極めないかを決めることが大切なのです。


2017.03.08 KSN 137

コラムへのご感想・ご意見などはこちらからお聞かせください。



はじめての中途採用担当者様必見!

各媒体・イベント・紹介の違いと活用法がわかる
中途採用の基本セミナー

組織相談会

この春はじめて中途採用に携わることになったみなさま。各人材会社から個別に情報収集をおこなうのはすごく大変ですよね。当セミナーでは、各媒体・イベント・紹介の違いと活用法を一気にご紹介します。自社にあった採用プランと今後注力していくべきポイントを探しに、ぜひお越しください。

●23月21日(火)16:00-18:00
東京・大阪・名古屋開催

詳細お申し込みはこちら