ビジネスコラム
「24時間戦えますか?」は今。
ヒューマンリレーション事業部 執行役員 岩田 徹
「黄色と黒は勇気のしるし。24時間戦えますか?」
約20年前の1988年。
栄養ドリンクのテレビCMで何度となく耳にしたフレーズです。
この年は別の栄養ドリンクでも、
「5時から男」というキャッチコピーがあり、
共に流行語となっています。
バブル経済の最後の時期にお茶の間を賑わせた
これらのフレーズは、当時の世相をよく表しており、
「24時間戦える」人材や、「5時から」活躍できる人材が
成果を出す人材だったのでしょう。
バブル経済までの安定成長期は、1+1が2になった時代。
つまり、やればやるだけ成果がついてきた時代でした。
だからこそ上記のキャッチコピーのような働き方が
推奨されていたのです。
ところがその後時代が変わり、
世の中は景気停滞期、低迷期へと突入します。
グローバル化、インターネットの台頭など
産業構造の変化や、少子高齢化など人口構造の変化で、
安定成長期とは違い、経営の舵取りが困難な時代です。
前時代のように、労働時間や労働量に比例して
成果が出る時代ではなくなりました。
当然、働き方も変化しています。
冒頭に挙げた栄養ドリンクの2014年のキャッチコピーは、
「24時間戦うのはしんどい。」ので、
「3,4時間戦えますか?」となっています。
頑張れば成果が出る時代は、ひたすら頑張ればよかったのです。
ただ、時代は変わりました。
単純に頑張るのではなく、
頑張る方向から考えを変えていかないといけません。
労働時間でカバーするのではなく、
労働の質でカバーする時代です。
一人一人が生産性を高めていく必要があります。
他方で、若者の価値観にも変化が見られます。
経済的豊かさより楽しい生活を重視していたり、
個人の生活と仕事の両立を望んでいたり、
自分の能力を試す仕事ではなく、
何かの形で社会の役に立ちたいと考えていたり。
例え誰もが知っている大きなブランド企業であっても、
私生活を削ってまで長時間労働を強いる企業には
入社を希望していません。
これからの時代、24時間の戦いを強いれば社員は疲弊し、
生きがい、やりがいを見いだせなくなり、
離職へと進んでいきます。
精神的に追い込まれ、身も心もボロボロとなり、
最悪のケースだって起こり得ます。
社員が定着せず、やりがいや生きがいを感じずにいる組織が
世の中から選ばれることはありません。
最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
多様化する価値観と先の見えづらい世の中で、
時代に合せて変化できる会社、組織が
これから先、生き残っていくのではないでしょうか。
2017.01.11 KSN 133
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