ビジネスコラム
会社の中心で何を叫ぶ?

ヒューマンリレーション事業部 執行役員 土方 求


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あなたは運がいいですか?

パナソニックを築いた松下幸之助氏が、面接最後に必ず聞いたという質問。運が悪いと言う人材は、絶対に採用しなかったそうです。
自身の捉え方、周囲への感謝を大事にするという人材観の表れだったのでしょう。

ホンダ創業者の本田宗一郎氏も、
「どうだね、君が手に負えないと思う者だけ、採用してみては。」
という提案をしたという話があります。

できのいい子人材だけでなく、規格外で、上司を凌駕するような人材を求める。というメッセージでもあったのだと思います。

企業にとって、どんな人を採用するのか。そして、その礎となる、どのような人材観を持って採用に臨むかは、将来を左右する大きな意味を持ちます。
私は、社長の採用における最大の役割は、瞬間の採用成果にこだわることだけでなく、人材観をどう提示し、広めるかだと思います。

経営者が独自の人材観を持ち、それが組織に広められている企業は、やはり良い採用を継続しているからです。

以下の3つがポイント。

1 社長自らの言葉で語る
2 社員や関係者にそれを語らせる仕組み
3 社長自らが人を口説く

1は、自らの人生観や経験の中から、考え出された言葉で、メッセージを発信していること。

冒頭の例もそうですが、様々な社長が、自らの言葉で大事にしている価値観や人材像について、講演や入社案内、動画、社内報など、何らかの形で語っています。やはり社長自らの言葉には力があるのです。

2は、社員や関係者に伝えるだけでなく、代わりに伝えてもらう場所や、しかけについて。
これは、社員の採用への巻き込み方、日常での工夫などが重要です。

希望があった企業や、団体を社内に招き入れ、見学会を継続して行っているお客様があります。社長も含め、社員の方々が、社内や工場を案内しながら、大事にしている考えなどを伝えています。地元の小学校に出向いていくこともあるのだそうです。

楽天本社エントランスでは、三木谷氏の映像が流れているとのこと。なぜ楽天がグローバル展開を行い、社員のグローバル化や、ダイバーシティを推進しているのかについて、自らの言葉で語っている映像です。
こういったしかけは、社員や関係者へ人材観を共有できるだけでなく、語り部として広めてもらうことにもつながります。

3は、口説いていく場にまず出ること。
社長自身の気づきだけでなく、社員に対しての指針の提示や、考えさせる機会を生み出します。

巨大企業でも、口説く対象が変わるだけで、トップ自らのリクルーティングは欠かせません。人を口説くことのできない社長は、組織を大きく発展させることもできないのだと私は思います。その姿勢を社員もよく見ているからです。

実例として、私のお客様で、新卒内定者の家族の元にどんなに遠方でも必ず出向いて行って、自らが説明を行う社長がいます。辞退率の改善はもちろんですが、内定者の家族に自らが出向いて説明したことが、様々な効果を後にもたらすのです。

自社の社長が持っている人材観はどんなものでしょうか。
そして、それは社内に浸透していますか。

社長自らが人材観を語り、広めていくことこそ、採用活動における唯一の役割だと私は感じます。


2017.01.25 KSN 134

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