アップルという巨大組織を率い、様々なデバイスで世の中を変えたスティーブ・ジョブズ。
亡くなって数年が経った今でも、強いリーダーのイメージが残る人物です。
カリスマ。破天荒。そんなイメージのジョブズですが、
「仕事はワンマンショーではない」
「大きなことはチームで成し遂げる」
など、チームワークを重視していました。
また、テクノロジーを介して、何百万人もの人の生活を変えるというジョブズのビジョンに、たくさんの人材が集まってきたのです。
経営者などのトップリーダーは、共通要素として、なんとしてでも成し遂げたいビジョンや、重要視している価値観を持っています。
それは、どれも自身の生き様に立脚したものであり、意図的に設計されたものではないのでしょう。
しかし、個人ではなく組織として考えるのであれば、リーダーシップが育つのを待つのではなく、リーダーシップを育てる、という発想が重要だと私は思います。
カルロス・ゴーン氏は日産リバイバルプランの中で、幹部層にはコミットメントを、ミドル層にはリーダーシップを求めたといいます。
一人のリーダーシップに依存するのではなく、ミドル層のリーダーシップを育成することは、企業の継続において、とても大事なことなのです。
私は、組織の中間層に求めるべきは、ヒトとコトを動かすリーダーシップだと考えています。
コトを円滑に動かす為のプロジェクトマネジメントなどは、仕事での学習や経験が直結しやすいので、積み重ねで身につきやすいものです。
一方、苦労しやすいのは、ヒトを巻き込み、動かしていくこと。
ヒトを動かすために必要なポイントは3つあります。
1.リーダーとしてのスタンス
2.ビジョン提示
3.規範の設定
1が、リーダーとして、入口に立てるかどうかを決定づけます。
個人のエゴや、保身、感情ではなく、組織内でのリーダーとして行動できるがどうか。
目標設定や任せ方、コミュニケーションなど、全ての場面において、自分の為だけではないというスタンスは、リーダーシップの大前提です。
2については、まず会社ビジョンをきちんと理解し、チームビジョンにつなげ、それを1人1人のビジョンにまで落としていくことが求められます。
ビジョンを提示しないのは、メンバーに目隠しをして走らせているのと同じこと。
注意点としては、数値目標以外の提示を行うこと。業績目標だけではヒトは動かないからです。
また、良いビジョンも、伝わらなければ意味がありません。分かりやすい言葉で、熱心に繰り返し語り続け、それに沿った行動を自身も取ることが重要です。
3の規範は、行動や判断の基準、手本、軸と言われるものです。
チーム規範の設定は、ありたいチームの価値観を共有することにつながります。
規律や最低限のルールのように、守らないと罰せられるようなものではなく、全員で目指したい基準を設定することが、質の高いチーム活動を生み出すのです。
ビジネスモデルの平均寿命が長かった時代においては、優秀なトップリーダーの判断や指示を効率よく実行できる組織が求められました。
変化が早い時代になったからこそ、一人のリーダーに依存するだけでない、リーダーシップを育む組織作りが必要なのだと、私は感じます。
2017.02.22 KSN 136
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