ビジネスコラム
新入社員の受け入れ準備の3つのポイント
ヒューマンリレーション事業部 グループマネージャー 岡部 謙太
年が明けて、はやくも1ケ月が過ぎ、あっという間に4月の新入社員の受け入れが迫ってきました。弊社でも入社式の準備、1年間の育成コンセプトの策定、4月の研修コンテンツづくりと、にわかに社内が慌ただしくなっています。少しせわしくもありますが、新人受け入れのこの一大イベント感がよい節目となり、毎年気持ちを新たに4月のスタートをきれているのだと思います。
私は、採用した人材が戦力化して、定着してこそ、真の採用成功だと考えています。しかし、離職理由は従来からの結婚や出産、介護などライフステージごとのイベントだけではありません。ワークライフバランスという言葉に象徴されるように、IT技術の発達により働き方は多様化し、個人の仕事への向き合い方も様々です。結果、会社組織に社員を留め続けることが難しくなっている時代だと思います。日常の様々な場面で、会社にいつづけるか、去るかの選択肢が頭をよぎる中で、このまま会社にいることが自分にとってベストなんだ!一番楽しい場所なんだ!と社員に思ってもらえることが、今の時代とても大切になっています。
時代の変化を踏まえ、新人の受け入れに企業はどのような準備をすればよいのでしょうか。知識を吸収するための研修や、必要な備品の準備はもちろんとして、それ以上に大事なポイントが3つあると私は思います。
1.仕事の報酬について語れること
2.自社の仕事をどのように定義しているか
3.職場の関係性
1の報酬とは、給与や地位、待遇だけでなく、貴社の仕事を通じて享受できる恩恵のことです。
毎日の忙しさやプレッシャーのかかる案件、求められる成果と対峙していると、働くことは苦役であり、給与は苦役の対価だという発想になってしまいがちです。
しかし、目に見えないため気づき難いものの、貴社だから得られる成長機会や仕事、貴社だから伸ばせる能力、貴社だから描ける人間としての成長曲線があるはずです。この見えない報酬について語り、すでに得ている報酬の多さを自覚させることです。
2は、自社の仕事を再定義し、その捉え方を広げることです。
若手やローパフォーマーが、仕事をタスクの集合体として捉え、自らの働き方を限定してしまい、つまらなそうなのに対して、ハイパフォーマーはまるで異なった世界を見ていると感じます。
例えば、ある自動車ディーラーでは、車を販売する仕事を「お客様の人生の1ページをつくる仕事」と、ある医療機器商社では、医療機器を病院に届ける仕事を「医療情報を隅々まで流通させ、地域医療を発展させる仕事」と定義しています。仕事の捉え方を変えることで、手がける仕事の意義や働き方の広がりが変わります。
3は、人材育成における職場での関わりです。
とある研究で、人は研修からの学びはわずか10%にすぎず、70%を職場での経験から、20%を上司のアドバイスから学ぶと言われています。つまり、学びを得る場である職場で、上述1、2のようなコミュニケーションがどれだけされているかが重要です。
経営トップからのメッセージ発信はもちろんですが、本当に腹落ちするには現場での1対1のコミュニケーションが基本です。
貴社には、仕事の楽しさや、やりがいに気付かせる言葉、場面、語る人、語り合う場が、どれくらいあるでしょうか。4月の入社までの残りの期間、配属部署の社員と共に、時間を作り、話し合ってみることをおすすめします。
語り手の人数、言葉、場の多さが、新人の成長と定着を後押しする。私はそう思います。
2017.02.08 KSN 135
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